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支援の必要な子どもたちの就学先は、お医者さんが決めていた。

特別支援学級の担任になると
種別ごとに、初任者研修というものを受けなくてはならない。

病弱学級になれば病弱の初任者研修。
情緒学級になれば情緒の初任者研修。

私は2種類の研修を受けた。
一つの研修につき、年間3日ぐらい、研修施設に缶詰になる。

分厚い冊子を読み込んだり、事例研修を受けたりもした。

障害そのものについてやSSTについての書籍も読み、自費で外部研修にも出かけた。

そして、就学支援委員というものも経験した。

これは、幼稚園や保育園に出向いて支援の必要なお子さんを観察。
さらに、先生及び、保護者の方との面談を行う。

その後、先生と保護者によって作成された個別の支援計画と
観察及び聞き取りの内容と教員個人の見解を合わせて作成した調査資料を
持参して、ある会議に出席する。

それが就学指導委員会。
ここでその子が特別支援学校に行くのか、特別支援学級に入るのか、普通学級に入るのかが決定される。


引き受けた当初は、なんて重たい仕事だと感じた。

会議の時には、一体何が聞かれるのか。

私の一言で、その子や家族の人生を左右するかもしれないと思うと
私なんかで大丈夫かとかなり不安だった。

会議の前に大量の資料を渡される。
そこに今日議論される子どもたちの資料が挟み込まれていた。
個別の支援計画というものには、子どもの描いた絵が絵ががれている。
頭足人もあれば、しっかりと人や風景が描かれているものもあった。

会議の進行は教育支援センターの先生がされていて
何人もの専門家と言われるような先生方が座っておられる。

中でも中心におられるのはお医者さんだった。

医師は資料に目を通してボソボソと意見を述べらて
質問に対しては、支援センターの方が答えられるという形。

決定権は、このお医者さんにあるのだと悟った。

私が意見を求められることはなかったし
質問さえも私が答える必要はなかった。


私は安心した反面。

なんだこれはと思った。

人生を左右するような決定を、子どもを見たことも、話したこともないおじさんが決めるのだ。

お医者さんはすごい経験も、知識もあるだろう。

だけど、その紙きれから何がわかる?

WICSのや新版K式の結果や、子どもの絵を眺めて。

どの施設がどの子にとって適切で適切でないかが見えますか?

そもそも支援の経験はありますか?


でも、一方で仕方ないとも思った。

発達障害とかって診断される子どもは増える一方だし。

会議にかけられる子どもの数はとても多い。

一人一人丁寧に見てられないのだ。

行政とか学校とかって、こういうシステムなのだ。


実際、入学してから在籍変更したケースが多々ある。

一年生の時だけ、特別支援学級で、二年生ら通常学級。

その逆もある。

このシステムは破綻しているなと思いつつ、続けていくより他はないというのが、お役所の仕事らしい。


特別支援学級の担任をしなくても、発達障害、グレーゾーンと言われる子たちとはたくさん関わってきた。

だけど、誰一人として同じ子はいない。

ASDでも、ADHDでもLDでも、こういうものという説明はあるものの、ある部分はその子に当てはまるけど、ある部分では違う。

発達検査にしても
障害名にしても
その子を定義するものとしては十分ではない。

その子を知りたければ、実際に関わってみることでしかできないと思う。

さらに、その子の支援を考えるにあたっては、決めるべきは、その子に一番そばにいて、一番大切に思ってくれる人が考えればいいと思う。

そして、この先その子が選べる場所について、説明し、見せてあげて、体験させてあげる。

その上で、子ども自身が選ぶ。

それが一番いいと思う。

もちろん、3択ではなくて、もっとたくさんのプレゼンターがいるといい。


昨日は、テレビでギフテッドの子どもの苦悩というものをみた。

IQが高すぎて、学校はつまらない上にいじめにあうとのこと。


早く、教育ももっと選べる時代になってほしい。

そのために今日も動こう。








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