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#6 飯田高原(九重)

この写真の撮影場所はキャンプ場。飯田(はんだ)高原は九重の高原。標高の高さによる澄んだ空気、背の高い木が連なった見晴らしがいい田園風景を乗馬する人々。空が高くのんびりした風景。閑静な別荘地帯も控える素敵な場所である。
わかりにくい奥まった道を進むとキャンプ場併設のライダーハウスがある。

10月。キャンプ場には夕方到着した。
写真にモヤがかっているだろう。事後補正のためでもあるが、実際に霧がかかるほどに天気が崩れかけていた。撮影の数時間後の夜に雨が降り、とても寒い思いをすることになる。一緒に行った人に至ってはテントの張り方がマズかったらしく底から浸水し、シュラフまでびしょびしょになり震えて夜を明かしたという。朝に見た温度計は一桁だったことを覚えている。

雨を見ながら焼いた肉が美味かったと書けば時を経た日記になるが、あくまで写真の話が主役である。と、この旨を書くのは早くも2回目だ。

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先述の通り、これらの写真は意図した補正がなされている。
色味は変えていない。じゃあどこを調整しているかといえば露光量。

カメラはP300というコンデジを使用した。ミドルクラスのコンデジで、f1.8レンズを搭載し特に暗所での写りはけっこうよかった。絵的にはくっきり写るタイプ。当時持っていたスマホのカメラが不十分な性能だったので代替として使っていた。

露光量だけでなく、オフセット・ガンマもいじってマットな質感に調整している。いまでこそトーンカーブを使えば似た感じに仕上げられるが、当時はその知識がなかった。

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ありがちな補正であるが、記録を確認した限りこのタイプの補正を行ったのはこれが初めての写真である。以降、一気に適用する頻度があがっていく。

きっかけは覚えていないが、これくらいの時期からフィルムカメラなどのノスタルジックな色味に惹かれ始めていたのだろう(それ以前は逆にコントラストを強調した写真が多かった)
どこかしっくりきてなかったのか、はたまた飽きたのか。ツールの使い方に慣れてきたからかもしれない。詳細は覚えてないが、確かなことは以降の写真に変化をもたらしていることである。写真の好みは手持ちの技術や環境と不可分な領域である。

黒潰れ・白飛びはご法度とされがちだが、容量用法を守ればむしろ味になる。特に、情感を呼び起こす上では何もかもが鮮明である必要はない。
この日の記憶も断片が結合するようにして蘇った。風の強さ、雨の気配、移動中の車、食器を洗う水の冷たさ…。
写真が封入していた、捉えていないはずの時間や場面まで解凍され紐づいたような感覚。案外、隙だらけの写真は想像力を、記憶や感情を想起させる力があるのかもしれない。

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※ちなみにコンテナは泊まれる。別の機会で利用した。中は山小屋みたいになっていて快適!

撮:2016/1016


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