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新連載始めました

※この記事は2017年のものです。


某アプリで新連載「B-TRASH‼」始めました。(冷やし中華のように)

※2020年現在こちらで連載中です。


いつ始まるか自分でも把握してなくて(曜日勘違いしてた)開始前の予告・告知も一切ないという、今までと違う環境ですが勉強になりますし正直すごく恵まれてると思ってます。

(ちなみに大手出版社は非上場が多いですがIT系は株価が命なので事前情報は基本守秘です。僕程度の作家では関係ないっちゃないですがこれが世界的有名作家さんとかの新連載情報が洩れたらインサイダーですし)

追記:上記の理由より守秘には納得してましたが現実は言論封殺のために使われるくらいの意識で契約書を読むことをお勧めします。

しかし一話のネームも完成してないのに来月開始とか(無理でした)タイトルロゴが連載開始四日前に決まったりとかスピード感が従来の紙と全然違う!

変わる部活

今回の連載はずっとやりたかったバスケものというのもありますが、本当にこの時期・このタイミングしかなかったときにちょうど求められたものが一致したというか、いろいろ運命を感じるものでした。

ここ数年中途半端に流れた企画がいくつかあってきつい時期があったのも、全てこのためだったと思えば納得できるくらいです。

このバスケ漫画、僕は週刊連載時代からずっとネームを描いてたものです。それこそ何年も。それでも自分が納得できる完成度にすることができませんでした。打ち切りを経験し、本当に描きたいものだからこそ終わりたくない、安全策を取ろうと技術や理論が先行してしまい、本当に面白いと思える部分に向き合えなかったことが原因なのではないかと思ってます。

時期というとBリーグブームだとか、そんなに盛り上がってないんじゃ?とか思われると思いますが、実はポイントはそこではないんです。ハッキリ行って日本リーグ観戦からやってる身からすれば今の状況でも充分奇跡です。一番の変化はユース制度と3x3のオリンピック競技化です。もううまい奴は部に入る必要がなく世界に挑める、つまり高校部活構造がおそらく今後は変化してしまうことです。部活バスケは今しか描けないのです。

変わる漫画

もう一つ、今漫画は残念ながらタダで読むものになりつつあります。そして仕事はお金を出す人に主導権があります。つまり読者ではなくクライアントです。この変化を常々感じていました。そこでスポーツコンテンツが望まれることというのは、単純に今までの少年マンガの王道=スポーツという構造も変化しています。

では読者のためではないものが商品になるのか?という話ですが?そこも違う、お金を出したいという価値観が単純に読み物としての漫画ではなくなっていると感じています。読者がお金を出す価値があるものは漫画の向こうにあり、漫画はそのための通り道だと思ってます。向こう側で待ってる人たちが漫画家にお金を払うのです。

バスケで例える漫画業界の戦術

実は今読者の反応だけ見て残った漫画はどうなるかというと、デスゲーム(グロ)・グルメ・エロの三つしか残りません。これは断言できるし実際市場を見るとそうなってます。短期のアンケートと単行本一巻の初速で見ると生存欲・食欲・性欲に直結する極端なものしか残りません。せっかくだからバスケで例えるとこれは2mの選手です。試合時間が3分しかない、超短期で切られる中ではこういう力押しのコンテンツの方が圧倒的に有利なのです。

次に強いのは警察・医療です。これはドラマ化の道があるから、売り方が予測できるからです。ドラマ原作の候補には早い段階で目をつけられるけど、実際開始するには何冊分かのストックがいるし、売り出すときも2巻や3巻じゃうまみが少ないので、5巻分くらいまでのところで勝負がつきます。これは190㎝の選手ですね。15分のゲームであれば組み立てられる。少し長い目で戦略が立てられるんです。

対してスポーツでは序盤で見たことないような出来事は起こりません。現実の人間に可能な範囲内で物語を積み上げないといけないからです。だから特別な才能や霊がとりつくとかのトンデモで派手にしないと、仲間が増えてくことにも時間がかかるのです。これは170㎝の選手です。

それでも1試合あれば、最終第4クオーターで逆転できるかもしれない、長い戦略の中で勝負所があれば、走り勝つことができるかもしれない。失敗するかもしれない、でも少なくとも勝算を持って勝負に挑んでいます。

この最終第4クオーターが東京オリンピックです。長期戦略が組めるのです。それまでにスポーツコンテンツを持ちたい、野球やサッカーなどの既得権益企業で席が埋まってるスポーツではなくまだ余地があり、クライアントが欲しいコンテンツだから可能なんです。

需要に合わせるとだいたいすでにある

自分は正直デスゲームもグルメも、他に描きたい人がいっぱいいるからその人たちが描けばいいと思ってます。自分が漫画家になってまで描きたいものでは全くありませんでした。人生の折り返し地点まできて、やっと描きたいものに向き合える段階に来たと思ってます。

まぁそんなこと言っても結果が出なけりゃ終わるのも漫画ですが、そんなことは百も承知の上で、楽しんで描きたいと思います。

追記:本は出ないしオリンピックはないしで大誤算、からの逆転もあるので諦めたらそこで試合終了です。


同じく連載していたねこはなはなしの単行本化も発表されたので、しばらく食えそうなんで好きなことします。いやー、生きててよかった。漫画家になってよかった。


追記:漫画家になってよかった(二度目)


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