今はもう必要のないものだけど、今すぐ捨てる必要もない

2020/05/01 「不二家のネオンで目がつぶれろ」

 出勤日。
 事務所への出勤日が減ったことで、当然出勤した日の負担は大きくなった。毎度毎度、出勤した日は、本当に頭から煙が出るんじゃないかと思いながら働いている。

 今日も煙を出す勢いで仕事を片付けていると、ビルの窓清掃の人が、ゆらゆら揺れながら過ぎ去っていくのが見えた。
 ゆらゆらするものは好きなので、仕事の手を止めて窓に駆け寄った。
 もう下の階の窓を拭き始めている清掃員さんが見え、しばらくぼんやりと眺めてしまった。気持ちよく晴れていた。

 昨晩テレビでタコスを見てから、ああいう異国の味がするものを食べたいという気持ちのメーターが振り切れており、ランチはタコスにした。
 わたしのタコスを作ってくれた、頼りない男性店員のマスクは天地が逆だった。

 帰りがけ、お昼にタコスを買ったお店の前を通ると、真っ暗なお店に、お酒の名前のネオンだけが、青く、ぼーっと光っていた。

 歩いているのはわたしだけで、車が次々わたしを追い抜いて行く。
 何かどうでもいいことが心の中にいくつも浮かぶけれど、自分自身がそれに気づいて言語化する前に、どんどん消えていってしまうような感覚。それはそれで気分が良かった。

 有楽町駅の近くの交差点で上を見ると、不二家の看板の電気が切れらており、思わず写真を撮った。

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[カラ館本店もお休み]


 むかし事務所の先輩が、仲の悪かった地方の所員が東京に異動してくるとわかったときに、「不二家のネオンで目がつぶれろ」という悪態をついていたの思い出したりした。


2020/05/02 衣替え

 暑い。びっくりした、夏かな。
 気がついたら冬が終わって春も終わっていた。その存在すら忘れていた衣替えのことを思い出し、急にクローゼットの服の断捨離に取り掛かった。

 わたしは、tofubeatsの衣替えという曲がすきだけれど、わたしのやる衣替えってあんなに静かで美しくなくて、もしBGMを付けるとすれば、小林旭の「ダイナマイトが百五十屯」って感じ。 
 ダイナマイトが百五十屯みたいなリズムで淡々と片付けていると、衣替えはあっさり終わってしまった。

 衣替えついでに、通販で服をいくつか注文した。
 本格的に暑くなるころには、不衛生で密度の高いあそびがたくさんできますように。

 わたしは体調が悪いとメンチカツを受け付けない。
 これはみんなそういうものだと思い込んでいたのだけれど、マストドンでそのようなことを口走ったら「いや体調悪くても食べれるけど…」みたいな反応が返ってきて、とても驚いた。

 わたしは以前、インフルエンザで高熱を出して寝込んだ際、メンチカツでできた山を泣きながらよじ登る夢を見てうなされたことがある。
 なぜ泣いていたかといえば、一番はメンチカツのにおいだったと思う。
 体調が悪くて、もうポカリ以外は無理みたいなところに、あのお肉と油のにおいは非常にヘビーで、それだけでもしんどいのに、おまけに衣の油で手が滑るし、本当にきつかった。

 生きているとけっこうきついことも起こるけれど、体調が悪い時に泣きながらメンチカツの山をよじ登るよりきつかったことって、そんなにないかもしれない。


2020/05/03 フェスの思い出

 部屋を掃除(物色?)していたら、むかし好きだったバンドのグッズや、10年以上前にフェスの物販で買ったものが出てきた。

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[オーパーツたち]


 パンク・スプリングは、わたしが人生で初めて行ったフェス。
どんな格好をして行ったとか、どんな気持ちだったとか、今でも鮮明に覚えている。
 もともと中学時代からビート・クルセイダースが好きで、「ビークルが出るフェスが春にあるらしい」という一点でチケットを取り、幕張メッセに行った。高校に入学する前の春休みだった。

 物販で買ったTシャツやタオルをその場でバリバリ開けて、地べたに座って着替える感じ。ワクワクしながらクロークに荷物を預ける瞬間の高揚感。すぐに失くしちゃいそうな、小さいドリンクチケット。
 ただただ楽しかった記憶で、胸のあたりがじわっと熱を持つ。

 フェスといえば、高校1年か2年の頃に行った、デビロックフェスティバル(デビロックっていうお洋服のブランドの10周年記念のフェスが新木場のスタジオコーストでやったやつ)のこともよく思い出す。

 なんのバンドの時だったか、わたしの目の前で見ていた外人さんのカップルが突然いちゃつき出した。
 いくらAVをたくさん見ている女子高生だったとはいえ、目の前で実物の人間同士がくんずほぐれつしているのには驚いてしまい、「ひゃ~」って感じでその場を離れた。
 どきどきしながら歩いていると、今度はお手洗いの手前の薄暗がりで、度を越してくんずほぐれつしている別のカップルにまた遭遇してしまい、「セックス、ドラッグ、ロックンロール…」って思いながら、自販機で冷えたお水を買った記憶がある。

 学生時代はいろんなフェスに足を運んでいたけれど、就職1社目がブラック企業で異様に忙しかったため、どんどん足が遠のき、そのまま今日に至ってしまっている。
 今でも音楽のライブにはたまーに行くけれど、フェスというものに、またいずれ行きたいなあと思う今日この頃。

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