どうしてもハゲるという話

予測可能回避不可能とでも言おうか、どうしても避けがたい運命的なものはある。その中の一つが表題の通り、どうしても将来ハゲるというものだ。

何を隠そう、私の父はハゲである。
比較的遅い子で、しかも次男だったために、物心ついた頃から既に父はハゲであった。

父がハゲを自覚したのは、兄と一緒に風呂に入っていた際に何気なく言われた「おとうさん あたま やぶけてるね」の一言だったそうだ。
厳密にいつとは覚えていないそうだが、状況から察するに37歳ぐらいではなかろうか。

ちなみに現在、私が32歳である。

親戚の集まりなんかに行けば一目瞭然なのだが、揃いも揃ってみんなハゲである。
こんな話をすると「お母さんの方の遺伝があるからまだ悲観的にならなくていいよ」という旨の謎の慰めの言葉をいただくことが多いのだが、
母方の親戚一同もちゃんとハゲているので安心してほしい。

次いで多いのが「隔世遺伝ということもあるからまだ希望はあるよ」という慰めの言葉なのだが、
曾祖父の代までキチンとハゲているので抜かりは無かった。

もはやハゲの純粋培養であり、ここまで来ると必要なのは隔世ではなく覚醒である。

次いで言われるのは「今のうちから育毛」「昆布、わかめ」etc...だが、大阪大学皮膚・毛髪再生医学寄付講座教授の板見教授は無慈悲にもこう語る。

Q毛穴に詰まった汚れを取るとハゲない？
Ａ本来皮膚の汚れ程度で毛の成長は止まらないから、毛穴をきれいにしてもハゲるときはハゲる。

Ｑ生活習慣を改善したらハゲない？
Ａ統計上30年前の生活習慣や食事と今と比較してもハゲの数に変化は無いので、ハゲるときはハゲる。

Q海藻を食べると毛が生える？
Ａ単なる色の連想ゲーム。海藻だけでは毛は生えない。

Ｑ頭皮が硬かったり薄いとハゲるのでマッサージすると良い？
Ａ50年前の迷信。男性型脱毛症では頭皮が柔らかく血流がよくてもハゲるときはハゲる。

Ｑ炭酸で頭を洗うと毛が生える？
Ａ生えない。気持ちがいいだけ。

Ｑノンシリコンシャンプーは頭皮に優しい？
Ａ科学的に否定されているのでどちらでもよい。

Ｑ頭が蒸れるとハゲる？
Ａ関係ない。ハゲる人はハゲる。

Ｑ体毛が薄いとハゲない？
Ａ関係ない。ハゲる人はハゲる。

Ｑ白髪の人はハゲない？
Ａ関係ない。ハゲる人はハゲる。

（出典：ハゲるときはハゲる！ NHK「抜け毛を科学する」の内容が身も蓋もなさすぎて話題に）

毛の専門家を以てして「ハゲる人はハゲる」と言わしめることしかできないって凄いことだと思いませんか。
特に最後の2問。親戚見ると特に体毛も濃くないし、普通に白髪でハゲなので、もうこれはハゲると思って身構えておくしかない。

これでハゲなかったら、むしろ拾われた子なんじゃないかと思うレベルなので、その暁には両親に本当の出自を聞く所存である。
ちなみに、ハゲないと思って抵抗したことはないが、「まだ」ハゲていないという抵抗だけは続けている。

もし夭折するのであればハゲる前であってほしいと願って止まない。