【シナリオのネタ】結局面白い作品とはなんなのか
シナリオライターとして、これまで数多の作品を書いてきた。
稼ぐために、YouTube用の極右向けの脚本を書いたりとか、VYOND動画の脚本を書いたりとか、Vtuberのシチュエーション台本だとか、DLsite向けのアダルトボイスドラマだとか。それ以外にも、CS機用のシナリオとか、ソシャゲのシナリオとか。
かなり多岐のジャンルにわたって、作品を書いてきたと思う。
でも、いまだに「面白い作品を書くために必要なこと」というのはわからない。
肌感覚として、「これはつまらないな」「この展開は面白いかも」というものはもちろんあるが、では実際になにが「作品を面白いたらしめているのか」という点では、言語化はあまりにも難しい。
ただ、創作作品で売れているものというのは、大半は「読者の満たされない物を創作で満たす、いわば代償行為である」と思っている。
ジャンプで「友情努力勝利」がコンセプトに上がった70年代はバブルで、人々は皆努力をして何かを成し遂げようとしていた。
その、「努力すれば高みに到達できる」という、バイブル的な存在として当時のジャンプ漫画はあったのだろう。
だがしかし、現在では努力をして何かを成し遂げる、というのはどちらかというと、日本人の潜在意識的に嫌われるものとなってしまって、より楽に何かを達成できるなら、という方向に進んでいるような気がする。
チートやハーレムが好まれるようになったのもそういった背景がある気がして、「現実で何かを達成するための努力はしたくないが、結果は欲しい」とか、「俺はこんなに優しくて、それに気づいてくれる女の子が現れて欲しい」とか、そういう願望のようなものを消化してくれるのが今の作品の根本にある気がする。
もちろん鬼滅の刃や呪術廻戦など、現代にも売れるような、キャラクター自身が努力をする作品は多くある。が、よりインスタントに売れる作品を書きたいなら、そういう代償行為として満足できる作品の方が、簡単なんだろう。
結局、面白い作品とは、読者の願望を満たすことができるものなのではないのだろうか?
楽に恋愛したい、楽にお金持ちになりたい、楽にいい地位に着きたい。とか。
はたまた、嫌がらせをしてくるやつに爽快な一撃を入れて復讐したい、とか。
現実でのモヤモヤなんかを、漫画がスカッと一刀両断にしてくれるものを描かなくては、面白い作品とはいえないのだろう。
現実の社会問題なんかは、入れてもいいかもしれない。けど、それは、一定の層にはウケるかもしれないけど、逆にそれとは逆の立場を支持している人にはウケないだろう。
マズローが提唱する七大欲求。
①生理的欲求
②安全の欲求
③所属と愛の欲求
④承認の欲求
⑤自己実現の欲求
⑥知る欲求と理解する欲求
⑦審美的欲求
社会問題を提起するのは、これらの七大欲求に訴求する作品の根幹が完成してから、メッセージ性として加えても遅くないだろう。
この記事を書いていて、気づいたのはここだ。
面白い作品を書きたい。であるならば、まずこの七大欲求に訴求できるようなシナリオになっているか、ここを重視してプロットを書いていけば、面白い作品となりそうな気がする。
今まで、読者に共感させる、というのを執筆の際の根幹として書いていたが、結局その共感というのは、この七大欲求に共感できるようなシナリオにする、ということなんだろう。
以上が、面白い作品を書くために必要な要素だと、今回考え、突き詰めた結果感じたことである。
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