除霊
大喜利界隈で繋がってるお化けぬこさんの漫才企画用に書き下ろした漫才。47人中8位ですごく喜んだ記憶がある。思い出のネタ。
A「やってみたいことがあるのよ」
B「いまボンビーガール見てるから少し待って」
A「ボンビーガール優先するやつなんかいないよ、あれを楽しみに見てる人なんかいないんだから。付けっぱ なしのテレビでやってるから見るだけなんだから」
B「森泉が家壊してる」
A「そっち見てんのかよ。金持ちが出る方は見るなよ。貧乏人が家探す方見ろよ」
B「そこまで言わなくて良いじゃん」
A「ごめんごめん、言いすぎたよ。僕はね、除霊をしてみたいの。」
B「除霊って、名詞、除霊する。人や物に取り憑いたとされる霊を取り除くこと。か」
A「辞書から引用した?まあそうなんだけどね」
B「なんで除霊がしたいの」
A「幽霊ってさ、未練があってこの世に残るわけじゃん?それを叶えてあげるって格好良くない?最後は感謝されるなんて素敵な仕事じゃない?」
B「芸人向いてないよ」
A「うるさいよ。やるのやらないの?」
B「やるにきまってるじゃないか」
A「恐縮です」
B「ウィーン(入店する)」
A「まてまて、絶対に違うだろ」
B「コンビニ店員に取り憑いた霊じゃないの?」
A「そんな霊いるわけないだろ、最後にアルフォートをピッとしたかったなあとか思うわけないだろ。コンビニ店員に未練なんかないんだよ。アルバイトなんだから。」
B「言い過ぎだろ」
A「しっかりやってくれよ」
B「申し訳ない。」
B「ここが新しいハンバーガー屋か。美味そうだなあ。」
A「まてまて」
B「え?ハンバーガーチェーン店のスタッフに取り憑いた霊じゃないの?」
A「そんなやつに霊が取り憑くわけないだろ。次のシーズンのバーガー見たかったなあなんて思うわけないだろ。どうせ夏はハワイ系とかだし、秋はてり玉なんだよ。毎年毎年まんねりなんだよ。もっと考えろ。客はとっくに飽きてるぞ。」
B「言い過ぎだろ。どんなシチュエーションがいいのか言ってくれなきゃ分かんないよ。」
A「例えば、スポーツ選手とか。大活躍してたけど、不慮の事故で亡くなり、未練があってまだこの世に残ってるとかさ」
B「定番の展開じゃないか」
A「男の子はいつだって定番に憧れるものよ」
B「はい、近藤ラスト一球、スマッシュで〜!」
A「まてまて、誰なんだよ、そいつは」
B「中学校のテニスコーチ 竹山さんだよ」
A「知らねえよ。誰なんだよ。コーチやってるやつなんか、ちょっと他のやつよりテニスが上手くてチヤホヤされて ただけで、プロになれなかったやつなんだよ。それなのにチヤホヤが忘れられなくてテニスにしがみついてるだけ なんだよ。本当に。恥ずかしいな。そんなやつに未練なんかないんだよ。」
B「昔テニス部にいじめられてたの?」
A「古傷をえぐるなよ」
B「申し訳ない」
A「例えば、愛する恋人に想いを伝えられず霊になっちゃった女性とか、どうよ。そこを除霊師の俺がスパッと解決するの」
B「感動的な話じゃないか」
B「うぅうぅ、除霊師さん...」
A「どうしたんだい」
B「彼氏に想いを伝えたくて...」
A「それが未練で成仏できないんだね。私が代わりに想いを伝えてあげよう」
B「ありがとうございます...でも私の姿は彼には見えないの...だから私のスマホで彼へメッセージを送ってくれませんか」
A「亡くなって連絡が来るはずのない彼女から突然のメッセージ。めちゃくちゃ良いじゃないですか。やりましょう」
B「これが私のスマホです...」
A「このタカシさんって方ですか?」
B「いえ、それはご飯をよくご馳走してくれるおじさんです...」
A「あぁすみません、そしたらこっちのケンジさんですね」
B「いえ、ケンジさんは一緒にご飯に行くと、エルメスを買ってくれる優しいオジサンです。」
A「パパ活女じゃねーか。パパ活するやつが未練残すな馬鹿。やってることが乞食と一緒なんだから。ちょっと綺麗なだけでチヤホヤされるからって何でもかんでも許されると思うなよ。本当に。」
B「クラスの綺麗な女の子からフラれたことあるの?」
A「誰だってあるだろ、その経験は。」
B「あんまりないよ」
A「そんなことより俺に除霊をさせてくれよ。全然できてないじゃん」
B「例がわかりづらいんだよ、例えばさ、東京に住みたいから、中目黒の駅近でオートロック完備、家賃 3 万以下で住みたかった女の子の霊とかどうよ」
A「ボンビーガールの馬鹿女じゃないか」
B「もう除霊はやめよっか」
AB「ありがとうございました」
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