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2013年 東北楽天ゴールデンイーグルス(優勝・日本一)

今年で20年目の節目のシーズンとなった東北楽天ゴールデンイーグルス。今年は現時点でBクラスながら初の交流戦優勝を達成していますが今後の戦いに注目したいところです。
さて楽天の歴史を語る上で外せないのはやっぱり2013年でしょう。
この年は田中将大24勝無敗伝説や楽天史上初の優勝・日本一を達成。後世にも語られるであろうこの年の楽天を振り返ります。


目指せ優勝

2012年は3位ソフトバンクと僅か1ゲーム差で4位に終わりCS進出を逃した楽天、2009年以来CS出場はなく、この苦境を打開するため大物メジャーリーガーの獲得に打って出ます。
1人目はアンドリュー・ジョーンズ。MLBでHR王、打点王、シルバースラッガー賞、そしてゴールデングラブ賞10回と圧倒的成績を残したレジェンドが入団します。当時既に36歳だったものの高い人間性や楽天の右打者不足を埋める活躍を期待されました。
2人目はケーシー・マギー。これは立花陽三球団社長がジョーンズに「もう一人の外国人は誰がいい?」と聞いてこれまた右の長距離砲のマギーを獲得したとのこと。
3人目は斎藤隆。2005年オフ横浜を退団してMLB挑戦した斎藤はMLB7年で338登板と主に救援として活躍していました。8年ぶりのNPB復帰となった斎藤が復帰先で選んだのは地元仙台市が本拠地の楽天でした。
ドラフトでは1位で東福岡高校の森雄大を獲得。2位で大卒右腕の則本昂大を指名しています。

(左)アンドリュー・ジョーンズ
(右)ケーシー・マギー

↓前回の楽天CS出場はこちらから。


打撃陣

2013年 楽天 打撃陣

まずジョーンズ・マギーの両助っ人コンビが大活躍。
ジョーンズは打率はそこそこながら26HR、94打点。さらに四球数は105で出塁率も.391と非常に高く、「お散歩おじさん」の異名を取りました。
マギーは3割近い打率で28HR,93打点とジョーンズに近い成績。チーム2番目の150安打を放ち、OPSも.891とチームトップをマーク。この2人の貢献度は素晴らしいですね。
3番を打つ銀次はチームトップの153安打を放つと、打率.317,4HRながら54打点と点取り屋として大活躍しました。
この年の楽天は若手・中堅・ベテランの融合体という感じで若手だと枡田慎太郎が規定未達ながら.272 8HR 47打点と活躍を見せ、聖澤諒が21盗塁とかき回し、岡島豪郎・島内宏明といった若手有望株も良い活躍ができています。
中堅だと嶋基宏が正捕手として一定の成績を残すと、前年途中にDeNAからトレードで移籍してきた藤田一也がゴールデングラブ賞・ベストナインを獲得する活躍。ベテランでは38歳の松井稼頭央がジョーンズ・マギーに次ぐ11HRを放つなど上手く戦力がハマった感じがします。

投手陣

2013年 楽天 投手陣

この年は田中将大に尽きるでしょう。24勝無敗という異次元の成績(当然最多勝)に防御率1.27で最優秀防御率、この年のMVP・沢村賞を獲得しています。
K%は22%、K-BB%も18%と三振を多く奪い、四球を与えないため大崩れすることがなくまさに「無敵」の活躍です。

24連勝を決めた田中将大。


田中の次に多い勝ち星を挙げたのはドラ2の則本。1年目から170イニング、27登板すると、15勝を挙げこの年の新人王に輝いています。
以降の先発はB.ダッグワース、美馬学、戸村健次とこれほどまでの成績を残せていませんが、先発防御率は3.34で1位でした。
救援陣では帰ってきた斎藤隆が30登板で防御率2.36、K%20超えと43歳としては素晴らしいピッチングを見せると、DeNAから移籍した福山博之や巨人から移籍した金刃憲人がそれぞれ活躍。
現有戦力の長谷部康平、片山博視、小山伸一郎、青山浩二、ラズナーが結果を出していますが救援防御率は3.85でリーグ5位。一応チーム防御率は3.51とリーグ2位ですが救援陣が少し足を引っ張ったようです。

栄光の2013年(ペナント)

星野仙一監督は開幕投手には田中将大…ではなくドラ2の則本昂大を指名。
田中はWBC終わり、辛島が怪我、ダッグワースの乱調のため大舞台が則本に回ってきました。則本で開幕戦を落とすも本拠地では田中がまずは1勝しています。しかし3・4月はオリックスと並び5位で終わるも5月は
16勝7敗と月間勝率.700にも迫る快進撃を見せると、7月にロッテを抜いて首位浮上。その後は順当に勝ちを積み重ねて迎えた9月26日の西武戦、美馬ーハウザー ー斎藤と繋ぎ打線もジョーンズの走者一掃3点タイムリーもあって4-3と1点リードして迎えた9回、西武ドームのマウンドには田中将大。ヒットや四球を出しますが最後は栗山巧・浅村栄斗を連続三振に切って取り勝利。当時マジック対象チームのロッテは楽天vs西武の試合前に日本ハムに敗れており(武田寿司)、勝てば優勝の場面だったのでこの瞬間球団創設9年目にして初の優勝の栄冠をつかみ取ったのです。

楽天優勝時のスコアボード。


この優勝は2年前の2011年に東北地方に甚大な被害を与えた東日本大震災からの復興を象徴するものであり、秋田県出身の菅義偉官房長官は「東北の人々に夢と希望」と述べたり、宮城県知事・村井嘉浩は「これで復興にはずみがつく」と楽天を讃える発言をしました。

楽天日本一へ

CSファイナルでは3位から勝ち上がったロッテと対戦。
ロッテといえば下剋上と過去記事見ればわかると思いますが今回は4勝1敗とロッテを下し楽天史上初の日本シリーズへ進出。
対戦相手は当時2連覇中だった読売ジャイアンツ。
第1戦は田中の疲労を考慮し則本が先発。8回2失点と見事な投球でしたが打線に1本が出ず巨人先発内海哲也やマシソン・山口鉄也・西村健太朗の鉄壁リレーの前に敗北。
第2戦は満を持して田中が先発。9回1失点の快投を見せ打線も2点を取り勝利すると第3戦は美馬が先発。6回途中無失点に抑えるも阿部慎之助の打球が直撃した降板。個人的に印象に残ってるのはフェイスガードをつけたケーニー・レイですね。打線は5点を取りこの試合を制しました。

フェイスガードをつけるレイ。

4戦目は初回にジョーンズが3ランを放ち日本シリーズとワールドシリーズでHRを放つ珍記録を達成するも、投手陣が12四球を出す大乱調で敗戦。
5戦目は辛島が先発。岡島、銀次が点を取ると2点差リードで6回からは則本という大胆な継投策を敢行。しかしここで守り切れずに同点にしてしまうと延長突入。10回、1死1・2塁で銀次がタイムリーを放ち均衡を再び破るとこの回ふくらはぎに死球を受けた藤田が懸命な走塁で3塁到達もふくらはぎが吊り途中交代。その後もジョーンズ・マギーとつながり西村健太朗をKO。
則本が10回のマウンドに向かう際、岡島が「藤田さんの分まで頑張ろう!」と言っていたそうで、その思いを受けて2点差を守り切り勝利。これで3勝2敗と日本一に王手をかけます。
コボスタ宮城に再び帰ってきた第6戦は無敗のエース田中vs菅野智之の投げ合いに。しかし、まさかの田中が4失点を奪われ敗戦、この年登板試合では無敗だった田中はこの年初の黒星が付きました。これで3勝3敗の五分です。

第7戦は美馬がシリーズ2度目の先発。前日9回160球投げた田中や則本がベンチ入りしており、まさに総力戦です。打線は相手のエラーで得点すると岡島がタイムリーツーベースを放ち巨人先発杉内俊哉をKO。4回には楽天創設当初からのメンバー・牧田明久のHRで追加点。投手では美馬が6回無失点、7回から2イニング則本が登板してここも無失点に抑えます。
そして9回、Kスタ宮城のマウンドに上がったのは田中将大。FUNKY MONKEY BABYSの「あとひとつ」が流れる中、日本一へのマウンドに上がります。2死1・3塁の大ピンチを作るも、最後は代打・矢野謙次をスプリットで三振。これで創設初の日本一をつかんだのです。
この試合の仙台地区での平均視聴率は44.0%、瞬間最高視聴率は60.4%と非常に注目されており、球場の広場で行われていた試合中継が隣の仙台市陸上競技場で行われ1万人以上の人を集めました。
日本シリーズMVPは11回2/3を無失点に抑えた美馬、優秀選手賞には田中・銀次が選ばれました。

矢野謙次を空振り三振で抑え日本一を決めた田中将大


日本シリーズMVPの美馬学
この年6勝だったものの日本シリーズでは快投を連発
20年にFA宣言でロッテに移籍している。


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