見出し画像

健康歯肉は正常値 #6

「歯周病の治療や予防にはブラッシングが大事。」
今や常識、というか
私が臨床現場に出た頃からズーッと常識。

勤勉な日本人は毎日歯磨きしています。
それでも、成人の80%以上が歯周病っていうのはナゼ?

長いこと歯周病と闘ってきて思うのは
ブラッシングが単なるエチケットになっていること。
それから
ゴールがハッキリしないまま治療を進めていること。

カーナビにゴールを入力しないで、いきなり走り始めるようなもの。
歯周病治療で目指すところをハッキリさせましょう。
血液検査のデータ票には、計測値の隣に正常値が記されていて、自分のデータと比較できます。
同じ様に、患者さんが見れば分かるデータは何だろう?

歯周ポケットの深さ、出血の程度や歯の動揺度、骨吸収の程度?
でも、これみんな歯科医院へ行かないと計測できません。
毎日、毎回のブラッシングの効果を判定するには不向き。
そもそも素人には計測出来ません。

歯科医や衛生士さんじゃなくても分かる、
正常値=健康歯肉という話です。

一般人にも変化が分かりやすい指標は何?
それは
歯肉の色と形です。
見方を知って、毎日自分の目で見て比較する事。
片山方式では、先ず歯周病素人でも解る歯肉の色と形、表面の様子を見ることで判断してもらいます。
今なら、スマホを活用すれば良いのですが、
これは稿を改めてお話しますね。

良い歯ぐき・悪い歯ぐき

私たちは、歯肉と歯列の写真を歯周病の検査データとして大切に扱っています。
患者さんにも一緒に見てもらいます。
見方も覚えてもらいます。
そして、検査データですから、正常値が必要ですよね。
同じ日本人でも年齢、性別によって正常値は異なります。
正常値の目安として、男女別&世代別の「健康歯肉アルバム」を提示します。

この程度の資料は、検査の正常値ですから、
日本中どこの歯科医院でも、用意してあるべきでしょう。

そして、歯肉の状態を隅々まで記録するには、14枚法以上の撮影法が必要です。

14枚法の撮影例

しかし、歯周病治療に歯肉の写真を活用している例は極々少数です。
保険診療にも「口腔内写真」という項目があります。
しかし、撮影タイミングや枚数、撮影の仕方など、
精度の高い歯周病治療に求められる写真には程遠いレベルです。

5枚法の撮影例

これでは、詳細な歯肉の状況把握には役不足です。
でも、保険診療ではこれでOK。
「お役所仕事」全開の「やってあれば良い!」です。

学会発表用、勉強会の症例発表用などには、
この5枚法でカッコよく撮れていれば良い。
本当に必要な写真と、ルールに合っていれば良い写真。
その有効性には、大きな差があります。

「医学は最も未熟な科学である」
どこかの偉い人が言っていました。
医学は、科学的・客観的なデータの蓄積ではなく、
「経験値の積み重ね」というのが現実。
しかし、今後はAIに口腔内写真と症状の関連性を飲み込ませる事で、客観的・科学的データに姿を変えて活用されていく事になるでしょう。

その為にも、口腔内写真をもっともっと撮影して、
臨床に活かしてほしいものです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?