【楽曲解説】イルミネイト/藤咲すみ

はじめましての方ははじめまして、そうでない方もはじめまして。
藤咲すみと申します。
普段はボカロ(広義)を用いた楽曲をニコ動やYouTubeにアップしているものです。

暇…というわけではないのですが、作業の気分転換に自分の作品の解説をしたら、藤咲の曲を好きだと言ってくださる数少ない方々に、少しでも喜んでもらえるかな??と言う自惚で執筆に至りました。

趣味で詩を書いてはいますが、文章力は褒められたものではありませんので、日記帳くらいの温度感で読んでいただければ幸いです。



今日の楽曲はこちら!

今日解説するのは、藤咲すみの名前で初めて公開した「イルミネイト」という楽曲です。
TOKYO6の小春六花さん、夏色花梨さん、花隈千冬さんに歌ってもらった曲です。
自分にとって一つの大事な節目になった曲です。
今後もっといい作品が作れるようになっても、この楽曲の自分の中での重要度は揺るがない気がしています。
…と自分にとっての「イルミネイト」について話したところで、解説に入っていきましょう。

「イルミネイト」のきっかけ

この楽曲のテーマは「逃避の歌」です。
辛い現実から逃げて、逃げて、逃げて。その先でしか見つからないものもある。今まで気づかなかった、か細い輝きに気づけるようになる。
そんなテーマで作りました。

舞台?

動画イラストの背景にもなっている、名古屋港シートレインランドです。
TDLやUSJみたいな大きなテーマパークではなく、無料で入れて、10枚綴りのチケットを購入して遊ぶような、小さな遊園地です。
一時期、様々な辛いことや変化が重なりナーバスになっていたことがあり、その時期に、名古屋へ引っ越した友人とこの遊園地に行った際に受けた感動(と呼ぶほど大層なものでもないんですがね)が、この楽曲作成の原動力となりました。
普通なら思い出に残るようなビッグイベントでもないはずなのに、この日のことはきっと、ずっと忘れないだろうなと感覚的に思いました。
自分にとっては用意された「特別」よりも、ありふれた日常の中の些細な「喜び」が宝物にカテゴライズされるようです。

詩的に見る「イルミネイト」

色を無くしたDaylight day 夜に沈んでいく
月灯りに溶けて 消えてしまえたなら
きっと思い描いた未来の全部 嫌気がさして
ただ流される日々を謳う
人並みに歩けないこと
諦めたこと
ここには誰もいないこと

自分はこの世の中が素敵だとは微塵も思っていません。この社会は自分にとって本当に生き辛く、常に息苦しいです。
ですが、そんな社会に不平不満を訴えようとも思いません、決して怒ってなどはいないので。ただただ、人並みに生きることができない自分に対して悲しくなるだけなのです。
怒りを原動力に変えて、強かに生きることができればよかったなと思いますが、自分にはそれができない。辛さはみんな感じているのにそれを力に変えられず、傷つくだけの自分がまた、情けなく思います。
この楽曲の歌詞は全編を通して、そんな自分の無力さ、情けなさを謳っています。

消えたくて 戻りたくて 一人の夜を歩いた
君とずっと夢に 溺れていたいだなんてさ
叶わないこと とっくに気付いていたよ
夜の街灯 落とす影が消えていく

当時の自分の願いそのものの歌詞です。
消えてしまうか、過去に戻れたら、と。
未来は本当に暗闇でしかなく、不確定な未来のために足掻くよりも、過去を懐古するだけの方が自分にとっては幸せでした。
ですが、今となっては未来より過去の方が幸せなのは当たり前のように思います。幸せって大抵の場合、過ぎ去ってからじゃないと気付けないものじゃありませんか?
つまらないと思い浪費していただけの毎日が、宝物のような日々だったと気付けるのは、もう戻らないと分かってからなんですよね。
この歌詞を書いた2年前、本当に生きることが辛かった日々の事さえ、そんな中にあった些細な楽しみのことを想うと、今では少し懐かしく、温かい気持ちで思い返すことができます。

空に浮かぶ光の一粒 消してみても
誰も気付かなくて
綺麗なものだけが見えていた
その景色に 私がいなくても

想いで飾り付け 一つずつ輝け
星の無い夜空も 嬉しいとか 悲しいとか
月並みな言葉が眩しくって いつか笑えるかな

自分は、自分の人生に対してずっと、大義を求めていたような気がします。
自分がいなければこの世に生まれなかったものがあると、そう思いたかったのです。
ですが実際は、自分にしかできないことなんてありませんでしたし、もし自分が何か成功を収めたとしても、「この世界に自分は必要不可欠だった」とはならない気がします。自分がいなくても、その分誰かが、何かが変わりを務めるでしょう。
それは自分自身に限らず、です。
自分が一番好きなアーティストや、イラストレーターさん、漫画、あるいは恋人すらも、この世界に存在していなかったら、その時はその時で別の誰かが代わりに一番好きな⚪︎⚪︎になるだけなんだと思います。
すごく冷たいことを言っている自覚はありますが、きっとそうなんです、少なくとも自分にとっては。
そう思わないと耐えられないのです。特別になれない人生が。
そうやって諦めることでたくさんの事を失いましたが、代わりに見えるようになったものもあると思うのです。それから目を離さないようにしたい、誰の目にも留まらない些細な輝きを、自分だけはちゃんと見逃さないようにしたい。
そんな思いでこの楽曲は締め括られます。

音楽的に見る「イルミネイト」

湿っぽい話はお腹いっぱいです。音楽の話をしましょう。
この楽曲のメインテーマは浮遊感と人工的な輝きです。
前者はコードとボイシングで、後者は音色で表現しています。
ピアノがメインとなって奏でるサビや間奏のコードは
VIm7-IVadd9-V-I/III
という5度の音を保留し続けるコード進行で浮遊感を出しています。
1度の音が7度に移るVがアクセント。
浮遊感を出したいというところと、ベースが大きく動くのがあまり好きじゃないと言うことでIのルートは3度の音にしています。藤咲の曲でめちゃめちゃ出てきますね、このコード。

AメロやCメロは
IV-V-VIm や
IV-V-IIIm-VIm
といった親の声より聴いたコード進行ですね。
脳死で、と言うよりは、つまらないコード進行にしたくてつけました。
音楽的な性質よりも、人々が聴き飽きていると言う部分を利用したかったのです。

Bメロは
IIm-IIIm-IV-V-VI♭-VII♭7
メロと共に短調に変化していき、最終的にIII7の裏コードに着地する上行進行です。
気持ちの上がり下がりを表現するのに、上行や下行は好きでよく使うのですが、こうやって同主調のコードやメロディを絡めて不安定さを出すのも好きですね。
特に自分はサビなどではなるべくシンプルなコードを使いたい派なので、対照的にBメロでノンダイアトニックコードを挟んで、サビで開放感(安心感)を出すのが好きです。

サウンド的にはピアノとシンセがメインの音色で、特にメロディは2重のピアノとPluck系のシンセでキラキラさせています。(元の自分のクセでもありますが)幾何学的なメロディで、人工的な輝き=イルミネーション感を出したいと意識して書きました、できてます??
あとは効果音、ノイズを多めに入れて夜空、いや宇宙に放り出されたような空気感を作ろうとしました(特にAメロはわかりやすい)。
重い空気感、浮遊感、輝き。これらを自分の好みのサウンドに程よく落とし込めたのではないかな…?と思っています。

最後に

ここまで読んでくださった藤咲ガチ勢(不名誉なあだ名)の方、ありがとうございます。もう3000字を超えました。息抜きのつもりが1時間半も書いていました。
文字に起こすことで再認識できた部分もあり、自分にとってもプラスになったかな?と思います。
今後も空いた時間に、別の楽曲の解説かければいいなと思います。
唯一懸念しているのが、拙作「=t」や「星、周り巡って、いつか」といった恋愛系の楽曲ですね。
藤咲さんの書く歌詞は基本的に自分の経験談や、心の底から思っている事なので、これらの楽曲を解説するとなると、ただの過去の失恋話とかになりそうなので、これらは需要と相談しながら書くかどうか考えます…
あと、正直に言うと一番語ることが多い楽曲が今回の「イルミネイト」だと思いますので、次回以降はもっとボリュームが少なくなりそうです。読みやすくていいね。
こんな後書きまで読んでくださりありがとうございます。
最後に豆知識、藤咲さんは後書きを先に読む派です。

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