坂道を転がり落ちて大笑いしてたいような悲しい日です
2020/05/13 好きなのにうまくできないこと
時間はたくさんあるのに、筋トレもサボっているし、好きなアーティストの新曲が配信されたのにも気づかなかった。
そのかわり、少しだけ本を読むようになった。
わたしは、もともと読書があんまり得意ではない。
かなしいのが、読書が嫌いなわけではないということ。
文字を読むのはもともと好きで、たまに読みたい本があると頑張って読むのだけれど、単純に読むのが遅いし、気になったところがあると、途中で引き返したりもするから、とにかく読み終わるまでに時間がかかる。
せっかく楽しみに開いた本でも、長い間じりじりと読み続けなければいけないし、そのうちうっかり飽きてしまうこともある。
人から本を借りた時なんて、早く読み終わって返したいのに、なかなか読み終わらず、だんだん早く返さなければと気持ちが急いてきて、本の内容どころではなくなってしまったりする。
わたしにとって読書は、気軽に始められない、それなりに気合が必要な行為だった。
好きなのにうまくできないという点で、読書と飲酒は似てる。
好きなのに、たくさん飲めないし、サクサク読めない。
うまくできる人を羨ましく思ったり、うまくできない自分をもどかしく思うことは、もう気が済むまでやったから、今は、へたっぴでもいいから自分の好きなペースでやってみようかなという気持ち。
そういえばここのところ、家でお酒も飲むようになった。
わたしはあと数ヶ月で30歳になるのだけど、お酒を楽しく飲むことと、本を少しでも読むことは、わたしのなりたい30歳には必要な気がしている。
30歳のわたしのかばんには、お気に入りの文庫本が入っていたらいいなと思う。
2020/05/14 童貞になった
事務所へ出勤すると、異動になった後輩の座席が空っぽに片されており、他人ごとだった寂しさが、急に自分のものになった感じがした。
わたしのデスクには、彼女からのお別れのお菓子が置かれており、「今までありがとうございました」と書かれたカードがついていた。
彼女の書く文字は、筆圧が強くて下手くそだけど、いつも前しか見てないって感じですごくいい。
わたしが何か言う前に、もう遠く遠く、遥か彼方に彼女が走っていく背中が見えるようだった。
久々にハイヒールを履いて出勤すると、歩き方がわからなすぎて少し笑ってしまった。
どこに力を入れるんだか、どこから着地するんだか、よくこんな靴を毎日履いて歩いていたなあ、と遠い気持ちになる。
けれど、タイトスカートにハイヒールで街を歩くと、心がみるみる強くなるのを感じた。これはやっぱりわたしの戦闘服だったんだ。
ガラス張りの建物にさしかかったとき、ふと自分の歩く姿が目に入り、自分でいうのもなんだけど、すごくキリッとしていて、自分で自分が頼もしく思えた。
出勤者を増員した関係で、事務所での業務は比較的穏やかに進んだ。
仕事のこととはいえ、他人とああでもないこうでもないと言葉を交わすのはとても心地が良かった。
言葉を交わすだけでこんなに幸せなら、例えば人の手に触れたり、そっと抱きしめたり、唇を寄せたりできたら、どうなってしまうだろうか。
人の皮膚、その奥から伝わってくる鼓動、表面の温度やにおい、質感、すべてが今はほとんど想像上のものになりかけている。
思い出せないんじゃなくて、もともと知らなかったのかもしれない。
わたしは、もうすっかり童貞みたいになった気持ちを抱えたまま、ハイヒールの足を組み替えて座り直し、童貞のような自分に気づかないふりをして黙々と仕事を終わらせた。
2020/05/16 反省してないって思うでしょう
わーん。やっちゃった。
朝、適当な時間に起きて、のんびりご飯を食べていたら、突然会社のチャットに新着のメッセージが入った。
地方の支社の女の子から、「今日はよろしくお願いします」と。
慌てて手帳を開くと、5月16日のところに「★出勤日」と、よく見知ったわたしの字で書かれていた。
わたし、なんでまだ家にいるんだろう・・・。
けっきょく、半泣きで各方面へ連絡し、今日の仕事は在宅で対応することになって事なきを得た。
わたしは普段、あまり人に自分の弱みを見せたくないというか、常に穏やかで、余裕があって、やることはちゃんとやってるみたいな感じでありたいと思っているのだけど、本質的にはおっちょこちょいなので、たまにこうやってやらかしてしまうことがある。
でも、こんなことは入所以来初めてのことで、実はけっこうへこんじゃったし、すごくすごく反省した。
けれど、反省してへこみながらも、なぜか唐揚げにかけるレモンと篠崎愛について真剣に考えたりもした。
わたしは唐揚げにレモンをしぼることに関して、どちらでもいいというか、どっち方向にも強い信念がないのだけど、しいて言うなら、基本的にはそのまま食べて、たまにちょっとレモンをしぼりたい。
で、篠崎愛に関しても、基本的には素材としての彼女が好きなので、そんなに濃いメイクはしなくて良いと思っているけど、たまに真っ赤な口紅とか塗ってるのを見ると興奮する、という感じ。
つまり、わたしにとって唐揚げも篠崎愛も同じような感じで、唐揚げは唐揚げというだけで尊いし、篠崎愛は篠崎愛というだけでありがたいんだけど、たまにちょっと変化があると尚良いというか。
これが、出勤をすっぽかして反省しながら、わたしがたどり着いた答え。
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