オリジナル連載小説 『 15ちゃい 』 その1
1. ビンボー
うちの家はビンボーだった。
いや、でも畑からキュウリを盗まないと
腹を満たせないほどではなかった。
うちの家は裕福ではなかったということだ。
父が仕事をして母が家にいる。
着る服も食べる物もテレビもステレオもある。
もう誰も弾かないピアノまである。
そんな豊かさの象徴が2DKの狭い団地にぎゅうぎゅうに
詰まっている家。
車もあった。
父は中学を卒業してすぐに家を飛び出して
左官屋になり、18歳で免許を取ってすぐに車を買った。
三菱コルク?ボルト?いやコル