地獄旅 5-1 今泉~羽前椿 海を目指して山に惑う
ウー…ハイハイ……イェイ…イェイ…ここは一体…?
目覚めると、(また)見知らぬ場所にいました。
青春はNon Stop…ここはどこ?そして、僕はどこへ…?
あの建物は…親の顔より見たS-PAL…それじゃあここはまさか…東北地方だとでも言うのかよ!?
味のあるビルから謎光線が照射されていた。
見知らぬ書体…まさか看板一枚ごとに文字がデザインされているのか?
ここは危険だ。
気がつけば、山形やさしさ倶楽部の外側にいたようだ。ここはもう安全。
コンコースを突き抜けて…
改札をくぐれば…
ここは地獄の一丁目。ホームに降りた瞬間から、タイマースタートです。
茶番は終わりだ、ちゃばんちゃん。行くぜ、新潟。佐渡ヶ島へよ。
※そもそも新潟行くのになんで山形スタートなのよ、って話なんですが、直前すぎて、手頃な値段で深夜バスに空きがあったのが山形行きだけだったんです。結論から言うと、翌朝新幹線に乗って出たほうが時間的にも金額的にもお得だったようですが… 攻めるなら大胆に、オリジナル未来予想図を見つけましょう。それが男の、地獄道。
朝霧を引き裂き、列車はよく判らない所を進んでいきます。
とにかく、海に出なければ話になりません。新庄経由で酒田へ抜ける遠回りルートも検討していましたが、今回は日程もあまりないので米沢を通るルートに決定。というか、ちょうど目の前で発車しようとしていた汽車に乗った結果、そういうことになりました。
高血圧列島日本。南陽市の名物はラーメンのようです。
アイデアのコンセプトはめっちゃよくわかるし質も高いのですが、なぜか若干アレな感じのビジュアルに仕上がっているイラストに味わいがあります。
赤湯駅。観光列車みたいなのもいる。ああいうのも機会があったら乗ってみたいけど山の中が終点とかなんだろうなー…
そうこうしている間に、一回目の乗り換えポイントである米沢駅に着きました。さいさきいいね。
牛肉・ドージョーや牛肉ドメイン・セントラルなど魅惑的なフデモジが踊るベントー・ストアがありますが、この時間はまだ駅弁も売っていません。食料はどこか道中で手に入れることにしましょう。
俺達が進むのは、こちらの道。
いままで見たなかで一番風情のある車止め。
寂しい駅だぜ。
ダイヤも寂しいぜ。いつものやつですね。問題は、さしあたりの終点がどのへんなのか今ひとつ理解できていないことですが、どうにかなるでしょう。前には進んでる。
7時30分の羽前椿(うぜんつばき)駅行きに乗ります。
羽前椿駅より二つ手前、今泉駅。それなりに学生やらおじさんやらが乗車していた車両から舞坂線の車両から、一斉に全ての乗客が降りてしまいました。停車時間もたっぷりとある乗換駅…風情があるんだけど一抹の不安がよぎり初めます。このパターン…ここで降りておかないと、乗り継ぎ上の問題が生じる駅なのでは?
羽前椿駅は、ごく小規模な駅のようです。次に新潟方面に向かう電車も、なんらかの形でこの駅を通る可能性が高いと判断し、急遽運賃の精算処理をしてワンマン列車を降りました。今回の移動はフリー切符じゃないからローカル線乗るのが面倒だなあ…
今まで乗ってきた汽車が去っていくのを高架から見送ります。どうせ一時間くらいは暇だろうし、駅の外に出てメシでも済ませて…ん?なんだこれ ずいぶん…駅周辺が…緑豊かだな…
ワハハ コンビニひとつねえや。ここは イマイズミの えきだぜ。
駅業務はやっていないようですが、カーテンの向こうからは駅員が談笑している声が聞こえてきます。保健室で寝ているときのような不思議な感じ。
さて、今乗ってきたのが8時9分の電車だから…次の電車3時間後じゃねーか!?クソッ!山形駅で朝飯食えたんじゃねーか!?
牛肉どまんなか、見送り三振。
途中の赤湯駅でチラ見えした電車でもここに来れたんだ。一つ前の電車に乗るのは無理ぽいけど、そっちに乗ってくる手もあったね。フリーきっぷや交通系電子マネーが使えない状態だと目的地優先意識に思考の枠組みから変わってしまうんだ。ローカル線、18きっぷとかの期間限定じゃなくて完全なサブスクリプションサービスにならねえかなあ…通勤通学者もみんなソレしか使わなくなるからダメかな。
バスも期待できなさそうだな…
二駅くらいでちょうどよさそうな距離なので、羽前椿駅まで歩きます。
転車台跡だって。
荒れ果てすぎて、何がなんだかわからんね。
スマホの画面サイズだと見えないかもしれないけれど…空一面を、数千ではきかない数の結婚飛行をするトンボの群れが通り過ぎています。空にある無数の点はすべてトンボ(の、ごく一部)。数千年の昔より続く、秋津島の景色…視覚化された風のインスタレーションです。いままで鳥取の大山登山道で見たトンボの群れが一番規模が大きかったけど、ケタ違い。この散歩の間、常にトンボの群舞が続きます。
豊穣の季節。田んぼの脇を歩いていると、横をついて歩くようにカシャリ、パタリとなにかが動く音が一緒に移動していきます。
初めはネズミかヘビといった小動物、あるいは狐狸妖怪の類かと思ったんだけど、既に稲の刈られた田を観察したところ無数のバッタが大型どうぶつの接近を感知し逃げる音だったと判明。そりゃこちらの動きに追随してるように感じるわけだ。イイ感じの湿地ロケーションになっているため、産卵のために低空飛行しているトンボも多数います。
花屋で売ってるカスミ草、ときどき変なスプレーとかビーズみたいなのぶっかけてあるのなんでなんだろうと思ったけど、この朝露を表現したかったのか(写真はズームの結果妙な画質調整が入っちゃってるけど、実物はすごい綺麗です)。生活実感からこういう草の感じが欠落してたので全く言いたいことがわからんかった。
時々道路沿いにこういう開閉式のフェンスがあるんだけど何なんだろう。冬になったら雪よけになる…とかなんだろうか。何にもわからん…
いい感じの公園を見つけたので、休憩します。10km弱の散歩だからね。
超かっけえ農機。
とぼとぼと、ドラマのない散歩が続きます。駅の500m圏内にあったコンビニ、寄ってくればよかったかな…自販機も見当たらないね。
どぶから川から用水路から、全ての水が恐ろしく透明です。
たまに少し濁ったたまり水があったかと思うと、そういうところは淡水魚がぎっしり。ここは誰かが魚を飼っているのかもしれないけど。
確かこの温泉旅館の辺りに駅があると書いてあった気がする。もうすぐだ。
謎の羽前椿①。壁がこのように2重壁構造っぽくなっている倉庫的な建物を何件か見かけた。なんて名前の構造なんだろう。数件あるってことは保温なり補強なり収納スペースなり、なんかの建築的意図がありそうだけど…
謎の羽前椿②。ガードレールにトリックアートや彫刻を取付け、その街の風物をアピールするというのはどこの自治体でもよく見かけるのだけれど、この仙人は一体何だったのだろうか?町のホームページとか見ても、それっぽい伝説とかの記述がないような気もするんだけど…
あたりがまた町中っぽくなってきました。
あとは向きだけ注意しつつ、線路を意識しながら歩けば駅到着です。
あ、これが駅舎か。非電化エリアは空中構造物が少ないから駅の場所を認識しにくいな。
いやー さびしい!
ちなみに右手側の待合みたいな屋根のついた建物、事実上の除雪道具?置き場になってました。一応ベンチ等はあるようですが、鍵がかかっていて入ることもできません。まあ無人駅なんだし、駅の待合空間がありゃいいじゃん!って事なんだろうな。
全てが打ちっぱなしコンクリの量感が素晴らしい跨線橋。
そして、やっぱり駅前、なんにもないね。とんぼだけがいます。
あと小一時間、駅舎でぼんやりしよ。
マンションポエム亜種。最高級の田舎か…確かにいい所だったな。「日本で最も美しい村」連合に加盟しているそうですぜ。
駅舎内。
分析能力に優れるロボット班を出動させ、施設内を調査させましょう。
強烈すぎる情報システムを発見。一瞬箱の中を見てみたい誘惑に駆られたけれど、特に用がないのに設備をいじるのも悪いよな…と思って放置しました。ずっと誰も触ってないかもしれんし、クモとか出てきたらこわい。
記念事業として川柳大会やるの、シブすぎやろ。
ウワーッ熊!具体性の高い警告チラシ…コワイ!
クマより怖い きのこ狩り
あー…鮭の町、村上が近いなあ。寄っていきたいなあ。イヨボヤ会館寄って塩引き鮭食べたいなあ…そういや、朝からまだなんも食べてないなあ…
一瞬気が迷いましたが、よく見たら電車賃が次の乗換地点「坂町」までですら平気で1000円越えてるじゃん。「近距離」って言葉に惑わされたらやべえ。ここは首都圏大都市圏じゃねえんだ…どこに行っても…ひとたび降りて何かをすればその時点で半日の日程消費は確定…!
この米沢行きが駅を通過すれば、次の電車までいよいよ10分。
ふたたび、汽車の旅を再開しよう。目指すは、佐渡。
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