2021/05/08 大好きな本のことを思い出した
懐かしいというだけで、胸がいっぱいになることがあります。
子どもの頃、ものすごく好きだったはずなのに、ずいぶんその存在を思い出しもしなくなっていたものの記憶が、ふとした時によみがえること、あるでしょう。
先日、パンジーの鉢植えを目にしたとき、小学生の頃に夢中で読んだお気に入りの本のことを思い出しました。
[銀色夏生/かわいいものの本]
わたしが小学生の頃の本ですから、かなり古いのでご存じない方も多いかと思います。発売年を調べたら1999年の本でした。わたしが9才の頃です。
この本の中に、パンジーの花弁の柄がおじさんの顔のようだと書いているページがあるのです。
わたしは今もかなり可愛いもの好きですが、当時から小さいものや、可愛らしいものには目がなく、この本はわたしにとってバイブルのようでした。
この本は、「本」のような顔こそしているものの、ほとんど写真集のような感じで、全頁フルカラー、たくさんの写真に、銀色夏生の言葉がすこしずつ添えられているような構成。
動物の形の小さな消しゴムを熱心に集めていたわたしに、母が買い与えてくれた本でした。
どこかの国のヘンテコなお土産や、色とりどりのシリアル、窓や扉の位置のせいで顔みたいに見える家、動物や食べ物の形の消しゴム。
写真がどれも、トイカメラで撮ったみたいな、ぼんやり乾いた質感なのも、あたたかみがあって好きでした。
その後わたしが高校生くらいの頃に、世間にトイカメラブームがやってきたのを記憶していますが、わたし自身トイカメラの存在を知った時、考えるより前にドはまりしてしまったのも、小学生の頃にこの本で触れた写真のような風合いが懐かしかったからかもしれません。
キンドルでかわいいものの本を検索したらあったので、懐かしいなあと購入して数ページ見てみましたが、ただただ、可愛い、うれしいだけなのに、うっかり泣きそうになりました。古い友だちにばったり出会ったような。
9才の自分のことをたくさん思い出しました。
匂い付きのペンのこととか、気に入って履いてたスニーカーのこととか、体育がきらいで仮病をつかって保健室でサボった日のこととか。
この本のことを思い出したおかげで、紐づいた他の記憶もぽつりぽつりとよみがえってきて、ああわたしも生まれていきなり30歳だったわけじゃなくて、ちゃんと小学生時代があって、こういう本を気に入って読んでいて、それが影響して今のわたしみたいな人間ができあがったんだなあと。しみじみ。
今わたしが関わっている人たちにも、わたしの知らない過去や記憶が当然あって、その積み重ねをわたしは「素敵だなあ」とか「可愛いなあ」と感じてるんですもんね。
良い本のことを思い出しました。大好き~。
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