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男性にこそフェムテラシーを ~フェムテック協会認定資格2級を受けて~

 先月、日本フェムテック協会認定資格2級「認定フェムテックエキスパート講座」を受講した。

フェムテック協会認定資格2級、通称「認定フェムテックエキスパート講座」は、体系的に「フェムテック」を学ぶためのものです。
当講座では、医師・専門家によるEラーニングとオンライン受験により、近年拡大するフェムテックのムーブメントから、女性の一生涯の心身の変化と健康課題と、それに伴うリスク・予防法・対策・医療機関との付き合い方までを幅広く身につけることができます。
女性についてのリテラシー(=フェムテラシー)を高めることで、女性は長期的な視点で自分の「こころ」と「からだ」のバランスを保てるようになり、また、男性は周囲にいる女性への理解を深めることができます。
組織・チーム・家族間の認識の齟齬をなくし、年齢・性別を超えた「自分理解」「他者理解」「相互理解」を実現することで、すべての人が活躍できる社会を目指します。

日本フェムテック協会認定資格2級 - 一般社団法人日本フェムテック協会
https://j-femtech.com/certificate-l2/(2024年5月6日最終確認)

 この記事ではどのように受講したかや、講座を受けて自分なりに考えたことを簡単にまとめてみたいと思う。フェムテックやフェムテラシーに関心がある方、講座の受講を考えておられる方の参考に少しでもなれば幸いである。


きっかけ

 「フェムテック」という言葉を初めて知ったのは、3月8日=国際女性デーに合わせて新聞各紙に載った特集記事だった。ある新聞社では社員全員が「フェムテック協会認定資格3級」を受講したとのことで、調べてみるとWeb上ですぐ受けられる無料テストだったので自分も早速試してみた。
 結果としては合格だったが、当てずっぽうで答えたものも多く、自分が女性のことについて知らない事が多いと気付かされた(例えば現代女性は生涯に産む子どもの数が減っているため、生理の回数が昔より約9倍も増えているなど)。

 最近フェミニズムにも少し関心を持つようになり入門書を読むなどしていたが、その前に女性のことをもっとしっかり勉強したいと思い、専門家の講義が聴ける2級を受講することにした。

講義

 講座の流れとしてはまず全9回の講義(約4時間分)を視聴し、その後オンライン試験(選択式)を受けて合否が決定される。だが受講期間が2週間しかなく、平日は仕事もあり時間を取れなかったので、週末にまとめて視聴するしかなかった。

 当然ながら初めて知る内容ばかりで医療関係の専門用語も多く、1回視聴しただけでは理解が難しかった。ただ講座の最終回には試験に向けて要点をまとめた講義もあったので、テキスト(スライド資料)と合わせて繰り返し視聴することで少しずつ理解することができた。
 他にも講師の方が公開している動画でより理解を深めることも出来た。例えば膣から内臓(直腸や子宮)が出てくる骨盤臓器脱に対する治療法としてリングペッサリーの着用があるが、実際にどのようにして自分で着脱するのか解説した動画を観ることで、より具体的なイメージを持つことができた。

 しかし1点だけ注意が必要な事がある。この講義動画は2022年に公開されており、内容もその当時のものであるため、情報が古い場合がある。
 例えば子宮頸がんを予防するHPVワクチン接種について、現在日本国内で使用できるのは2価・4価・9価の3種類あるが、講義内ではそのうち2価と4価が定期接種の対象であると解説されている。しかし、2023年4月から9価も対象に含まれており、講座の中では講義内容が2022年時点のものであるという注意喚起もないので、最新の情報は自分で確認する必要がある。

参考:厚生労働省HP「ヒトパピローマウイルス感染症~子宮頸がん(子宮けいがん)とHPVワクチン~」(2024年5月6日最終確認)https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/index.html

試験

 全て選択式で講義の内容から出題されたが、難易度は高めだった。
 一般常識レベルからテキストの細かいところまでしっかり見ていないと答えられない難問もあったので、これから受講する人は講義動画はもちろんのこと、テキストもしっかり読み込むことをおすすめする。言い換えれば、講義内容さえしっかり復習しておけば十分合格できる試験なので、まとめて一気に勉強するよりスキマ時間を使って少しずつでも繰り返し復習して自分の中に定着させるのが合格への近道だと思う。

男性にこそフェムテラシーを

 小学校高学年だったある時、女子だけ教室に残って男子は別の場所に移動させられた記憶がある。後になって女子生徒はその時、月経について教えられていたのだと知ったが、この時「月経は女子だけの問題で隠すべき事」「男子は関わってはいけない事」という価値観も同時に植え付けられているのではないだろうか。その価値観は伝統とも言えるくらい遥か昔から続いているが、男女平等や男女共同参画社会が謳われる現代社会においてはその「伝統」による弊害の方が大きくなっていると感じる。
 特に男性である自分の体験から考えると、男子も月経について教わることはあるが、女子に比べるとその内容は非常に浅く、月経前症候群(PMS)や月経困難症など月経に伴う困りごとに至っては知る機会すらほとんど無い。そのためフィクション作品やインターネットなどで誤った知識や偏った考え方に触れてしまい、結果的に女性の悩みに対する無理解につながっている。

 女性特有の問題だから男性が知る必要は無い。本当にそれでいいのだろうか。女性の社会進出によって仕事や職場にもその影響が及ぶようになり、もはや当人だけの問題ではなくなっている。しかし正しい知識が無ければ「病気じゃないのに」「他の女性は大丈夫なのに」などと誤解を招く恐れがある(男性だけでなく女性も同様に)。
 仕事の場だけではない。そもそも女性と関わらない男性はいない。家族、友人などいくらでも女性と接する機会はある。さらに月経だけが女性の問題ではない。妊娠・出産、更年期、ポスト更年期(老年期)と、ライフステージによって女性の心身は大きく変動する。だがそれは、男性の身には想像の及ばないことだ。だからこそ、男性はより積極的に自らの意志で知ろうとしなければならない。

 ただ知ったからといって女性特有の健康問題やライフステージの課題の解決に直接つながるわけではない。しかし、いま目の前にいる女性の悩みに理解を示し、寄り添い、支えることはできる。女性の伴走者として。そのための、フェムテラシーである。

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