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夢を実現できる未来

大人になったら、一緒にクレープ屋さんをしよう。

そう約束していた。

バスと電車を乗り継いで学校に通っていた小学生の頃、帰り道が一緒だったひとつ年上の友達がいた。

読書好きなのも彼女の影響が大きい。

夢中になってる本があれば、紹介しあい、車内で各々読書するだけという日も少なくなかった。

あの頃は超能力、宇宙人やU.F.O、心霊写真も全部得体の知れない"オカルト"としてひとくくりにされ、本屋の子供コーナーに平積みされていた記憶がある。

私たちも帰り道、そんな話をしながらどきどきわくわくしていた。

どうやら超能力は鍛えれば身に付くんだという情報を入手した私たちは、ちぎった紙に○×△のマークを書き裏にして、眉間の前に提示し、透視するというトレーニングに励んでいた。

今考えるとそれは3分の1の確率だとわかるのだが、真剣そのものだったわたし達は偶然その通りのマークを言い当てると驚いて、だんだん力がついてきたと称えあった。

そんな帰りみち、いつか、一緒にクレープ屋さんを開こうという話になった。

原宿、竹下通りでおしゃれな女子が食べるクレープ。

小学生には手が届かない世界という憧れもあったのだろう。

バスの中でランドセルを膝に乗せてノートをひらく。サンリオだったか可愛いノート。

どんな内装にしようか、椅子は丸くて少し高めがおしゃれかな。

バナナやチョコや生クリームが入った、ワンパターンばかりじゃダメだね。ハンバーグやツナが入った食事系はどうかな?

(今は食事系も普通だが最先端は私たちだったと自負している。)

そう、私たちが開くお店はそこらのクレープ屋とは違うんだ!と意気込んでいた。

ランドセルの上でのアイデアは希望に満ち溢れていた。


いつの間にか私たちは大人になり、就職し、同級生ではない私たちは疎遠になった。

彼女は日本料理屋で板前になった事、今はアメリカで家庭を持ったらしいと風の噂で聞いた。

あれからとうに30年以上経つだろう。

オカルト扱いされていたそれらは随分立証され、もはや宇宙人はいないと断言する方が難しい。

あれからクレープ屋計画はどうなったか。

あの頃お店を開く資金はもちろん、生地をうすーくきれいに焼く技術さえ持ち合わせてはいなかった。

ただあったのは根拠の無い自信と意気込みだけ。

今は店舗を構えなくともネット販売という手段があるし、無料からネットショップを開設できるbaseというツールもある。

あの頃より夢を実現できる条件は整っているのだ。

未来はいつも夢を応援してくれている。

実現させないでいるのは夢を持てずにどうせ無理と思ってしまう自分にあるのではないか。

また夢を持とう。わくわくしてみよう。

夢を実現できる未来はあると信じて。

今日は生地をうすーく焼くトレーニングから始めてみようか。




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