見出し画像

12年目に向けて

 先日、BL作家デビューさせていただいて、丸11年を迎えました。去年の10周年の時には、記念にデビュー作の10年後の同人誌と、これまで書いてきた紙本作品の番外SS集を出したりして、自分の中でもお祝いモードというか、さあ、これからBL作家としての第二章が始まるんだ! とテンション上がっていたのですが、一年過ぎてみて、少し静観している自分がいます。

 別に冷めたとかそういうわけではなく、もちろん嬉しくて、Xでのお祝いコメントやいいねに感動し、こんなにたくさんの方が心を寄せてくださっている……と、その幸せを噛みしめました。静観というのは、変化に対応していかないとな、ということです。紙本から電子化への流れ、投稿サイトからデビューされる方々の斬新な発想は、私の中で大きな展開です。自分の「感覚」は古いのか、でも新しさに身を投じることがベストではないのではないか。では、生き残っていくにはどうすればいい? そもそも、年々集中力は減退し、体力も衰え、持病もある。私、いつまで書けるのかなーと考えている。でも、そんなにネガティブではなく、そんな自分を違う場所から淡々と見られるようになったというのか。

 結局答えはひとつしかなく、流行りや売れ筋というものにできる範囲で寄り添いつつ、自分の持ち味との融合をはかる。黄門様の印籠的なね。もっと簡単にいえば、花組(すみませんヅカネタ)じゃないけど「たゆたえども沈ます」といったところでしょうか。NewWaveをがんがんじゃなく、ふわふわと漂っていければいいなと……。
 デビュー作が出てから数年、崖っぷちどころか完全に沈んでいた私が、今なんとかまだこの業界にいられるのだから、それだけでもすごい、自分すごい、と自分を褒めておきます。

 2024年は既に一冊文庫を出していただき、あと一冊か二冊予定があります。電子はまた、非BLに挑戦する予定です。とにかく、いただいたお仕事をしっかりと進めていくのみ。作家として、一人の社会人としてね。
(余談ですが、私はずっと「作家」という肩書きが使えなくて、十年目前頃に、「よし、名乗るぞ」という感じで、自分のことをBL作家と言うようになりました。メンタルがよわよわなんですよ。そんな、自分が作家だなんておこがましいというか)


「トライアングル」という作品があります。

 デビュー前に「小説家になろう」のBLジャンル「ムーンライトノベルス」(今もあるんやろか)で連載していたもので、BLですけれども、女の子との恋愛エピソード、近親間での恋愛など(行為描写はありません)詰め込まれた作品です。メインキャラは高校生だしね……。若気の至りで書いたような(いや、当時既に若くなかった)ふんわりとしたストーリー感だけでプロットもなく、連載というかたちでEndに向かって書いていったものです。デビューしてから、いくつか過去作を改稿して発表させていただきどましたが、この作品はもう本当に行き場がなく、でも読み返してみたら、「一生懸命書いてるな……」などと感傷的になり(昔の自分に上から目線)、ここnoteの場をお借りして、何回かに分けて全文掲載したいと思います。文章や構成など直さずそのまま。十数年前の作家志望のおばちゃんに思いを馳せていただけたら幸いです。もちろん、楽しんでいただければ嬉しいです。
 やっと、終の住処を与えてあげられる。今はそんな気持ちです。これを機会に初心に返り、12年目を泳いでいきたいと思います。

 




 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?