渋谷を歩いていたらバグった気がした話


渋谷スクランブルスクエアがオープンした日、ちょっくら見に行ってみるかとヒカリエの2階から向かってみた。
スクランブルスクエアはヒカリエの2階からJR渋谷駅につながる道の途中にある感じで(というかスクランブルスクエアがほぼJR渋谷駅の直結みたいなもんなんだろうな)、わりとできあがるのを楽しみにしていた。まだ行ったことはないが屋上は行ってみたいし、おいしそうなものがビルにいっぱい入っている。

初日はとんでもない混雑で、ヒカリエ2階から向かってみたところ「最後尾はこちらの道をまっすぐお進みくださーい!」などの声が客にかけられていた。同僚と「すごいねぇ、コミケみたいだねぇ」なんて話しながらとりあえず最後尾に向かってみたが、なかなか最後尾看板が見えてこない。
5分強ほど歩いたところでようやく最後尾が見えてきたが、その頃には自分たちはほぼストリームの2階にいた。なんのバグが起きたかと思った。スクランブルが消えた。
ヒカリエ・スクランブル・ストリームという3つの商業ビルが集まることで渋谷駅南口方面が栄えていくのがなんとなく見えていたことではあったが、こんな距離感だとは思いもよらなかった。

ちなみに各施設の2階はだいたいこんな感じでつながっていそうだった。JR渋谷駅が接続してるとかそういうのは置いといて、結構しっかりつながっている。なんならスクランブル内にヒカリエとストリームへの誘導がある。

無題

まあ、別に商業ビル同士が近いということはよく考えたらそんなに大したことではない。
驚いたのは「ヒカリエからスクランブルに行こうと歩いていたらストリームにいた」というときに、自分がシームレス(継ぎ目のないこと)に場所を移動していたという体験と、建物がいきなり存在するということだ。

最近だと「ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド」なんかがそうなんだろうと思うけど、ゲームなんかでは「場所と場所の移動にロードが入らずシームレスに移動できる」というのが一つのポイントになったりする。

自分の好きなゲームだと「ウィッチャー3」もそんな感じで、街に入ったらロードして街用のマップが登場するなどではなく、山道から街が見えていて、街に入ったらそのまま街になっている。

ヒカリエからスクランブルに行こうとしたらストリームにいたという体験では、本当に「現実のマップってシームレスなんだなぁ」と「現実の建物って本当にいつも“在る”んだなぁ」と思った。こう書くととても馬鹿みたいだがそう思ってしまったのだから仕方がない。

普段道を歩いているときはだいたいぼんやりしている。何か考えてはいるが、意識して考えていることといえば「目的地にしっかり時間通りたどり着くか」などだ。
道を歩いていて目につくものもあるが、それは目的地ではないのであとから「そういう景色があったな」という一つのコンテンツであり、目的地の道中にあったこととは切り離されているような気がする。

おそらく、自分の頭の中では目的地がつくられると

【目的地】--------------【出発点】

というマップが生成され、目的地と出発点をつなぐ道中は目的地を読み込むロード作業となりまあまあ記憶が途絶える。
もちろん、道中なにもないわけではないが、道を歩いて目につく景色などはいわば「ロード画面に出てくるTIPS」みたいなものなのだ。

そして目的地は最初からその場所に立っているのだが、ロード画面を経ているうちに見えてくるので、自分がその場所を出発した瞬間には目的地が存在していないように考えている。
もちろん、近づくほどに外観などは見えてくるのだが、意識の中でも「そろそろ見えてきたな」という解像度があがっていく段階があるので、本当に頭の中で認識をしたその瞬間に建物を生成しているのだと思う。

なので、「ヒカリエからスクランブルに向かっていたらストリームに出た」という現象は、「ヒカリエから目的地のスクランブルのマップを読み込むはずがなぜかストリームのオブジェクトが出現した」という感じでかなり頭の中ではバグに近いものだったのだ。
だが、当然バグではなく、建物は私が見ていないときであっても最初からそこに存在し、本当にそれぞれの建物はつなぐ道があり、私はそこを歩いていただけだったのだ。


現実はオブジェクトの読み込み時間や建物に入るとそれ用のマップが別空間に生成されるなどはなく、すべてのマップはシームレスであるらしい。現実の解像度すごい。

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