見出し画像

僕らがストレスを感じる理由⑥

鶏か卵か?能力以上に自分ができると主張してストレスを生んでいる?

ところで、本調査を行っている厚生労働省は、雇用・採用に関しても啓発活動を実施している。中でも公正な採用選考の基本においては、応募者の基本的人権を尊重する事、更には適正・能力のみを基準として行う事を推奨している。また、採用する企業としても、当然適正・能力を見据えて判断する事が殆どだ。

自分も採用面接官及び人事の責任者をしていた経験からいうと、「この人ならばちょっとチャンジングな仕事ではあるけれど、過去の実績や面談のコミュニケーションの内容等から総合的に考えると、ちょっとのストレッチで楽しくやれそうだ」等と、決して無理難題の解決を見据えての採用はしていなかった。むしろ、この仕事ならばこなせそうかなという部分で100の能力の人に100の仕事をお願いするイメージでしか採用したことはない。勿論新卒採用を含めてポテンシャル採用というはあるが、とはいえ将来性を含めての評価をしている事に違いない。そう考えると、厚生労働省の調査結果にあるストレスの上位二つに関しては、当然、量的・質的に与える仕事ができる人を採用している筈だし、その仕事を完遂できうり、責任を全うできる筈の人を採用・配置している筈だから、隔たりが出ない筈だ。ところが、結果は違っている。これは実に不思議な事と言える。

もし、これらの事実が示すことが正しいとした場合、考えられるのは、自身の能力を実力以上に人にプレゼンテーションする事ができる人が殆どか、はたまた、ほぼ全ての人事担当者が人を見る目がないか、はたまた世の中が予測不可能過ぎて全ての事業が失敗しているかのどれかに理論上はなるだろう。

少々極端に書いている部分があるので、どれも多少はあるとは思うが、中でも恐らく一番傾向として強いのは、多くの人が実力以上に自分を表現している結果なのだろうと考える。新卒採用及び中途採用の面接経験がある人だけでなく、小中高大で面接等を受けた人もそうかとは思うが、今ある自分の情報をかき集めて最大限よく見せるという手法を、塾や斡旋会社に指導された経験があるのではないだろうか。勿論受かる為には、嘘はよくないが、今ある自分をよりよく見せるのは必須と言えるから、あまり不自然な話ではないだろう。

やはり人は人に評価されたいので、自分をより大きく見せてしまうのは自明の理と言える。その結果ギャップが生まれる。ストレスというと完全悪みたいに捉えられる部分もあるが、成長をする為に、少しストレッチした目標を設定し、生じたギャップを埋める為に頑張る事で生じるものもあるので、必ずしも悪とはならないかもしれない。ただ、いずれの場合であってもこれらの行為がストレスを生んでいる事には違いはない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?