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ただの田舎まちは、どうやって人気のまちに変化したのか~千葉県・小谷流(八街市)の場合

千葉県の山奥に、いま、都心から高級車がひっきりなしにやってくる場所があることをご存知ですか?

彼らがこの場所に求めてくるもの。それは、「愛犬と過ごすためだけの時間」です。

千葉県八街市小谷流にあるホテル「DOGGY'S ISLAND(ドギーズアイランド)」は都会の喧騒を離れ、大切な家族である愛犬と特別な時間をすごせる人気スポットとして、今大注目を浴びています。

実はこの施設は、「まちづくり」のケーススタディとしても非常に良い例なのです。

1/10以下のスケールでスタートした巨大プログラムの第一歩

田舎のまちづくりを推進している私は

・半径200メートル範囲の小さな「まち」からはじめる
・食べる、遊ぶ、泊まるなどのアクティビティを作る

ということを、基本的な考えとして据えています。

※半径200メートルのまちについての詳細は、先週公開したこちらのnoteでご覧ください。

今回ご紹介するこの「DOGGY'S ISLAND(ドギーズアイランド)」はまさにその半径200メートルのまちづくりのお手本のような場所です。

私自身は、地元住民という以外は全くの部外者ではあるのですが、ケーススタディとして分析をさせていただいています。

ドギーズアイランドがある千葉県八街市小谷流(こやる)はもともと、都心から1時間弱でアクセスでき、ICにも近い好立地にあるにも関わらず、土地の価値が上がっていませんでした。

そこで、今「第2のふる里づくり」をテーマに、総敷地面積200万平方メートルにおよぶ一大プロジェクトが進められれています。

豊かな里山の自然の中で、果樹園やバラ園、ナーセリー、ビオトープ、さらにグランピングやキッズゾーンなどが計画されており、ドギーズアイランドはその先駆けとして誕生した施設です。

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画像引用:「ドギーズアイランド」公式サイトより

下の図はドギーズアイランド近辺のGoogleマップ上での航空写真です。内側の円が半径100メートル、外側の円が半径200メートルの範囲です。このようにして見ると、ちょうどドギーズアイランドがあるエリアがしっかりと半径200メートルの中に収まっていることがわかります。

半径200メートル

画像引用:Googleマップ

犬と楽しめるアクティビティが満載

そして、このエリアの中に愛犬と楽しむことができる場所が21ヶ所もあるのです。

公式サイトによると、

・愛犬と一緒に泊まれるホテル
・天然水を利用したドッグプール、じゃぶじゃぶ池
・天然芝の全天候型ドッグラン
・美しい花々や木々を楽しめる森林浴
・自然派フードから雑貨まで愛犬に関するアイテムが揃うセレクトショップ
・愛犬とくつろげるレストランやカフェ(5店舗)

など、とにかくドッグファーストのアクティビティが満載です。

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(画像引用:「ドギーズアイランド」公式サイトより)

ド田舎の土地でも、尖ったコンセプトで人は集まる!

先ほどの航空写真を見てもらえれば分かるように、ドギーズアイランドの周辺は、本当に何もないド田舎です。

宿泊費はプランや日付によって異なりますが、大人一人2万円前後〜(犬は、同伴1匹までは無料)、平均単価は約3万円と聞きました。地元の人が住所だけを聞くと、「あの場所でそんなに高いの?」と思ってしまう金額ですが、直近の週末はすでに満席。

冒頭に述べたように、いまこの場所には都心から1時間かけて車でやってくる人たちがたくさんいます。

自然に囲まれた場所、というのは、見方によっては「ただの田舎」。しかし「ワンチャンと思いっきり、緑の中で遊べる」という強みを打ち出したことで、都会に住む愛犬家にとっては、日頃なかなか味わえない体験をできる場所になったのです。

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(画像引用:「ドギーズアイランド」公式サイトより)

田舎のまちづくりを考える上で大切なポイントが5つあります。

・半径200メートルの小さな範囲から始める
・食べる、遊ぶ、などのアクティビティを作る
・田舎ならではの土地の安さ、広さを活かす
・その土地にもとからあるものを活用する
・分かりやすく尖ったコンセプトを打ち出す

そして、この「ドギーズアイランド」および「小谷流の里プロジェクト」はその5つを全て網羅しているとても分かりやすい事例です。

私の試算ですが、周辺相場を土地1坪3万円+建物1坪50万で投資したと仮定した場合、現在の価値は少なく見積もっても5倍以上になっているでしょう。

取り組みによってまちの価値を変えた、「まち上場」を果たしたと言って良いと思います。

スモールディベロップメントの原則に基づき、このドギーズアイランドでの成果を元に今後は追加工事も始まるはずです。出た利益を再投資し続けていく進化するまちとして、今後も期待しているまちの一つです。

次回のnoteでは、私の大好きな街を紹介します。

株式会社SUMUS 代表取締役
小林 大輔

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