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免罪符

あるところに素晴らしい作品を次々と作り出す、偉大な芸術家がいました。

彼の生み出す物は人々の心を掴み、
多くの人たちが彼の作品に夢中になりました。

初めのうちは謙虚だった彼も、
周りの人たちにチヤホヤされるうちにだんだんと傲慢になっていきました。

自分は偉大なのだから偉大な人としか話をしない、と作品を好きいてくれる民衆を冷たくあしらうようになりました。

自分は偉大なのだから、お金をもらって当然とたくさんのお金を要求するようになりました。

自分は偉大なのだから、女性たちに何をしても許されると、たくさんの女性たちを奴隷のように扱うようになりました。

それでも彼の偉大な作品たちは偉大な作品のままであることは変わらなかったので、
人々は偉大な芸術家の偉大さを讃え続けました。

しかしその一方で、偉大な芸術家に嫌な想いをさせられた人たちは我慢をし続けていたのです。

やがて偉大な芸術家も歳を取り、偉大な芸術家のまま亡くなりました。

偉大な芸術家が死んだので、
今まで我慢してきた人々は堰を切ったように彼の悪行を暴露し始めました。

わたしは彼にバカにされた!
わたしは彼にお金を奪われた!
わたしは彼にレイプされた!

わたしも!わたしも!と人々は次々に告白し始め、
彼の偉大な作品は次々と壊されはじめました。
そして彼の偉大な作品は全てこの世から無くなってしまいました。

それだけでは収まらず、
彼の偉大なお墓も壊され、そこには新たな石碑が立てられました。
そこにはこう書かれてありました。

「偉大なる功績はお前の悪行を許す免罪符では決してない」

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