ちはやぶる神代も聞かず竜田川からくれなゐに水くくるとは
在原業平朝臣
二条のきさきの春宮の御息所と申しける時に、御屏風に竜田川にもみぢ流れたるかたをかけりけるを題にてよめる
ちはやぶる神代も聞かず竜田川からくれなゐに水くくるとは
(ちはやぶる かみよもきかず たつたがわ からくれないに みずくくるとは)
ちはやぶる…神にかかる枕詞。
神代…神々がおさめていた時代
くくる…絞り染めする
訳 二条の后が、東宮の御息所と申し上げた頃、竜田川に紅葉が流れているさまの描かれた屏風を見て詠んだ歌
神がおさめていた時代でもこんなことは聞いたことがないだろう
竜田川が真っ赤になっている
そしてあちらでもこちらでも紅葉がとどまり、あたかも絞り染めの反物のようである
視覚でイメージしやすい。
美しい屏風絵だったのだろう。
この歌は説明文のようだ。
そして私もまた説明文を説明する文のようになってしまった。
同じ日と思われる日の、素性法師の歌。
もみぢ葉の流れてとまるみなとには紅深き浪や立つらむ
淀みに紅葉がたまる様子が詠まれている。葉が何枚も重なる様が美しい。
二条の后とは、在原業平と噂のあった方ですね。
かつての恋人を部屋に呼ぶかしらと噂そのものも疑ってしまうが、とにかくこれらの歌は彼女の部屋にあった屏風絵を見て詠んだ歌である。
在原業平朝臣
出典 古今和歌集、百人一首17番歌
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