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【序章】墓ありじいさん、墓なしじいさん登場

【序章】墓ありじいさん、墓なしじいさん登場

【第一章】モノをとおしたコミュニケーション

【第二章】物語を伝える場所

【第三章】時間的価値

【第四章】境界を越える

【第五章】美は広がり、つながる

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ここに、二人のじいさんがいる。
一人は、数年前に連れ合いを亡くしたときにお墓を建てたじいさんで、もう一人は、お墓はないが今後も建てるつもりはないと考えているじいさんだ。

この二人のじいさんをとおしてお墓を見ていくと、そこから彼らの生きざまがあらわになり、さらに新たな発見があった。

では、二人のじいさんが、それぞれ紡いだ物語を語ろうか。

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このストーリーの主人公・墓ありじいさんを紹介しよう。

このじいさんは、家もお墓も継ぐものがない次男坊として出生した。

懸命に働き、小さいながらも自分たちの家を持ち、長男、長女に恵まれたじいさん。

長男は都会の大学に進学し、そのまま地元に帰らずに就職する。結婚もし、最近初孫ができたが、まだ数度しか孫には会っていない。

孫の顔見たさにLINEをはじめたくらいのじじバカぶりを発揮しているが、LINEのフレンドはその長男と長女だけらしい。

長女も地元を離れて、ひとり暮らしをしている。結婚はしていないが、仕事には燃えているようで、まだ落ち着く気配はなさそうだ。

じいさんの妻は数年前にガンで亡くなった。
自分よりも8つ下の妻で、じいさんの年にしては少しめずらしい恋愛結婚。
数ヶ月間の闘病で逝ってしまった妻のために墓を建てようと決意したが、そのとき、もう一人の墓なしじいさんからこんなアドバイスを受けた。

「じいさん、あんた息子も娘もこっちにいないんじゃ、墓を建てても継ぐ人がいないだろう。
わしは、今後のことを考えて、墓は建てないことにしたよ。子供たちの負担になってしまうと思ってね。
それに、今では自分たちで墓を建てなくても、永代供養墓や納骨堂などがあって、のちのちのことを心配しなくても良い墓が出てきているんじゃよ」

墓なしじいさんの話を聞いた、墓ありじいさん。

家族が亡くなったら、自分たちでお墓を建てるものだと思っていたので、この話は初耳だった。
そこで、息子に相談することにした。

「お前、わしがここで母さんの墓を建てたら、あとあと負担になってしまうか?」

息子は少し考えて答えた。

「う~ん。そうなるかもしれないし、そうならないかもしれないね。でも母さんが生まれた土地で、僕たちの故郷にお墓を建てる方がいいとは思うな。
父さんもまだまだ先が長いだろうし、息子に僕のルーツはそこにあると知ってほしい気持ちもある」

じいさんはその言葉に動かされ、お墓を建てようと決意し、動くことにしたが、娘からこのような提案がなされた。

「父さん、お墓を建てるのはいいけど、のちのちのことを考えて、「夫婦墓」とかの期限付きのお墓にした方がいいんじゃないの?
最近、そういうお墓も出てきているっていうじゃない?そういうお墓を探してみたらどう?」

さすが、うちの娘はいろんな情報を知っていると、じいさんはさっそく久しぶりにパソコンを開いて検索をしてみた。

すると、つい最近「夫婦墓」という小さな墓が建てられる霊園の販売がはじまったという記事が引っかかった。

『これは運命かもしれない』

そう感じたじいさんは、墓なしじいさんを誘って、さっそくこの霊園の見学に行くことにした。

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