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統一教会に献身❶

実践トレーニングまではまだトレーニング生ですから、組織としても戦力とは考えていませんが、卒業してからは組織の一員に組み込まれます。その地域の伝道(特に青年)の拠点が「支部」と呼ばれ、経済(印鑑・霊石および壮年壮婦の伝道)の拠点が「代理店」と呼ばれていました。

支部の責任者は支部長で、支部長を支える補佐的な役割のチャーチマザー(教会の母)がいます。支部は献身者の排出が大きな役目です。献身者とはまさに、神のために24時間働く人です。ホームと呼ばれる館で共同生活をするので、食事と寝る所は確保されていますが給料はなく、月に12000円のお小遣いが支給されます。

代理店は経済活動をする所です。草創期においては、リヤカーを引いて廃品回収をしながら生活費を稼いでいました。その後、花売りをしたり高麗人参茶を売ったりしていましたが、私が伝道された頃は印鑑販売が主流でした。

もちろんこれは、より高額なものにつなげるための入り口です。伝道の摂理が失敗したから経済の摂理に移行したと聞いていますが、「お金が必要になったから稼げ」と言う事でしょう。地上に天国を創るためにはお金が必要だと言います。「3年で天国が出来る」と言われていましたので、3年ならば頑張ろうとみんな思うわけです。

代理店の責任者は店長、チャーチマザーの代わりにチームマザーがいました。野球に例えたら、支部は高校野球で代理店はプロ野球みたいなものでしょうか。経済活動が摂理の中心ですから、早く支部のメンバーを代理店に送り込まなければなりません。

当時はアメリカにも人を送らないといけなかったので、一人でも多くの献身者が願われていました。しかも、優秀なメンバーを排出しなければなりません。

優秀なメンバーとは、アベルの指示に従順に従い、労働の対価も求めず、文句も言わず、実績を出す人です。統一教会における実績とは「何人伝道したか」「いくら献金したか」です。

献身者は当然お金を持っていません。ですから、お金を持っている人を伝道するように言われます。私はそれに対して複雑な思いでした。貧乏な人は救われないのかと。私自身、貧乏だったからです。

アベルの答えは「救いには順番がある」と。よく言われていたのが「時の人を探せ」です。「時の人」とは、今の摂理に貢献出来る人です。経済中心だったので、お金を持っている人が時の人になります。

この姿勢は今も変わっていません。本来の宗教の目的は「神のようにどんな人でも愛せる人格者になる事」のはず。どれだけ人を愛したか、どれだけ愛の実践をしたかを競い合うべきなのに、統一教会では「どれだけ人を連れてきてどれだけ献金したか」を競い合っています。

今ではこうして冷静に判断出来ますが、当時はアベル(上司)の言われた通りにするのが善だと思っていました。神のために献身したのだから、「神が人とお金を求めている」と言われたら「やります」と言うしかありません。

全て「神の言葉は文先生からアベルを通して私に伝えられる」という前提があったからこそ、疑う事すらしませんでした。しかし今となっては、組織を信じる事が出来ません。あまりに嘘が多いからです。

2015年1月18日、七男の亨進(ヒョンジン)様が「沈黙を破って」という題名の説教をされました。それ以降、今まで私たちが知らなかった内容を明らかにされました。その後、教会に不信感を抱くようになった私は、ネットに溢れる情報を収集するようになりました。亨進様自ら「六マリアは存在する」と語られ、血分けに関する事も事実として認識するようになりました。

つい最近ですが、ジンバブエ人のクレオパス・クンティオナ氏が記者会見して「ブラック興進様(フンジンニム)は嘘だった」と証言している動画を見ました。交通事故で亡くなった次男の興進(フンジン)様が乗り移ったかのように演技して世界中を巡回しろと、文先生と郭錠煥(カク・チョンファン)氏に指示されたと告白していました。

教会内の公金横領や男女問題をあぶりだすための「コンフェッション(告白懺悔)」ツアーでは、多くの教会員が自らの罪を告白しました。日本にも来日して、幹部を筆頭に先輩家庭から6500双の祝福候補者までコンフェッションを受けました。私は当時、6500双の祝福候補者ではなかったので受けませんでしたが。

受けた人の話によると、罪の内容を読み上げて心当たりのある者を立たせ、別室に移動した後に音が聞こえるほどの壮絶な殴る蹴るだったそうです。イエス様の復活と同じように、霊界の興進(フンジン)様が地上に復活したと見せるために、文先生と郭錠煥(カク・チョンファン)氏がやらせたわけです。

以下のリンク先で動画が見れます。

嘘で塗りこめられた統一教会ですが、当時の私はそんな事を想像すらしていませんでした。実践トレーニングを終えた後、献身するまでの2ヶ月間は青年部所属で働きながら伝道していました。

思えば、この頃は良いアベルに恵まれました。青年部部長も班長もとても良い方で、メンバーもとても良い人たちばかりでした。路傍伝道は大変でしたが、兄弟姉妹から力をもらっていました。

この頃私は、ある体験をしました。路傍で立っていると、一人の男性が声をかけてきたのです。

「統一教会の方ですか?」

当時は教会を隠して「アンケート」と言いながら声をかけていましたので、教会と言われてドキッとしました。何か文句を言われるのではないかと思いながら「そうです」と答えました。

すると彼は「実は以前、教会に通っていました」と言うのです。故郷で学生の頃に通っていたそうで、就職してから足が遠のいていたそうです。東京に転勤になって、歩いていたら路傍伝道する姿が目に入って懐かしくなって声をかけたのでした。

「良かったらまた学んでみませんか」と言うと「はい」と言うので一緒にビデオセンターに行きました。そして彼はコース決定をするのですが、私は立っていただけなのに、霊界の先祖に導かれてきたのだろうかとただただ驚く出来事でした。

こうして2ヶ月の青年部での活動を終えた後に、いよいよ献身していくのです。

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