月が冷たい夜は
昨日は満月だった。明けて本日は十六夜の月、まだまだ大きな月は美しく輝いている。
それにしても、初めて見る訳でもないのに、何故満月を見ておきたい衝動に駆られるのだろう。日々満月が近づくまでのカウントダウンが始まり、日増しに丸くなる月をほくほく顔で眺める。そしていよいよ満月の日。ツウはやはり、空へ昇ったばかりを狙う。ひときわ大きな輝きを放つ、昇りたての月。誰かが詠んだようにのっと昇ってくるのだ。
空気が澄んだ真冬は、月見をするには最高だけど、当然とても寒い。そこに満月の、明るく降り注ぐ銀色の月光である。目に入る冷たさが、いよいよ空気を冷たく変えるのだ。そんな寒さをおしても、瞬く星空にため息をつきながらの月見は最高なのである。
月光をまとうと、自分に特別な力が宿る気さえする。今日一日いろんな事があったけど、全て月光が叶えてくれる気がする。手を伸ばしながら、腕にかかった月明かりのベールを、ゆっくり揺らして夜は更ける。
そんなひとときも、現実そう長くは居られない。ベランダに落ちる月明かりにいよいよ身体が冷やされ始めたら、今夜はここで終わり。
上着も羽織らずパジャマで氷点下にこんな事して、ちょっと自暴自棄だなと笑う。まぁ冷えた髪も身体も、急いで布団に丸め込むから、いいのだけれど。
おやすみお月さま、今夜もありがとう。
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