子会社法人からの配当金
完全子法人株式等の配当に係る源泉徴収不適用制度
2022年度税制改正の内容
改正前の制度
親法人(内国法人)に支払われる配当等は所得税の課税対象であり、配当等の支払をする子法人(内国法人)は、配当等の支払時にその配当等の額の原則20.42%(所得税及び復興特別所得税)(※2)の源泉徴収をしなければなりません。その後、親法人(内国法人)が法人税の確定申告において源泉徴収された所得税について所得税額控除の適用を受け、税額控除又は還付金の支払いがされる仕組みとなっています。
改正後の制度
親法人(内国法人)に支払われる配当等のうち完全子法人株式等と関連法人株式等(直接保有)に係る配当等については、源泉徴収が不要となります。これら以外の株式等に係る配当等の額の源泉徴収は改正前と同じ取り扱い(源泉徴収が必要)です。
受取配当等の益金不算入制度と源泉徴収不適用制度の比較
関連法人株式等については、配当等の支払基準日に発行済株式総数の1/3超を直接保有していることが条件となります。株式を保有して間もない場合、受取配当等の益金不算入の適用において関連法人株式等として扱われないケースもあるため、注意が必要。
改正の背景(会計検査院の指摘と事務負担軽減)
●POINT1
親法人の法人税の課税所得計算において、完全子法人株式等に係る配当等は配当等の額が全額益金不算入、関連法人株式等に係る配当等は負債利子控除後の配当等の額が全額益金不算入となります。会計検査院での調査では、受取配当等の益金不算入などの影響で、完全子法人株式等又は関連法人株式等を保有している法人の半数以上が還付加算金を受け取っており、国費軽減の余地があることが判明しました。
●POINT 2
源泉徴収不適用によって、税務署側での源泉所得税事務(還付事務)・子法人側での源泉徴収事務の負担軽減が見込まれます。
●POINT 3
企業グループ内において納税に係る一時的な資金負担が生じるため、源泉所得税が法人税の前払的性質を持つことや所得税を効率的かつ確実に徴収するなどの源泉徴収制度の趣旨に必ずしも沿ったものとはなっていないという問題点がありました。
適用開始時期
2023年10月1日以後に支払を受けるべき配当等について適用されます。