一度だけチャンスをやる、好きなコードを言ってみろ

って言われて「コードってのは●しの道具だぜ?好きも嫌いもあるか」って答えてみたいですが、藤咲さんの好きなコードはVIm7です。
でもコードは前後関係や、上にのるメロの為にあるものなので、やっぱり「好きも嫌いもあるか」が正しいかもですね。

閑話休題(早い)

音楽作る人って、他のクリエイターさんより作品の発表頻度って低めですよね。
曲ってやっぱり時間がかかるので…。周りの歌や絵を主に活動している方を見ていると、「自分って全然作品だせてないなー」って感じてしまいまして。
だからと言ってそんな高スパンで曲出すのも難しいので、物書きに転職しようと思いました。
そこで、どんな内容で書こうかツイッターでアンケートをとったところ…。

結果

ハリネズミってなんだよ。
ハリネズミに入れたやつは藤咲さんの推しハリネズミでも見ててください。

ハリネズミ好きを還るべき場所に還したところで

音楽の話をしましょう。
冒頭でヴィアベルさんが言っていた通り、コードっていうのはそれ自体がどうというより、どういう流れで作るか、その上に何を乗っけるかが一番大事なんですよね。
ですのでコードに関する好みを強いていうなら、「半音の動き(導音の動き)が好きです。」と答えます。
導音からの解決を様々な形でアプローチするのが好きなので、ドミナントをそこまで深く定義せずに、導音の解決だけで進行を作ったりします。ドミナントの解釈を広げると本当にコード進行の幅が広がるんです。
ということで今日は藤咲にとってのドミナントについてお話しします。

大前提として、音楽理論は人によって解釈や感じ方に差があるものだと思っています。私が述べる内容全て、世界共通の認識等ではなく、私自身の解釈に過ぎません。
他の方の考え方を知れることはとても嬉しいので、それって違くない??という意見がありましたら、是非温和に意見交換が出来ればと思います。音楽理論トークしましょう…!

そもそもドミナントって?(音楽理論知らない人向け)

音楽理論全く知らないよって人向けなので、理論かじってる人は飛ばしてください。
便宜上、全てCメジャーキーのコードネーム、音名で話します。

コードの中にはドミナントと呼ばれるものがあります。主なのはCメジャーキーでいうG7(ソシレファ)ですね。
このコードはルート(1番低い音)が属音と呼ばれる、キーの調性を決定づけるのに重要な音(ソ)であり、さらにトライトーンと呼ばれる、同時になると極めて複雑な響きをする2音(ファとシ)を含んでいます。
このコードだけで聴くと物凄く不安な響きですが、キーの主役となるトニックと呼ばれるコード(CやAm)に進むことで安心感(解決感)が得られます。
属音(ソ)が主音(ド)に進むと力強い進行感を生み、トライトーン(ファとシ)がそれぞれミとドの音に半音ずつ動くことで不安定な響きが一気に綺麗な響きに変わるためです。
このドミナント→トニックへの動きのことをドミナントモーションと呼びます。
教科書みたいな話おーわり。

属音より導音が好き

ドミナントをドミナントたらしめるものは何か。
きっと世間的な正解はその名の通り属音(G7でいうところのソ)なのでしょう。
確かに属音から主音へ動く強進行の響きというのも重要です。
ですが、分かりやすく解決感を生むのはトライトーン(ファとシ)がそれぞれ半音横のミとドに移る動きだと思います。実際上記の2音ずつで弾いてみても、チャンチャン♪と綺麗にオチが着くことが分かると思います。
もっと細かく言うと、メロディの最後なんかで導音(シ)→主音(ド)という動きをする、これだけでも着地した感じがしますよね?もはやこれすら広義的にドミナントモーションと呼んでもいいのではないでしょうか?
そりゃ導音の動き、トライトーンの解決、属音からの強進行、要素全盛りの方が効果的なのは事実ですが、毎回コテコテに全力のドミナントモーションをするよりも、要素を削った変化球のドミナントモーションも使って、緩急や濃淡を生むことで、色んな表情の進行が作れると思います。
藤咲さんのよく使う広義的なドミナントモーションの例を、次項で具体的に見ていきましょう。

解決先がメタモルフォーゼ

ドミナントモーションのトニック、解決先を変えるパターンを見ていきましょう。

最も分かりやすいもので言うと偽終止がありますね。
これはG7→Cと動くのが1番メジャーな中、CではなくG7→Am(ラドミ)と動くというものです。
何故これが成り立つのかというとAmにもドとミの音が含まれる為、前述のトライトーンをしっかりと解決させることが出来るから、そしてAmというコード自体が平行調(Aマイナーキー)の主音であり、安定した響きを持っているからですね。
「G7からAmに行ってもいいよ」というのは簡単なコード理論解説でも良く話されますが、この理屈はG7→Amに限らず、他のパターンでももちろん使えます。
例えばAmに対するセカンダリドミナント、E7からはAmだけでなく、F(ファラド)に進んでも同様の解決感が得られます。E7のトライトーン(ソ#とレ)はラとドに解決したい、そしてその音はFにも含まれていますからね。
さらにこの場合ルートの動きが強進行(4度上の音へ進む進行)でなくなった代わりに、半音上の音への動きになっており、この動きがまた違った雰囲気を作り出すため、藤咲はこのE7→Fが大好きです。

他には半終止と呼ばれる動きもあります。
こちらは主にG7→Fのような動きを指すのですが、これはトライトーン(ファとシ)のうち、シの音だけがドへ解決しており、ファの音はそのままです。
綺麗に解決したわけじゃないけど、1番不安定な響きを持つ導音(シ)が主音(ド)に行ってはくれたし、ギリ許せる…みたいな進行です。こういう妥協も1つのアプローチです。

このように「ドミナントからはこのコードに進まないといけない!」と決めつけてしまわずに、解決に必要な音を持つ別のコードを探したり、完全には解決させずちょっとだけ解決する、みたいな手段を知ると、解決先はどんどんと増えていきます。上で紹介したのは別の解決先の中でもメジャーなものばかりです。正解は無限にあるので、あなただけの解決先を見つけてみてください。

ドミナントをアレンジする

ここからの方が本番です。
藤咲の流派ではドミナントをドミナントたらしめるものはトライトーンと導音だとしています。
ですのでG7と同じトライトーンを持つBm(♭5)(シレファ)ももちろんドミナントです。Cに解決するとルートが半音上進行になりますしね、気持ちいいです。
他にメジャーなもので言うと裏コードと呼ばれるものもあります。G7の裏コードはD♭7といったように、減5度上のセブンスコードのことです。
このD♭7もG7と同じトライトーンを持ち、Cに進むとルートは半音下への進行となります。どこか落ち着ききらない、少し浮き足立った着地となり、独特な雰囲気を出すことができます。
でもレ♭の響きって、Cメジャーキーにはなかなか合わなくて使い辛いんですよね。ですので別のものも紹介します。

E7→Amの、E7を裏コードにするとB♭7→Amとなります。このB♭7というのはCメジャーキーの同主調、Cマイナーキーにも出てくるコードです。
ブルーノートを織り交ぜながら、Cマイナーキーのコードを借りつつ、さりげなくB♭7からAmに進むことで自然と元のキー(厳密には元のキーの平行調(Aマイナーキー))へ帰ることが出来ます。
前項の「解決先を変える」と組み合わせて、B♭7→Fなんてのも普段あまり聴かない印象を出せて凄く好きです。

今度はトライトーンすらなく、導音さえあればいいという考え方です。
調性の上では、導音(シ)が主音(ド)に動くだけで心地よいものです。
ですのでEm(ミソシ)すら藤咲流ではドミナントです。ドを含む好きなコードに進めてやりましょう。
もっと分かりやすく解決感が欲しい?
ならノンダイアトニックコードにしましょう。ノンダイアトニックコード、スケール外の音はそれ自体が調から外れた不安定な音ですので、これから解決に向かう音としてぴったりです。
Amに対する導音(ソ#)を含むコードで考えましょう。
個人的に好きなのはCaug(ドミソ#)です。
オーギュメントコードはトライトーンほどの複雑な響きではありませんが、十分聴き馴染みのない音です。
Caug→Amだけでも凄く安心しますし、AmをFに変えてみると、Caug→Fと、今度はルートが強進行になります。合わせ技を試してみたら逆に原点回帰しましたね、紛うことなきドミナントモーションと呼んでいいでしょう。
Caugだけでもいいけど、ここでまた逆にトライトーンを取り入れたいな、となるとレの音を入れることになります(レとソ#はトライトーン)。そうするとCaug/D、展開するとEaug/Dとなり、これはブラックアダーコードと呼ばれるコードになります。ゆゆうたさんがイキスギコードという名前で広めたコードがこれです。

いくつか例を紹介してきましたが、大事なのは「ドミナントとして使えるコードはこれとこれと…」と丸暗記せずに、自分で自由に作りだせるようになることです。
この記事ではトニックをCやAmにしたものばかり紹介しましたが、それも自由に置き換えていいのです。
「トニックをFとして、Fに対するセカンダリドミナントC7の裏コードはG♭7、トライトーンは敢えて無くしてみて…シ♭の音はラに解決したいから解決先は…」とか、無限にやれることはあります。
転調を絡ませたりしたらさらに出来ることは膨れ上がりますし…途方もない…!(わくわく)
この記事を読んで、「へー」と思って下さった方。まずはファとシの音に、自由に音を付け足したりしてみてください、ファを無くしたっていいです。自分だけのオリジナルG7(もちろんGの要素も7の要素も好きに取っ払っちゃって下さいね)を作ってみるところから始めてみてください、先は長く、奥はとことん深いです。

長くなったなぁ

めっちゃ長くなりましたね。文章力の無さを痛感します。繰り返しですが、私がここで伝えたいのは「こんなコードが使えるよ」という丸暗記の知識ではなく、「コードは自由に作っていいんだよ」ってことです。
音楽とかいう、正解のない芸術に立ち向かうんですから、自分だけの正解を見つけないと勿体ないです。
あなただけのクソキショドミナントモーション(広義)を聴かせてください。

またね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?