試着室の外から店員に「いかがですか?」と声をかけられた時の反応に困っている話

タイトルに記載した通り、この状況にはいつも本当に困っている。前置きとして書いておきたいのだが、私は洋服屋の店員さんと会話するのが非常に苦手である。アパレルで働く人には申し訳ないのだが、これだけはどうしても克服できないでいる。

さて、本題。
洋服屋さんに行き、気になった服があれば買う前に試着をするようにしている。試着室に通されたらまず着替える。そして、色味やサイズ感が合っているかを確認。次に自身がすでに持っている服との被りがないか、既に持っている洋服と一緒に合わせて着ることができるのか等、鏡に映った姿を見ながら確認し、考えを巡らせる。本当にこれを買おうか。どうしようか。鏡の前で何周もくるくる回りながら、あれこれと考える。

その時である。ちょうどいいタイミングを見計らい、着替えが済んだ頃に例のセリフが扉の向こうから100%飛んでくるわけである。


「いかがですか?」


これだ。私を最大級に困らせる魔法の言葉「いかがですか?」これなのだ。外からこの言葉が飛んでくると私はいつもしどろもどろする。うろたえる。目が泳ぐ。


何と答えればいいのだ?


「いかがですか?」の先に店員はどのような返答を求めているのだろうか。もちろんこの「いかがですか?」は試着の進捗状況をうかがうものであることは十分わかっている。後の客も試着を待っている場合は、催促の意味も込められているだろう。そして試着した洋服はあなたにとっていかがですか?の「いかがですか?」である事も承知だ。ただ、もう一度言う。

何と答えればいいのだ!!!


返答その1 「着てみたんですけど」

もしここで「着てみたんですけど、、、」と言い、とりあえず扉を開けて店員とともに外にあるもう少し大きな鏡の前に行くとする。
すると、次の展開は容易に想像できる。店員に褒めちぎられるのである。必殺”お似合いですね”である。何なら「こっちの色もあって、この服と組み合わせると可愛くて、この着こなしが今の流行りで、、、」と立て続けにその服を着こなす自分をイメージさせる言葉を浴びせられる。
いや、ちょっと待って、私その着方はするつもりはなくて。その前にそもそもこれと似た服があったような。なんて考えたいのにその隙も与えないほどのマシンガントークの嵐である。試着室の中で考えを巡らせていた思考は一旦完全に停止させられ、そしてこの現象が起きる。
「あ、結構イケてるかも?」である。このイケてるかも現象に取り憑かれたら最後。試着室を出た後は待ち構えた店員さんに一言、「これでお願いします」である。レジへGOである。店員さんは売り上げゲットだぜ、である。無論、それが自分のお気に入りの一着になれば問題がないのだが、この様に買った洋服は私の場合たいていタンスの肥やしとなる。

「着てみたんですけど」、却下。


返答その2 「着てるんですけどちょっとイメージと違って」

「いかがですか?」と聞かれ「今、着てるんですけどちょっとイメージと違って」と返答した事がある。そこまでイメージと違ったわけではないのが、先述した通り私は試着室の中であれこれ考える時間が欲しいのだ。
なので、こう言えば「そうなんですね、分かりました」と食い下がってくれるはず!!!そしてもう少しだけ試着室の中で考える時間が増えるはずだ!!!と思い言い放った。自分の中では快心の一撃のつもりだった。つもりだったのだが、この攻撃は呆気なく打ち砕かれる。

店員「いかがですか?」

私「着てるんですけどちょっとイメージと違って(ドヤ顔)」

店員「えぇお似合いになりそうですけどね〜外に出て来て見せてくださいよ〜いいですか〜(ドア)開けますね〜」

私「へ?あ、はい」

店員「わぁ〜お似合いですねぇ〜〜(以下、返答その1と同様の展開)」

結局、試着室の外に出されてしまった。そしてレジへGOである。売り上げゲットだぜ、である。そしてタンスの肥やしとなる。 「着てるんですけどちょっとイメージと違って」、却下。


返答その3「まだ着替えてて〜」

困りに困り果てた私は「いかがですか?」と問いかける店員に対してついに「まだ着替えてて〜」とウソをつくようになる。圧倒的ウソである。圧倒的に着替えおえている。しかし、どうしても外に出て店員に褒めちぎられることを回避したい私にはこの言葉しか残されていなかった。そしてこの言葉はご想像の通り、最強だった。
「まだ着替えてて〜」と言い放った後の扉の向こうの店員は「あ、そうでしたか!ごゆっくりお着替えください」と言って扉の前からさって行く。ついに勝ち取った。圧倒的勝利だ。
しかし、だ。このウソをついた後というのは何となく後味が悪い。そして店員も気付いているはずなのである。その証拠に試着室を出た後の気不味さといったらない。購入を決めていればその気不味さは多少解消されるものの、購入せずに出ようとする時なんぞ、下を俯き返却して足速にその場から立ち去る始末である。なので「まだ着替えてて〜」作戦はなるべく封印しておきたい。保留。

こうして私はいまだに「いかがですか?」に対するポップでキュートでチャーミングな返答を模索し続けているのだが、いまだに見付かっていない。皆さんどうしてるんだろう。こんなくだらない事を考えているうちにまた新しい季節が来そうだ。

#洋服 #試着 #服屋の店員

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