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ドキュメンタリーとフィクションが交差するトランスシネマ 『アンヘル69』 テオ・モントーヤ監督

山形国際ドキュメンタリー映画祭2023の「インターナショナル・コンペティション部門」で上映されたテオ・モントーヤ監督の「アンヘル69」。すみれとエツオが鑑賞直後の感想を語ります。

エツオ:今回は、歩きながら感想を話そう。いま見たばかりの『アンヘル69』について。

すみれ:私はすごく好きで、面白いと思ったね。

エツオ:何が良かったの?

すみれ:この映画は「トランスシネマ」と言われているんだけど、「トランスする」ということを表現していて、性的な「トランスジェンダー」という要素も含まれている。現実世界を超えたいという意味があるんだよね。ドキュメンタリーとフィクションが交差している映画で、評価が少し難しいかもしれないけど、よくまとまっていると思ったよ。どう思った?

エツオ:そうだな。映像がすごく綺麗だったね。

すみれ:本当に。近未来的な薄暗さを綺麗に撮っている感じだった。点数は、私は8点くらいだと思う。

エツオ:目が赤いゴーストが出てきたりして、B級映画っぽい雰囲気もあったけどね。

すみれ:あれは、そんなにいやらしくなくて、ギリギリを攻めているなと感じた。

エツオ:そうだね。発想も面白かった。

すみれ:地上に潜んでいるイメージを表現すると、あんな感じになるのかな。

エツオ:ある種のニヒリズムなんだよね。

すみれ:アンヘル69という男の子も、死んじゃったけど、そのインスタのアカウントは生きてるんだよ。

エツオ:そうだね。ああいうコロンビアのすさんだ街で、ああいう人生を送っていても、それを美しく表現することもできるということかもしれない。

すみれ:彼の死因は、薬物か自殺かということだけど、トランスジェンダーの人たちは自殺が多いというからね。

エツオ:この映画に出てくる人たちは、感情が麻痺しちゃっているようなところもあると感じたね。

すみれ:映画としては、アンヘルが亡くなったことで、彼のオーディション風景を生かすために、ほかの人たちのオーディションのシーンも撮ったという感じだったね。

エツオ:そうだね。

すみれ:そうすることが必要だったということね。


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