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「アニメーターの仕事がわかる本」を読んで

アニメーター西位輝実さんの本「アニメーターの仕事がわかる本」を読んだので、感想を書きます。
西位さんといえば、「輪るピングドラム」や「ジョジョ4部」のキャラクターデザインを担当されている方ですね。

本の内容

アニメーターの西位さんとライターの餅井さんの対談形式で、アニメーターの仕事内容、働き方、お金の話や業界の未来などが紹介されています。
20年アニメーターとして活躍されている西位さんだからこそ、書かれている内容はいわゆる「現場の声」感が凄まじいです。

読もうと思ったきっかけ

もともとアニメが好きで、学生の頃から、なんとなくいつかはアニメに関わる仕事がしたいとなんとなく思ってたりすることと、あとは、アニメ業界が長時間労働で給料が安いというのは、アニメが好きな人はどこかで聞いたことあると思うのですが、そんな業界を良くするために自分に何かできることはないだろうかと思うことも結構あり、業界のことをもっと知ろうと思ったのがきっかけです。

プログラマーと近い部分が多いのでは

私の職業はプログラマーです。
これはSHIROBAKOを見てたりしても思ったことなんですが、システムを作ることとアニメを作ることって結構似ているんですよね。基本的に、一人ではできなくて、複数人での分担作業ってところが一番近いのかなと。あとは、誤解されることが多いですが、コミュニケーションが大事ってところとか。
ってことで、読んでいてい、我々、IT業界だったらこうなんだけどなーって考えることも多かったです。

出来高制はなんか違う気が

どうやらアニメーターの仕事は基本が出来高制らしく、1枚いくらって感じらしいです。これって結局、枚数書かないとお金が稼げないってことですよね。これってなんだかなーって思ってしまいます。
我々素人からしても、1枚の止め絵がものすごい魅力的な絵で、それがその作品の魅力になっているってことがあるわけじゃないですか。それに我々プログラマーの正解でも、プログラムの行数で生産性を図ろうとする人たちがいるんですが、プログラムの世界だと、優秀なプログラマーほど、少ない行数でプログラムを書くこともありますし、システム全体の中で見たら、難しい部分、肝になる部分、ある程度誰でもできる簡単な部分とあるわけで、それを生産性だけで、ましてや行数で測るのは違うと思うことが多々あるので、アニメの絵を書くことも同じなんじゃないかなと思うんですよね。
枚数じゃなく、この人に、この場面を書いて欲しいから、この金額。みたいな。

社員アニメーターが増えた方が業界は安定しそうと感じました

どうやらアニメーターというのは、ほとんどの人がフリーランスで、社員として、会社に属している人は少ないらしいです。
しかし、最近は「働き方改革」などもあり、社員化が進むかも?ということらしいです。
本の中で、平均年収が440万、ただし動画だと125万と紹介されていましたが、いやー、安いです。誰にでもできる仕事じゃないし、それこそ職人芸なのに安すぎると感じてしまいます。業界が存続するためにも、たとえ修業とは言えど、動画の人たちでも最低300万くらいはもらえるようになって欲しいです。なので、それこそ修業中のときこそ、出来高制でなく、会社が普通に生活できるくらいの給料を与えて、人材を育てるってことをやって欲しいなと外野からは思ってしまいます。まあ、育てたのに辞めたらどうするの?って話はあるとは思うんですが、それはどこの業界でも同じだと思います。そして、ちゃんと教育をしたなら、教育してもらった方も、人間なんですから、その後の仕事でちゃんとお互いがwin-winになれる機会はくると思うんですよね。
あとは、長くいたいと思えるような会社にどれだけできるかなんじゃないでしょうかねー。
勝手なことを言うと、全員が全員、超一流アニメーターってことはないと思いますし、アニメーターの仕事で飯が食べられれば良いって人も結構いると思うんですよね。そういう人たちが社員アニメーターとなって、安定した生活が送れるようになり、一部の超一流アニメーターがフリーランスのような形で制作会社をまたいで、いろいろな作品に関わるような形になった方が、業界全体は安定しそうな気がしました。勝手なこと言ってすいません。

今後、私はどうするのか

私は今務めている会社で3社目なのですが、今の会社にずっといるかというとその可能性は低い気がします。やっぱり、いつかはアニメの仕事に関わりたいなと思ってまして。
この本でも書かれていますが、今は、作画もデジタル化が進んでいるというより、海外のやりとりをデータでする機会も増えてきていて、デジタル化しないといけない状況らしいです。そんな中、デジタルツールがより使いやすくなって、生産性の向上につながるのであれば、そういうツールの開発に携わるのも、業界を良くする手助けができそうと感じました。
あるいはアニメ制作会社の社内SEとして、いろいろな付帯作業等をデジタルで効率化することもできるのかな?とか、最近は制作会社がECサイトでグッズを売っていたりもするので、WEBエンジニアとして、会社の売り上げの手助けができるのかな?などなど、エンジニア、プログラマーとして関わる手段も色々ありそうです。もっと業界の勉強をして、数年以内にアニメ業界への転職は検討してみたいと考えています。
(とは言え、ある程度有名な制作会社の採用情報見てみましたが、エンジニアを募集している会社は少ないですねー…)

他にも

もっと製作費を上げて、資金力のある製作委員会に名を連ねるスポンサーだけがおいしい思いをするのでなくて、実際に作る人たちにもっとお金がいきわたるような業界構造になって欲しいとか、作品数が多すぎるとか、このままじゃ、他の業界もそうだけど、どんどん優秀な人は海外に行ってしまうぞーとかいろいろ思うことはありましたが、うまくまとめられられなかったので、この辺で。

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