プライムニュース⑧

7.新しい治療薬の現状

ここからは新型コロナの新しい治療薬の現状について伺います。国の内外の治療薬の主な開発状況を見てみます。こちらです。

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(FNNプライムオンライン https://www.fnn.jp/articles/-/218822 より)

いわゆる一番近い第3相まで進んでいるのはアメリカ、スイス、イギリスのこの3社。イギリスのスミスクラインによりますとこのFDA、アメリカ食品医薬品局の緊急使用許可も取得しています。これが一番近い段階です。一方で第2相第1相には日本は進んでいるものの、少し遅れをとっているようにも見えます。最近では塩野義製薬が飲み薬タイプの抗ウイルス薬の治験がスタートしたというニュースも報じられて、少し期待も沸いているんですけれども、古川さん、この期待感どのように思ってらっしゃいますか。

(古川)ちょっとまだ論文に出てきてないので、どのぐらい聞いてるかっていうと、第3相いったのも今3相中ですから、これちょっと見てみないとわからないんですが、おそらく国内でやってらっしゃるのはこれシオノギさんのはM蛋白って言ってですね、このSARS-CoV-2ウイルスの複製に必ず必要になってくる、非常に重要なウイルスのたんぱくですね。そこを阻害するんですね。ですからこれ飲み薬でできるようになると、より簡易にやって投与できるんで、これもやはりありがたい薬です。ただちょっと第1相なんで、ちょっとまだこれから先ありますし、それからあとは今いろんなそのM蛋白阻害剤が出てきてますので、その中でこのシオノギさんのがどの程度優位性を持ってできるかというところはまだ先の話ですね。それからロートさんのは、今まで日本が得意としている細胞療法ですね。その一部再生医療のちょっと形を使ってやるやつなんですが、炎症効果を抑えていくというもので、サイトカインストームといってあの暴走しちゃうのを抑えるってことで、僕はちょっとまだステロイド、さっき長尾先生がおっしゃったようなあれとの効果がどうなのか、あるいは併用したときにどうなるか、こういったことをきっちりやっぱり見る必要があるというふうに思いますね。

国内でね、ちゃんとシオノギさんにしてもロートさんにしても、治験をやるっていう1相って多分数十、2相で数百で3相ったらもっとたくさんデータが、データというか協力者が必要なんじゃないですか。どうなんですか今その辺の治験、十分にその協力者って得られるものなんですか?

(古川)まあその状況によりますけれども、この今5波というときになればこれだけ患者さんがいます。その中で何とかお願いをしたいと思います。ただ、第1相第2相はおそらく国内なんとかなると思いますけども、第3相になるというといわゆるその比較試験をやりますね。ここがやっぱり一番のネックになって症例数の患者さんの数も多いですし、ここが皆さん本当に悩んでっていうところで、今いろんなご相談を受けてるんですが、基本的にはやっぱりあの新薬って言っても人の体に入るもんですから、しっかり有効性と安全性が臨床試験で無作為比較試験で確認できないと、なかなか今までの科学から言うと、それを承認するわけにはいかなかったというのが現状なんで、どっかの形でやっていただくということは多分お願いすることになると思います。どっかの形ってのは国内を問わず、できれば海外と一緒にですね、決めるようにしてくださいとか、いうことを今一生懸命お願いしてますね。

これはそのワクチンの開発においても同じような話を我々の番組でいろんな方から伺っていて、その開発にするにあたってもスタートの遅れ、ないしは政府のアメリカはトランプ大統領のワープ・スピード作戦みたいな、巨額の資金をドーンと入れて、失敗に対し尻込みしがちなその製薬ないしはベンチャーの人たちに対してやってみりゃというこの姿勢、ないしはその治験の部分においてももちろん患者さんがたくさんいれば、当然のことながら治験対象者もたくさんいるわけで、そういうのを見たときに日本というの遅いし政府の支援の問題もあるし、治験対象者っていう意味においても問題点あるって散々伺いました。この薬においても同様の現象が起きている…

(古川)薬の方がですね全然規模が違いますから、ワクチンは何万って今の時代やらなきゃいけませんけど、薬は何百でですね。ですからそれは別に国内でも可能だと思いますし、先ほどおっしゃった中尾先生おっしゃったイベルメクチンも含めてちゃんと第3相試験までやってほしいという、そのあたりは国際共同治験のご支援をいたしますよと、これずっと皆さんにもしお願いをしてるんでもうやっぱり一定程度、これは国もちゃんと支援してます。ワクチンについては国産のものはですね、ですからその枠の中でですね、何とかそこまでご努力いただくと、これなしにはですねやっぱり薬って世界で認められませんから、何か変なことやってくとどっかの国と同じになっちゃうんで。だからこれ薬なんかでも体内に入れるわけですから、やっぱり効果があって安全性が問題、その効果の方が上回るという問題をしっかりクリアしない限りは、やっぱり日本としてやっぱり今までしっかりやってきたこの薬の関するスタンスでしょう。これは失いたくはないというところだと思います。

鳥集さんいかがですか。ワクチンで遅れを取った日本、薬においても追いつき追い越せどこになりますか。

(鳥集)やっぱりずっと指摘されているように、日本っていうのはやっぱり臨床試験をずっと軽視してきた歴史があって、やはりしっかりとしたですね、体制作りっていうのができていなかった。たくさんの人にその臨床試験に協力していただいて、しっかりとした国際的に通用する結果を出すということについて、今ずっと古川先生は支援してきたとおっしゃってましたけども、その現場の医師の方々からするとですね、やっぱりなかなかその患者さんに同意を得るのがですね、医師が大変だったり、あるいは全部そのデータの管理から何から医師がやらないといけない。海外とかだったらそのサポートするですね、その事務の方がいらっしゃったりだとかして、スムーズに進むものがそれができない。そういうことで結局やり始めたんだけれども、挫折するっていうことが多いんだっていうのが、現実にそのがんセンター出身のお医者さんなんかからも聞いてます。やっぱりこういうことを成功するさせるためには何が重要かっていうと、やっぱその国民に臨床試験の重要性ってのは何かってことをやっぱり理解していただくということが大事で、例えばiPS細胞なんかもですね、そのノーベル賞を取って非常に素晴らしい技術ではありますけれども、それがその臨床応用されるためには、たくさんの人に臨床試験に参加していただいてですね、それで結果出していかないといけないわけじゃないすか。残念ながら例えばメディアなんかもノーベル賞取ったことには脚光浴びるけれども、その後の臨床試験どうなったんですかっていうことを報道しないし、それが実は非常に立派なね海外なんかだと、立派なその医学者、医薬誌に載るすごい立派なその業績として称えられるのに、日本だとされないわけですよ。やっぱりその、これから日本がその創薬とかでその海外をリードしていこうと思うのであれば、国民に、これ臨床試験ってその間参加する患者さんにとっては自分のメリットになるかどうかわからないんですよ。わからないけど、将来の患者さんのメリットにはなるわけです。要するに、これは使った方がいいとかこれは使わない方がいいとかわかるわけですよね。これから将来の患者さんのためにも、こういうことを同意して、臨床試験に参加していただいて、先に進んでいくんだっていうことをですね、やっぱ強くメッセージを出せるようなリーダーシップを持ってるような人がですね、政治家なり厚労省なりでいないといけないんじゃないかなと思いますね。

難しいですね、古川さんね。でもワクチンだったらまだその無症状の人に感染してない人に打って感染するかどうかの試験だけども、今回のこの薬ってのは発症してる人に対して、ちゃんとした薬と言っていいんですよね、ちゃんとしたもの、これまで使われている薬もあるにもかかわらず、そうじゃなくてこれ新薬で治験中なんだけれども、試させてくださいっていうのはね、これはなかなか容易じゃないと思いますよ。

(古川)鳥集さんもおっしゃいましたように、今まで日本は公的保険がすごくカバーされてるか、ちょっとそこが諸外国と違っていて、アメリカなんかだとちょっとカバーがないところがあるわけですよ。患者さんはそれに経済的なインセンティブもあるわけですね、治験に参加型でできると。そういうところがあるんで、日本は逆にそのみんながやるよと言っても国民皆保険がしっかりしてるんで、ここはちょっと治験に不利になってるとか。それからね、やっぱり先ほど言ってたデータ管理してくれるような、これはCROって呼んでるんですけど、そういう専門の民間機関ですよね。こういったところまだ未発達ですし、あるいはずっとその学会で確かに1年医師の業績も臨床臨床試験を軽視する傾向があったのは事実です。ここに来てだいぶ変わりましたけど、ただまだそういった歴史があるので、臨床試験が十分発達しないと、それをご指摘の通りなんですね。そこを変えていくのはこれからも国民の皆さんやっぱりどんどんどんどんこれお願いしていて、これだけ重要なんだよと、日本がなぜできなかったかというと、そういった文化がなかったんだと、これやっぱりご理解いただければこのコロナをきっかけにですね、非常にありがたいと思います。

はい。

はい。お知らせを挟んで医療現場が新型コロナと戦うために何が必要なのか伺います。

⑨へ つづく

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