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アルハイママとの窓の開け閉め戦争

お盆を過ぎて、北海道はもう秋の気配。涼しくなってホッとしている。里帰りはいつも冬だったので、夏をこの家で過ごしたのは何十年ぶりかだ。
父や弟から「夏は大変だぞ。」と言われていた意味がよーくわかった。アルツハイマーの母と夏の家で過ごすのは本当に大変なのだ。我が家は北海道の中でも涼しいエリアなので、エアコンはない。窓を開けてさえいれば風が通ってそこそこ涼しいし、扇風機があれば暑さはしのげる。
ところが母は窓が開いている状態を容認できなくて、開いている窓は即座に閉める。暑さとか、風を取り入れるとかそういうことは関係なしに、とにかく開いているものは閉める習性が身についているみたいなのだ。

体温調整と温度感知機能が鈍っていてあまり暑さも感じないのかもしれない。少し動いて汗をかいた時は扇風機の前に座り込むことはあっても、扇風機もずっと付けっ放しにすることはない。
デイサービスのお迎えスタッフさんと雑談したときに、施設でも利用者たちがエアコンが寒い寒いというのでドライ送風にしているとか、真夏でも冬用の下着を使っている人が多いとか、そんな話を聞いた。認知症の一般的な症状の一つということか。

でも、一緒にいるわたし達は暑いんだよ〜汗

わたしは自分の部屋があるのでまだ良いが、日中、居間で母と一緒にいる父親はもっと大変。父もいい歳だから融通がきかなくて、分かっちゃいても説得したり、文句を言ったりして結局険悪ムードに発展する。

母が窓を閉めようとする度に、わたしも色々試したが、正論をぶつけると反論とともに不機嫌になるので、早々にやめた。「窓が開いていると部屋が湿気る」が母の反論だ。「暑いからもうしばらく開けておいてもらえない?」のお願いモードは少しマシ。でも数分後には同じことが繰り返される。いちいち問答するのにも疲れてしまって、一旦閉めてもらって、母がその場を立ち去ったタイミングで無言でまた開けるという戦法にたどり着く。
かくして母とわたしの窓の開け閉め戦争は夏の間中続いた。

忘れる能力って最強だ。
開けても、開けても、閉められる。こちらには「また〜?」のイライラが発生するけれども、アルツハイマーの母には数分前の記憶はもうないので、あどけない顔で窓を閉めにくる。この戦いは圧倒的に母が有利だ。家族みんながぐったりと戦い疲れた夏だった。


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