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交際費とお歳暮と返報性

「交際費は売上の〇.〇%くらいであれば問題ない」

といった話もありますが、詰まるところ経費でないものは帳簿に入れないのが適切です。

おはようございます。税理士の柿本です。

先日も都内のお客さんと確定申告の打ち合わせをしまして、会食や宴会のレシートと、一枚ずつにらめっこしていただきました。

交際費とは

国税庁のサイトから引用すると、交際費等とは、

「交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者などに対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの」

をいいます。

取引を円滑に進めるために経費として認められています。

取引を円滑にする、といってもだいたい効果測定が難しく、経費性を疑われる筆頭科目。

現実に交際費の効用を可視化するのは難しいものです。

ただ、心理学的に効果を説明する理屈があります。

返報性の原理

スーパーマーケットで無料の試食をしてしまうと、購入ないといけないという気持ちになってしまいますよね?

他人から施しを受けた場合に何かしらお返しをしなければならない、という感情が湧くことを心理学で「返報性の原理」と呼びます。

事業関係者に接待して会食やお酒の席を提供したり贈り物をすればお相手は無意識のうちに、何かお返しをしなければいけない、次に要求されたことは受け入れてあげないと悪い、

と思うようになり、そのタイミングでビジネス上の難しい要求を突っ込んだりするわけです。

取引先に交際費を使うメリットのひとつは、心理的にこのような効果を生み出すことにあると考えられます。

ドア・イン・ザ・フェイス

ちなみに、交渉テクニックのひとつである「ドア・イン・ザ・フェイス」テクニック(はじめに重い要求をし、その後に軽い要求をすることで自分の要求を通す手法)も、「相手が譲歩してしてくれたのだから私も譲歩して要求を受け入れなければいけない」という無意識の返報性が働いている例だといえるでしょう。

なお、断れなくなることを見越して接待を断ったり、贈り物を受け取らない方もいます。

その場合は、状況やタイミングを見計らったり、返報の方法を指定してあげたりするなどして受け入れやすい環境を作る画策も必要になってきます。

とはいえ、二度の報謝を求めず。見返りを考えての行動は見抜かれやすいものです。

有効な交際費の使い方って、実は難しいのかもしれないですね。

これを踏まえて…お歳暮をいただきました

先日お客様から、日本酒を賜りました。わざわざ弊社までお越しくださり手渡しでいただき、本当に感謝の言葉もありません。

「このお客様のためによい仕事をしたい」

と素直に思いましたし、そのお客様に対する好意ももちろん増しました。

我ながら、がっつり返報性の手玉に取られております。

柿本耕市郎
公認会計士・税理士
専門分野(ビジネスモデル、新規事業、税務)

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