見出し画像

計画通り

昔、父の知人に
駄菓子屋さんのおじさんがいた。

子供の頃
クリスマス時期になったら
そのおじさんが私と弟にそれぞれ
袋いっぱいに入った駄菓子を贈ってくれて
それがすごく嬉しかった。

いつかなぁ 多分小6の11月頃だったと思うんやけど
ふと、これ今回で終わるんちゃうか?と思った
私来年中学生やし
おじさんが、そろそろ駄菓子贈るのもなぁ。
って考え出しても不思議じゃないぞ!と。

こらあかん!
ずーっと贈って欲しいとは言わんけど
中学生になっても欲しいぞ!
どうにかお菓子卒業を阻止したい!
なんとかならんかと考えた。

毎年おじさんがふらっと家に来てくれた時に
父が預かって、我々に渡してくれてたんやけど

「今年は、自分で受け取って直接お礼を言いたい。
だからおじさんが来たら絶対教えてくれ」

と父に強く伝えた。
勿論弟にもお礼言おうね!と強く伝えた。

おじさんがやって来た。

父が
「お菓子頂いたぞ。お礼言うてこい」と我々に言う。
今だ!

「わーーー!!!ありがとうございますーー!!!嬉しいな!!
二人で毎年楽しみにしています!!!やったあ!!」

盛った。感情を盛った。
弟にもさせた。
私たちこんなに喜んでいます!お菓子に大喜びする子供です!
あざとくなりすぎないくらいにアピールした。

演りきった。

後は野となれ山となれや
これで来年からなくなったらそれまでよ

清々しい気持ちでもらったお菓子を弟と食べてたら
おじさんが帰って
そういえばと父が言った。

「あんなに喜んでくれてるとは思わんかったわ。
今年で終わろかな思ってたけど来年も贈るわ。言うてたわ」と。

計画通り

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?