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冬、コンビニの駐車場で私は初めて冬を好きになる。

春夏秋冬の中でどれが一番すき?

優柔不断の私は、そんな何気ない会話を交わす度、

春はワクワクするし、夏は楽しいことがたくさんで、秋はおいしいし...

とすぐにどれが一番か決められない子どもでした。ただ唯一冬だけはいつもダントツで最下位で。外に出るのが億劫、日が短いから常に気持ちが沈みがち、ウィンタースポーツに熱もない。厚着をしているのに商業施設に入ると汗をかくほど暑いし、足元は常に悪いくて体力がいる。特に私の地元旭川は雪が多く寒い地域で、車を運転できないと活動範囲がぐっと狭くなるのも本当に嫌でした。(それなのに1年の半分が冬という酷な現実)

挙げ始めたらキリがないくらいに大嫌いな冬。

好きなところ挙げるとしたら、屋内で食べるアイスが美味しいことと、年末年始があることくらい。あとは常時「早く冬終われ。」って思って過ごしていました。

少し話は飛びますが、私は21歳くらいからビールを美味しく飲めるようになりました。

留学とワーホリで海外に旅立つ少し前。高校の親友、ちっちとゆうなと3人で焼き鳥屋さんでご飯を食べた時のこと。

それまでは苦くて一杯も終わらせられなかったビール。ビール党のちっちが頼んだ豚しそ海苔巻きを食べた後、なぜだか苦手だったビールがスイスイ飲めてしまって。

「おいしいかも」と初めて感じて嬉しくなりました。その日を皮切りに海外のビール文化にしっかり染まって、21歳の一年を終える頃にはすっかり私もビール党に進化していました。


・・

ときは流れ2019年、23歳の冬。

その頃の冬嫌いの理由には
「ビールがさほど美味しくないから」が追加されていました。

鍋を囲んで飲むビールも美味しいですが、なんだかんだで結局夏の暑い日に体を冷やしてくれるキンキンのビールを飲むのが1番です。それも外という開放的な場所で。


どれだけ時間が経っても、冬への文句が減ることのなかった私でしたが、それまでの価値観を覆す衝撃的な出来事を経験することになりました。

その年に知り合って急激に仲良くなった、姉さんとバディ。姉さんは背が小さく骨が太く、バディは背が高く足の細い男です。北海道の冬が大好きな道外出身の2人でした。

私たち3人は菊水にあるGuest House Wayaのシェアラウンジプラン(月額1000円を支払えば好きな時に遊びにいけてイベント参加費も安くなるという神様みたいなプラン)を乱用して、その冬よく集まってはケラケラとくだらない話をしてはお腹が捩れるほど笑っていました。

記憶は少々曖昧ですが、Wayaが23時で閉店し、いつもの如く冬の北海道に放り出された私たち3人。まだ話していたいという欲望に素直に従って、北海道限定のコンビニチェーン「セイコーマート」で北海道限定の「サッポロビール Classic 350ml缶」を一本ずつ買い飲みして解散することに。

記憶では外気温は−10℃に届こうとしていました。

当然のことながら、今の時間からビールを持って入れる場所なんてありません。利用した最寄りのセイコーマートにはイートインスペースはなし。あるのは駐車場だけでした。

もうこうなりゃなんでもありです。

駐車場の端で向かい合うように円をつくり、手袋の中で悴む手でなんとかプルタブを開けます。

姉さんも私も、バディも。このあほなシチュエーションにニヤニヤと笑っていました。

「カンッパーーーーーーーイッ!!!」

と姉さんの一声。氷点下の天然冷凍庫でキンキンに冷えた缶から流れるキンキンのビール。それは確かに、確実に、最高のビールでした。


雪を蹴りながら帰路につく私たちは、その後もケラケラ笑っていました。

そのとき。特に何か考えていたわけでもありませんでしたが、気づくと私の口から言葉が漏れました。

「冬って、、いいね。」

それ以降、冬に楽しいことが起きるといつもこの言葉を発して笑っています。


これが冬嫌いの私が冬を好きになったエピソード。ちょっと馬鹿らしいですが、あの日から私にとって冬は憂鬱な季節から、遊びの季節になりました。

北海道民って冬の美しさ、楽しさ、貴重さに鈍感だったりします。私もそのうちの1人でした。ですが一度それを認識すると、寒くてしんどくて長い冬も、愛おしくなってくるから不思議です。


冬が嫌いなあなたも
冬が好きなあなたも

 
心を許せる人たちと、さむーい外でキンキンのビールを飲んでみてください。

きっと今よりもう少し、冬を好きになる筈です。

かんぱいっ!!!!!

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