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FINAL FANTASY XVI 感想|FFの熱量

先日『FINAL FANTASY XVI』(以下『FF16』)をプレイし、クリアしたので、感想を書いていこうと思います。
結論から言うと面白かった、けれどもド級の名作!というほどでは無かったというのが正直な気持ちです。しかしながら『FF17』が待ち遠しくなるような、FFシリーズに対する漠然とした期待感をヒシヒシと感じる、素晴らしい「FINAL FANTASY」でした。

FFシリーズは全作プレイ済みではないものの、思い入れがあり、それ故にこうして思ったことをつらつらと残しておきたくなりました。
以下『FF16』の感想を思いのままに書いていきます。ネタバレはもちろんのこと、基本的には肯定的な内容ですが、一部否定的な触れ方もありますので、ご注意ください。


FFへの挑戦

『FF16』はこれまでのFFシリーズに対して、挑戦的な作品だと感じました。陰鬱とした雰囲気を主軸に据え、コマンドバトル要素を完全に廃したアクションゲームへとシフトしたことはその最たる例です。これまでのFFシリーズが極端に明るかったわけではないですし、前作『FF15』ですでにアクション要素はバトルに盛り込まれていましたが、ここまで大胆な舵切りはされていなかったと感じています。
しかしそれでゲーム性がガラッと変化したかというと、「変わっていない」のが『FF16』でしょう。過去のFFシリーズに真摯に向き合うことで、FFに上記の要素、ダークファンタジーとアクションゲームの2点を巧みに盛り込むことに成功していました。特に自分がそう感じたポイントについて、書いていきたいと思います。

世界と物語の象徴としての「クリスタル」

公式サイトのストーリー紹介にはこうあります。

これはークリスタルの加護を断ち切るための物語。

https://jp.finalfantasyxvi.com/story/

これまで多くのFFシリーズにおいて、世界観の根底にあった要素である、「クリスタル」。これまでは散々その恩恵にあやかってきましたが、今度は離別だ!という展開を綺麗に表現するとても簡潔な一文です。
FFを名乗る作品でこうも言いきるのは、FFであることに対しての一種のカウンター的な物語をやろうとしているのを感じます。事前の情報でもクリスタルは舞台であるヴァスゼリアに密接に関わっていることが強調されていましたが、実際にプレイすると…

もう初期のFF、なんならそれ以上、やり過ぎ!ってくらいの象徴性。そしてラスボスの思惑そのものと言っても過言ではなく、「加護を断ち切る」ことが物語の軸としてガッチリ機能しているように感じました。
(加護に逆らう行為すらラスボス・アルテマの掌の上だったわけですが、)とにかくクリスタルと、それをもたらした存在に、人として抗い続けるという姿勢にはFFというシリーズへの強い意識と挑戦を感じました。

「召喚獣合戦」のセンス

召喚獣といえば、『FF3』から登場した要素で、時には物語の中心にも据えられる要素です。初期から登場しているものはたいてい神話、もしくは『ダンジョン&ドラゴンズ』で神話を元ネタに生まれた要素を元ネタにしているようですが、オリジナルの要素もメチャメチャあります。
例えばシヴァは本来氷を使わないらしいし、バハムートは宇宙に行かない。オーディンの武器は当然グングニルで、斬鉄剣なんてなにそれ状態。ですが私はこのセンスに気持ち悪い魅力を感じてしまっていて、FF以外の作品で出てくるシヴァやオーディンには愛着を感じられなくなってしまった…。
このなんとも表現し難い「FFの召喚獣」を今作はとにかく全面に出してきやがった。最高すぎる。
しかしこれまでの召喚獣とは表現がまるで違います。ドミナントが、自分自身に、顕現させる。カッコ良すぎる。
これはもうセンスの問題で、「おまえダサいよ」と言われればそれまでだし、ダサいだろ!って叫んでいる自分もいるのですが、どうしたってブッ刺さってしまいましたわ。
これまでの作品でいうと、「FF10」の「究極召喚」は見た目が近いかも?。(当然ブラスカの究極召喚獣も大好きです!!!)あと半顕現もカッコ良すぎる。なんならガルーダ、フェニックスはこっちのほうが好きかも。いや、カッコ良いってマジで!しかもこの「顕現」というシステムは非常に発明的で、召喚獣VS召喚獣の展開を、ポケモンバトルのような流れにせず、タイマン継続で描けるんですよね。(私はポケモンも大好きです!スカバイDLC超楽しみ!)
別に使役する存在同士で戦うのも良いんですけど、その場合召喚士たちがにらみ、叫び合うだけになっちゃってちょっとシュール。悪くはないと思いますけど、「召喚獣合戦」をやるならこれがベストでしょう。

てか召喚獣合戦ってなんだよ。中二病ですらない、むかし話のワードセンス。だけど、悔しいかなこのワードにも惹かれてしまった。演出も大好きです。正直タイタン戦でちょっと食傷気味というか、迫力やそもそものデカさの暴力を長回しでお届けするもんだからこれ以上はキツいかな…と思った。
でもそんなことはなく、バハムート戦はフェニックスの参加、宇宙、融合。展開に魅せられ全然興奮してしまった。バハムートの「〇〇フレア」もFFやってる感を出してくれますよね…全く。
オーディン戦はそんなバハムート戦とアルテマ戦に挟まれたこともあって正直地味だったと思わなくはないですが、斬鉄剣、斬鉄剣、大斬鉄に大斬鉄返し、そして斬鉄剣。堪らんよほんとに。勘弁してくれと言いながら戦っていた。
召喚獣合戦ではないですが、アルテマ戦でそれぞれ召喚獣をぶつけ合う描写ももちろん素晴らしかった。あのぶつけ合いに関してはそりゃそう来るだろという展開、それでもガチンコであれをやるセンスが、本当に私は大好きなんです。
逸れますが、もう自分がダサいと自己紹介してるようなもんだから最後までアルテマ戦について言わせてもらいますけども、ラストの顔面ぶん殴りも爆笑しながらやった。確信犯的なセンス。

総じて「FFの召喚獣」という概念にバカみたいに、もとい真摯に向き合いすぎです。

なぜかATBを思い出す「アクションバトル」

冒頭で述べたように今作はコマンド要素のないアクションバトルを採用していました。ところが、プレイ中自分が感じたのは、「ATB(アクティブタイムバトル)みたいじゃね?」という感覚。FFをやっているという自分の状態に酔っているだけなら構わないのですが。
でもなんだか、アビリティのチャージタイムや、QTE発生前のムービー鑑賞時間が、ATBの待ち時間を無性に彷彿とさせるんですよね。通常のコンボよりもアビリティの組み合わせでテイクダウンや大ダメージを狙ったほうが良いこともあり、敵を見据えて□ボタンを押しながらも右下のチャージタイムが気になる…。ムービーは流れているけれど気を抜けないのは、かつて長時間の魔法詠唱中に別の行動を選択していたときに似ている…。なんてクリア後、しみじみと思ってしまいました。考えすぎなら全然良いんですけどね。でも私はATBと今作のアクションが全くの別物だとは思わなかったです。

あとバトルとは少し離れますが、カスタマイズ性について。本当は武器や防具ももっといじれると嬉しいなとか、属性の概念があると楽しいかもなんて思いましたが、そうなるともう訳わかんなくなる気もして。ここについてはまだ気持ちをしっかりまとめて、言葉にすることができていないです

発明だと感じた「音楽」

FFシリーズと言えば音楽に外れなし。今作ではFFのメインテーマとも言える「プレリュード」のフレーズが様々なところで使用されていました。まあプレリュード使えばFFか?と問われるとそうではないと思いますが、どの場面も印象的な局面であり、十分に効果的だと思います。
あとPS5をレストモードにして終わることが多いからあまり気づかなかったんですが、オープニングは逆にプレリュードではないんですよね!

「FF」というゲームは、起動したらまずプレリュードが鳴ってほしいですよね。でも『FFXVI』って、従来の「プレリュード」であるメジャー基調で進行すると、世界観に全く合わないんですよね……。というわけで、マイナー基調にしたうえで更に『FFXVI』の世界をイメージしたアレンジに仕上げることとなったのです。

https://blog.ja.playstation.com/2023/07/20/20230720-ff16/

音楽を担当された祖堅正慶さんのお話ですが、これもFFシリーズへの挑戦に感じました。また、バトル時BGMについてはもはや発明だと感じていて、どこまで展開と連動するんだよ!って毎回驚きながらプレイしました。先程召喚獣合戦について長々と書いてしましましたが、あそこまで熱中したのもBGMのおかげかも知れません。

このインタビューがとても面白かったんですが、音楽単体で聞くとまた体験が変わりそうなんですよね。ゲームミュージックの新しい楽しみ方にもなっていくのかなというところで、メチャメチャ感動しました。

まとめ:結局面白かったのか?

『FF16』が面白いゲームであることは繰り返し書かせていただきます。しかしながら気になる点があるのも事実でした。
都度挟まれるムービー、バトル中のQTEは没入感の妨げにもなる(先程書いたとおり良い面もありますが)と感じます。特にムービーは基本「常に流れている」くらいの感覚になるので、メリハリが薄くなってしまっていたのではないでしょうか。サブクエスト、特に序盤のものはかなりお使い色の強い作業的なものでかなり苦痛でしたし、アビリティ面のカスタマイズもテンプレ保存ができればもっと使いやすいし。走りはなんか遅いし、拠点の移動は面倒だし、リスキーモブの場所は記録されないし。
というように思い返せばいくらでも出てきます。この辺はFFの他にやってきたゲーム経験によって感じ方も違うと思いますが、ここ数年プレイした作品の中で突出して面白かった!とは正直なっていません。

ただそれを上回る「FF」の熱量が、そんなノイズをかき消しながら、左頬をぶん殴ってくる。特大級の一発。これがFFだ!!!というあまりにも暴力的な衝動に襲われる。プレイを終えたあとに、またFFがやりたいと思える。そんな作品でした。
ファンの方はもちろん、かつて好きだった人にも、意外とFF入門としてもオススメしたい作品です。
ぜひとも。


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