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遠ざかったのはどっち
電車の窓際で外を眺めていると隣りでちょうど同じくらいのスピードで並走する電車を見た。3呼吸ほどお互い止まって見えたが、いつのまにか2つの電車は距離をとって離れていく。遠ざかっていったのは向こうの電車か僕の電車かはわからない。
手の届くところにチャンスがあった。これをつかむと開ける世界と、マズい状況にハマるリスクとを天秤にかけているうちに、電車と同じようにチャンスは遠ざかっていった。遠ざかっていったのはチャンスか僕かどっちだろう。
いつも隣を歩いていた君が少しずつ離れていった。遠ざかっていったのはどっちだろう。
でもまた線路が近づくこともあるだろうな、なんて考えながら行き先の決まらない電車に乗り続けるぼくは車窓をぼんやりと眺めるばかり。
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