美味しんぼのOPにバブルの心象風景が見えた

私は今20代後半で当然の如くバブル景気というものを体験していないのだが、実際にそれを知っている親世代から聞く限りではそれはすごかったらしい。
毎晩のようにディスコでパーティに繰り出したり、タクシーを止めるには万札を手に持つ必要があったとか。
実際にそれが本当かどうかはわからないが、本当かどうか疑わしいほどには現在と異なる光景がそこにあったことは確かで、少なくとも現在よりは街が明るく見えていたのだろう。

そこまで素晴らしい世界があるなら見てみたいものだが、(当たり前だが)過去には戻れない。
しかし当時の人々が世界をどのように捉えていたのか、その心象風景は当時製作された作品から汲み取れるのではないか。
それが『美味しんぼ』なわけである。
『美味しんぼ』は、山岡と栗田の二人が「究極のメニュー」作りを通して、様々な人の悩みを解決するグルメ漫画で、バブル期真っ只中の1988年から1992年にかけてアニメ化されている。

このアニメにおけるOPの演出が、バブルの情景への想像に一つの答えのようなものを見せてくれた。
こればかりはNetflixかなにかで見てくださいと言うしかないのだが、一言でいうならば「輝く摩天楼」だろう。
とにかく街が眩しい。そしてどこまでも続くかのような高層ビル群。
当時の人々は日本の現在、そして未来に対して抱いていた心象風景はきっとこういう景色なのだろう。

きっと今はこういう映像は作れない。
現在の世界、そして日本という現実に対して、当時ほどの期待や希望は共通認識として存在しないからだ。
しかし、少なくとも個人レベルでは、輝く現実(必ずしも私にとって輝く摩天楼が理想であるわけではないが)を確信として抱きながら日々を精力的に生きていきたいものだとも思った。

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