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アメ横のセンター街、知ってる?

遥か昔。
そう言われていつか職場の同僚が連れて行ってくれた。

私は生まれが千葉県。
そのくらい小さな頃からだって知っていたよ。
可愛い子たちが集まってくる渋谷にあるとこでしょうと。

え、お前なんも知らんのな、そこじゃなくて。
あんのもっと深い世界が。

ちょっと身震いして、とんでもなく楽しく、知らない世界がある場所に連れていかれる予感。
渋谷とは一線を画するアメヤ横丁の中にあるセンター街、いやセンタービル!
アメヤ横丁を上野駅側から入って程なく進むと分岐の中心に聳え立つベージュか白か怪しいが建物にセンタービルってかいてある!!
階段降りてガラス戸をあける感じはかなりギャルみのある店らしい構造じゃないの。わくわくするのだよな、そういうの。

更に地下に入る。
入り口がせまくて、
...これは、魚の生臭さが漂う。
ウェットで沈む空気に冷房の空っ風が容赦ない。

賑やかな声が聞こえてくるが、どれも何言ってるか分からない。同じようなイントネーションの言語もあれば、もう少し違う国?衣類も出自もわからない人たちが陳列した魚や豚の前に座り込み何か話している。

そうそう、ここの定番のお魚は太刀魚。
白身魚で美味しいのですが、何かお顔が怖い..
本当に日本刀が陳列しているようにギラギラとしている。
その得体の知れない幾多のギラギラが何とも物騒に感じる世界。

自分は武器商人で何か闘う為の武具でも仕入れようとしているのだろうかというような、何とも未知とは恐怖の隣り合わせに在って、自然と私の心は臨戦態勢に近い身構えた姿勢になってしまった。

もっと世界の調理、食材が博識な方にとって
この場所はどんな風に感じるのだろうと思いながら
湿り気の多い足元をひたひたと歩み入る。

嗚呼ー!やっぱり豚の丸ごとの色々って、
臆病者の私にはギョッとしてしまったり、見たことのない部位の数々...どんな料理に使うか想像出来ない。
あまりに無知な私には何てスパイシーな場所なのだろうか。

暫く進むと調味料と食品雑貨のお店がある。
そこに見覚えのあるグミやナッツなどが並ぶのを見かけると途端に安堵した。
知っているものを通じて場のおおよそを予測して、目処が付くのは良き安心を得る手段だ。
そしてセンタービルは同じ建物におなじみのスポーティな店舗の数々、スニーカーファンが唸る逸品達も揃えている。
そう、フロアが変わると途端に日常が返ってくる。

あの地下に入った時間だけ
私は心の準備も何も無く異国に飛ばされた
裸の人間のようになってしまったんだ。

日々の繰り返しでちょっと刺激が足りない貴方。
そして料理の買い出しは近所のスーパー位かな..?
なんて方にも是非是非足を運んでみて欲しい。
未知であることが恥ずかしいことでは無く、
生きるスパイスに感じることを教えてくれる。

私はあの刺激を日常にしたくないので、
なんて言うと都合が良いですが..
そっと記憶の底に仕舞うだけにしている。

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