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統一教会との出会い❶

私は子どもの頃から非常に感受性が強く、大声や匂い、特に言葉に敏感でした。父は真面目でしたが口が悪く、祖母や母を見下すような口調が多かったので、それが私にとっては辛い日々でした。

自分に言われているわけではありませんが、私の胸にグサッと突き刺さる感覚があるのです。たとえば学校で先生が誰かに怒っていても、それがまるで自分が怒られているような感じに受け止めてしまいます。

ですから毎日とても疲れてしまい、生きている事が苦痛でした。中学くらいから、ぼんやりとした自殺願望がありました。でも、死ぬ場面を想像するだけで苦しくなるので、とても実行に移す勇気はありませんでした。

それ故に、現実の世界よりも死後の世界を考えるようになりました。友だちと話していて表面上は笑っていても、心の中ではどこか空虚でした。「みんなとは違う自分」という感覚があって、何のために生きているのか、そんな事ばかり考えていました。

小さい頃から泣き虫だった私は、よく「男のくせに泣くな」と言われました。また、小児喘息でアトピー性皮膚炎で風邪ばかり引いていた私は、「強い男」に憧れていました。男として生まれたからには、命がけの仕事がしたいと思っていたのです。

高校卒業後、就職で上京しました。就職した会社では寮に住んでいましたが、一年ちょっとで退職してアパートで一人暮らしを始めました。1984年11月の初め、世界日報の拡張員が勧誘に来ました。

読売新聞を購読していた私は、安い購読料に一瞬惹かれましたが、中を見て読みたい内容ではなかったのでお断りしました。それからしばらくして、今度は珍味売りの青年が来ました。

一袋3000円は高いので一度お断りしたのですが「このアパートで誰も買ってくれないんです」と言われますし、わざわざ北海道から来たのに可哀想だと思い、ボンタワーを一つ買いました。それからちょっとして11月下旬の土曜日、二人の女性が訪ねてきてこう言いました。

「占いをただで観てあげますよ」

占いは好きだしお金がかからないならと、観てもらう事にしました。ここで印鑑販売のトークを受けます。実はこの半年くらい前に、普通のはんこ屋さんで3本セット12万円のはんこを買っていました。

やはり姓名判断からのトークでした。その時は、将来どうせ必要になるからと納得で買ったのですが、この時は「先祖のためにほしい」と思いました。特に悩みはなかったのですが、先祖が喜んでくれるならと買う事に決めたのです。

40万円の3本セットが欲しかったのですが、分割は3回までと言われて諦めました。お金がないとわかったのか「銀行印だけ作ったらどうですか?」と言われ、38000円の銀行印を作りました。財布の中にちょうど、38000円があったからです。

当時の給料が10万ちょっとくらいで、アパートの家賃が35000円。貯金もそんなになかったのですが「これは欲しい」と思ったので買ってしまいました。この時トークしてくれた人の隣で頷いていたのが私の「霊の親」です。

教会につながる時に紹介してくれた人が霊の親になります。産んでくれたのが肉の親で、魂の親だから霊の親と呼び、伝道された側が霊の子になります。おそらく、ドアをノックしたのが霊の親だったのでしょう。ペアで訪問する時にはそんな取り決めがあったりします。

この頃の霊の親は、家庭を持った女性ばかりが集まる印鑑販売のお店に所属していました。統一教会では、夫が教会の公務をしている場合、妻が経済活動をして支えるのが一般的です。

霊の親は、1982年に6000双の祝福を受けています。献身者の場合、独身時代は「ホーム」と呼ばれる場所で共同生活をしますが、祝福を受けてから女性が33歳になると家庭を出発します。そうなると自立となりますので、家賃、光熱費、食費、全て自分で何とかしなければなりません。

献身者が「代理店」と呼ばれる印鑑販売の店舗で販売をしてもお金はもらえませんが、家庭を持っている人の場合は入金の3割くらいをリベートとして受け取ります。(割合はもしかしたら違うかも知れません)

もし私にお金があったなら、印鑑の次は霊石へと繋げた事でしょう。いわゆる壺(つぼ)ですね。さらには多宝塔(たほうとう)となっていたでしょうが、20歳の私には無理な話です。

統一原理では、堕落した人間は万物以下の存在になってしまったためそのままでは神のもとに行けないので、堕落していない万物を通して神に復帰すると考えています。印鑑や壺は万物ですから、それを通して伝道すると。

万物復帰は経済活動(お金儲け)と言われますが、真の目的は伝道のためです。そのやり方がエスカレートして、霊感商法となってしまったために問題なわけですが。

この頃の私は、特に悩みはありませんでした。印鑑を授かった動機は先祖のためです。普通は「悩みの解決のために学んでみませんか」と勧誘するわけですが、霊の親としても困った事でしょう。

それでも一週間後にまた来て、〇〇文化教育センターのパンフレットを見せて「行ってみませんか?」と誘ってきました。パンフレットの「霊界について」という文字を目にして、とても興味が湧きました。

自殺願望がありましたから、霊界について詳しく教えてくれるならと思い、行ってみる事にしたのです。

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