すし柄のハンカチーフ
歯医者に行こうと思って、時間ぴったりに家を出ました。
忘れ物をしがちなので、あれ持った、これ持った、電車の乗り換え確認した、よーしオッケーと玄関を出て、
青々した木々が綺麗だな〜、と駅に向かっていたところでマスクを忘れたことに気づいたのです。
やばい、取りに帰るか?
迷いましたが、5階まで上がる労力、遅刻が許されるかわからない危険性を考えてそのままいくことに。
とはいえ、どうしたものか。
電車ではマスクが義務付けられているので、ノーマスク・ノートレインです。
時々スーパーとかで見かけるように、服の襟首に鼻まで突っ込んで素知らぬふりをする? でも今日に限ってぴったりめのシャツを着てきてしまった。
本当は、駅までの道で、カバンの中に日本から持ってきたハンカチがわりの手ぬぐいが入っていることに思い当たっていました。
これをマスクがわりに顔にまくしかないことはその時点で明らかだったのです。
でも、手ぬぐいのこの柄。
漢字で鰹、鮪、鱶、鮭、鰈、鱧、鮎とか魚の名前がプリントされているいわゆる寿司屋の湯のみ柄。
本当はドイツでできたお友達に日本のお土産としてプレゼントしようと思っていたものを自分で使い始めてしまったものでした。
どうして私は今日に限ってこれを持ってきてしまったのか。
ためらいながらも結局私はそれでキュッと鼻と口をおおい、当たり前のことをしているのよ、という顔を作って出来るだけ堂々としていました。
でもやっぱり、私の姿は
すし食いねェ強盗
でした。
電車内では、どうか日本人に会いませんようにとひたすら祈っていました。
歯科治療は無事終わりました。
そんな今日でした。
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