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地獄旅6-2 渥美半島~金谷 茶畑の長い午後


到着地点がどのへんかもよく理解しないまま、鳥羽の港から伊勢湾フェリーに乗り込んだムイムイ。到着地の「伊良湖 いらこ」について知ってる事と言えば「なんかシグルイのライバルの人だっけ…?」くらいのぼんやりとした豆知識くらいだったが…彼は何一つ分かっていなかったのです。『伊良子』清玄、字から違うじゃん…

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夕暮れの陽射しに染まる静かな港町。

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おお…空が山吹色に輝いている…出迎えの車に乗って帰っていく人々、バスに揺られて先を急ぐ人々。そして…いまこの瞬間は、この天地はすべて僕一人が独占しています。さて、港湾施設兼用の道の駅で海の幸でも食べて、再び旅の続きを…


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…これは…営業してないね。そりゃそうか。

だれもいねえもん。

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ウワーッ一時間に一本!そりゃみんなさっきのバス乗るよ!!

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まだ海水浴シーズンにも早い6月、半島南端、恋が浜。この時間にこんな所ウロウロしてる人がそもそもいないんだから、店も当然やってるわきゃないのでした。街に全く生気が感じられません。…お、古墳発見。時間…潰れないなあ…

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暗くなってきたなあ…

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とにかく、この時間、全ての施設は閉まっているし、だれもいない。スマホの力で調べたところ、とにかくバスに乗り、鉄道が乗り入れている田原の町までいく。そこまでは、問答無用、選択の余地もありません。

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やっとの思いで乗り込んだバスには…

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当然のごとく、誰も乗っていませんでした。地方を移動していると、頻繁に公共交通機関を独り占めする機会があります。「この車両は俺一人のために運行されているんだ!」って贅沢な気分に浸ろうとするのですが、どうしても頭の中で「核戦争後の世界を最後の生存者として一人放浪する」ビジョンに上書きされてしまいます。望郷太郎。心が弱いので…

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ウフフ、なんだろう、樋門かなんかかな…暗いな…内省が追いかけてくる…

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人生…美しい人生…

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すっかりつげ義春になった頃、ようやく三河田原みかわたはら 駅に着きました。ささやかな乗り継ぎ割引券がうれしいですね。ゆで太郎のサービス券くらいのバリューです。

しかし、ほとんど座っていただけなのに疲労感が大きいですね。やはり先の見通しが立っていない状態は体力を奪う…というか、この時点でも、なんの見通しも立っていません。宿、どうしよ。

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新豊橋行き。戻りルートなんだから終電まで乗ればなんとかなるべ。

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全国広告じゃなさそな広告が多く、なんていうか、広告との距離感が路面電車やバスみたいに感じる。

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さて、そろそろ本気できょうの方針をどうするか決めなくてはまずい時間です。スマホもギリギリの状態なので、充電してまずは宿探しをしましょう。

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※この日、この後の写真がほとんど残っていません。

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※いったいどうなったんでしょうね。

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※どうにかなったようですね。

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※そうだね。

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アサーッ!!!

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視界から言って、たぶん、浜松駅前のホテル玄あたりでの目覚めです。宿がなかなか見つからず(恒例行事)うろうろ歩いたような記憶も朧気にありますが…コロナ禍前だったら、ネカフェも選択肢に入っていたはずですが…疲れてて、ちゃんとした宿で服を脱ぎシャワーを浴びたかったのでしょう。

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ここはイエヤスゆかりの町、浜松。乳首にレモンパックをする大将軍。

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出世!出世!立身出世!当地には家康公の偉業にあやかろうと出世にあやかったテーマパークがあります。

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…ありました。過去形。1年の命か…世知辛いね。出世、ないっすか。

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見た目はかわいいけど…死の天使?不穏な萌え。

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浜松が短絡し、暴れん坊将軍が大型バイクで疾走する絵が生まれた。

さて、浜松。静岡ゾーンって、特に寄り道のネタもない時だと通ってて微妙に困るのです。なにせ東海道線は電車移動の大動脈。旅行の回数だけ通るようなもので、これだけ旅行を繰り返していると、あまりに通過する回数が多すぎるのです。普段だったら旅になる鈍行も、今となっては単なる「時間のかかる移動」。

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といいつつ天竜川はテンション上がるわね…さりとて新幹線で通れば、切符が高いこともさることながら、午前11時くらいに冒険が終わってしまいます。ハヤイ!

飯田線に面白半分に乗り込んでみたり(死んだ)、天竜浜名湖鉄道で浜名湖を大回りしてみたり(やや死んだ)、清水から面白半分にフェリーに乗り込んで伊豆半島は土肥に上陸してみたり(まあまあ死んだ)。帰ること自体が遊びとして成立するなにか珍妙な帰りルートはないものか…

あ、あった!?降ります、この駅で!

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さて、ここは東海道本線、静岡は島田市の金谷駅。観光SLで知られる大井川鉄道への乗換駅です。駅前の写真も取ったはずなんだけど、紛失してしまったな…

とはいっても、見ての通り、駅前ロータリーを見回したところでなんも情報性のない風景なのですけれど。強いて言えば駅付近に自転車預かり場がやけに多いな、ってくらい…?

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駅舎内は大井川鉄道の窓口兼売店がとてもいい雰囲気なのです。

ちなみに、今回は大井川鉄道には乗りません。(とんでもない魔境の山奥に行くみたいなので、これはこれで面白そうなのりものです)

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ここから次の目的地へは路線バスに乗るのですが、ちょうどいいバスが来るまでに随分時間がかかるみたい。というわけで、しばらく、歩いていきましょう。

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この、地獄のように無限に続いていく上り坂を…

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みるみるうちに先程歩いていた駅前の景色が下に遠ざかっていきます。

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周囲には静岡らしく、カマボコ型に刈られた茶畑が広がっています。

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幾何学的な茶の木のシルエットで、斜面の複雑な起伏が認識しやすい。

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それにしてもすごい斜面、そして無限茶畑。これが…名産地か!

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もしこの道で転んだら、数百メートル加速しながら落ちていくことになるんだな…なんで高所恐怖症なのに気づくとこんな所ばっかり来てるの!?帰らせて!早く帰らせて!!

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ウワーッ!めっちゃ80年代ファンシーな看板発見!

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なんでこの時代ってロゴだけこんな怖いの!?

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ようやく斜面の終わりが見えてきました。6月の陽射しと登り坂が容赦なく体力を奪う…ここらで一つ、休憩をしなければ、もう動けない。

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というわけで、「ふじのくに茶の都ミュージアム」というのがあったので、寄っていきます。なんか知らんがモダンだな。人気施設か?いいのか?こんな汚れたアタイみたいな地獄人間が…

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ワオ…この店では抹茶ジェラートと抹茶ジェラートと抹茶ジェラートと抹茶ジェラートと抹茶ジェラートと抹茶ジェラートと抹茶ジェラートから好きな抹茶ジェラートが選べるんだ!迷うな~。

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ナンバーセブン…お前を倒せば、俺が世界一の抹茶アイスだ。

それにしても、見た目が粘土みたいで凄みがある。

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「せっかくだから一番濃いのを…とお前は7番を注文するのだろう?」見透かされている。野生の診断メーカーか?

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あっなにこれなにこれ!食べます!これも食べます!

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よいかジェラート。我々はオリジナルスイーツBという陣形で戦う。

ウラー=センケ…お前はチャドーで言う所の濃茶 コイチャというものを飲んだことがありますか?コイチャ専用のチャバを使う濃茶は、抹茶をいれるという行為に「てる」という言葉ではなく「練る」という言葉をわざわざ充てて区別するほどの超濃度の抹茶…よりチャドーの本質に近いワザです。

広く飲まれている抹茶…いわゆる薄茶 ウスチャがアワアワな状態に「点てる」のは、チャの味が空気と混合されたエスプーマ構造となる事でより濃厚に味わえるから…つまり、チャドー本来の濃度が保たれている濃茶には不要なエッセンス。「練る」という言葉選びは、茶筅ロボットアームをどういう意識とスピードで動かすべきかを記録した命令文コマンドなのです。

専用の抹茶を使うのも、濃茶という抹茶・フォーミュラ1カテゴリの特殊性ゆえ。レギュラー・チャドーではエッセンスとして楽しめた苦味や雑味も、濃茶の濃度となった時には致命的ガストロノミーとして飲む選手の舌に突き刺さります。砂糖やミルクで味を整えるエスプレッソのような楽しみ方もできないチャドーの特性上、この問題を解決するために「極限まで雑味の少ないハイオク抹茶」を使う必要があるわけです。凝縮抽出された茶のエッセンス…これが世にいう抹茶利休流 マッチャリキュール!!

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さて、そういった感じで茶葉の含有量を限界まで濃くしていくとお茶はどういう味になるのか、ですが…なんというか、「アミノ酸…!」という感じです。茶のうま あじ、などと言いますけれど、文字通り、茶葉の出汁と形容すべきものを強く感じるのです。一回食べておくと、煎茶フォーミュラ1である玉露を飲んだときにも「茶の体液の気配」が分かるようになるので、一度食べてみるのも経験なのではないでしょうか。おいしいよ。(成分が強烈なんで合わない人は本気で体質に合わない健康リスクはあるかもしれません。アレルギー持ちは慎重にね)

茶天ぷらは…油に、敗北。

味どうこう以前の話で、天ぷらとアイスの組み合わせで同時に食べるのは体にアングッドです。そりゃそうだ もっともだ

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そろそろ時間なので、歩いてきた国道473号線に戻ります。緊急出動ぶらり旅は、常に不安と緊張の連続…泰平の眠りを覚ます特濃抹茶アイスの興奮もすぐに引いてしまいます。理論上はうまくいくはずなのだが、路線バス、ちゃんと定刻に来るんだよね?間違えてないよね…?

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この本数のバス、もしこの後の乗り継ぎでトラブルが生じたら…なんとか金谷駅まで引き返し、新幹線帰宅が確定してしまいます。

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(暑い)

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来た!第一関門突破!いいぞ。

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見渡すばかりの茶畑、茶畑、茶畑…

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あ、さすがにこの規模だと日本一なんだ。なんも予備知識なしで来たけど、いいとこ来たなあ。

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イソゲ!イソゲ!東名高速道路の近くで路線バスを降り、殺風景なトンネルを潜り…その先に待つ場所とは

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殺風景な空間でした。

写真では見づらいですが、電話ボックスの奥には牧之原サービスエリアが存在しています。目の前の道、SAの出入口部分とはいえ「東名高速の一部」なので、道路沿いを歩いてSAに向かうなどという危険行為は致死率MAXの狂気の沙汰ですが…(牧之原SAは「ぷらっとパーク」対応施設なので、BSを出て一般道に降りてしまえば、普通に徒歩でも利用することができます)

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というわけで、これこそが「走ってるのはよく見るし乗り場もよく見かけるけど、よく考えたらあまり乗ったことないもの」の一つ、高速路線バスの停留所です。

いや、本数少ないな!

乗り継ぎ失敗したら牧之原SAで6時間待ちの時間つぶしになるので必死だったという訳です。けっこうギリな時間に接続するバスしかなかったもので…(牧之原SA自体はロングドライバー向けのメシ屋や仮眠施設も充実してるんで、それはそれでどうにかなるとは思うんだけどね)

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バス、来ないな…東名だから渋滞状況で数分遅れとかは普通にあるだろうと思うけど不安だな…時刻表もう一度見るか…ってなったあと、説明文に予約サイトの文字を見つけ総毛立ち血の気が引くムイムイ。だ、大丈夫だよな!?以前御殿場から1度くらい高速路線バス乗ったことあったと思うんだけど予約なんてしたっけな…よく見たら(予約がなくても、当日空席があればご乗車いただけます)の一文も発見して安心。心臓麻痺おこすかと思った…やっぱり直前の思いつきで行動するとだめだな。

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…やった!!俺は賭けに勝ったぞ!!帰宅、成功!!ちなみに御殿場アウトレットとか行きたい人は、専用のバスでも路線バスでもいいから高速バスで行くのがおすすめだと思います。JR御殿場線がまた微妙に地獄度が高く不便なので…

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高速路線バス、昇降場所たるバスストップに寄る都合上、頻繁にICで降りて乗ってを繰り返しながら進んでいくので、マイカーとはまた一味違う奇妙な感覚が楽しめてよいです。待機スペースも独特なムードがあって良。

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富士山撮りそこねたからジェネリック品で勘弁してね。昼下がりですが、日焼けと坂歩きの疲労、ここまでの緊張ですでに限界です。

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ほう、スピード感ですか

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あっ由比PA!!!!由比PAいいよね!!僕も大好きなんだ!!

超寂しくて夜に寄ると暗闇の中で波の音だけ轟いてて超怖い!!!

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(素に帰る)

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路線バスもドライバー休憩があるんで、大型SAを楽しめる機会があるのが嬉しいですね。駐車場の雰囲気的にたぶん足柄SAの写真。

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東名高速をゆくということは、アドマイヤミルビキが飲めると言う事。

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「あなたのために♡ドリップ中」いいよね…ライブカメラ映像の序盤で表示されるシーンなのでみのがすなよ。NEXCO中日本の妖精、みちまるさんもコーヒーを楽しんでいます。感謝…圧倒的感謝…

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中途半端な午後のひととき。

八重洲地下街の北海道ショップのレストランで、ガラナハイと松前漬けで帰宅成功の祝杯を上げました。***やったね***

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ちなみに東京駅で安くメシ食いたかったら八重洲地下街のアルプスでカレーさ食うといいだよ。2021年現在ではタイムサービス300円になっちゃったけどな。おわり!

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地獄旅 エンディングテーマ『ムイムイ絵描き歌』

※Zoo Photo on Tokyo選手の功績を讃え、ともだちクーポン特典として今回の記事の豊橋鉄道に大量のマヌルタコを乗車させました。功徳…

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