#16「春眠」

これは朗読を前提とした文となっているので、平打ちのテキストで載せます。春の陽光は眠くなりますね。

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光暖かく

風薫る

走る車のおと

換気扇

笑い声

時計

布団


黒いカーテン

隙間

白いレース

きらめいて

暗闇にさす

それは

ぽつんと浮かぶ灯台のよう

埃や粒子

音を引き連れ

洞窟のパレード

影を生む光

ひっそり

我が物顔で侵入

白い壁にそっと

光を塗る

長方形の間取り

色を思い出したのか

まるで映写機のよう

ベッドで眺める

ほんのひととき

特別ロードショー


うつら

うつら


窓をあけ

流れ込む風、

光がとおり

スローモーション、

に、居候する波

が、優しく頬を撫で、

受ける息吹、

空間は

ふわっと

ぼけて

ほんのつかのま

白い影

薄まって

「白樺の囁きを海のなかへ」

重さはきえ、

さまよって、

「残像は  見たことのない円形で」

ぐるぐると

透過して

「15℃の平熱は」

にじむ

ひろがる

「空にただよう無数のかけら」

瞬く間に

重なり

やがて

終演


うつら

うつら


体 

再び見つける春のにおい

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