歌垣<うたがき>がはじまる
一説では盆踊りのルーツではないかともいわれる「歌垣」
歌垣とは何ぞや?という方には、以下の引用が簡潔でわかりやすいのではないかと思う。
歌垣山、行ってみたい…日本三大歌垣の聖地巡りとかしてみたい…
…そんな話を書きたいわけではない。
今回書きたいのは、現代の歌垣ともいえる(?)生歌での掛け合いの盆踊りについて。
日本三大盆踊りに数えられる岐阜県郡上市の「郡上おどり」を知った後、さらに山奥に行くと「白鳥(しろとり)おどり」という盆踊りがあるらしいと聞いて白鳥おどりを知り、さらに白鳥おどりには「街踊り」と「拝殿踊り」があり、神社の拝殿の中で下駄の音だけをお囃子にして生歌で踊る盆踊りがあるということを知った。
私は大阪の出身で、音頭取りが生で音頭をとって踊るという文化は知っていたので、生歌での盆踊りそのものにはそこまで驚きはないのだが、「拝殿踊り」は輪になった踊り子たちが踊りながら自ら歌うのですよ。
びっくり、一人何役?踊って、歌って、下駄を鳴らしてリズムをとる。
何それ?凄すぎるやろ、何なんその文化?とびっくりした。
自分の好みの傾向として、より素朴でより本来の形に近い、近代化されていないものを良しとする価値観が強かったこともあり一気に夢中になった。
とはいえ自分が歌う気は1%もなかった。
ただ踊りたかった。音楽としてやばいと思っていた。最初はそれだけだった。
でも今はめっちゃ歌ってる。歌いながら踊るのが最高に楽しい。
踊っているだけでは物足りない。歌うパートがないならとにかく大きい声で囃したい。踊りながら歌いたいんや!
脱線してきたので先ほどの話に戻ると「白鳥おどり」は、岐阜県郡上市白鳥町で踊られている盆踊りで、拝殿踊りの正式名称は「白鳥の拝殿踊り」。
「白鳥おどり」の中に「白鳥の拝殿踊り」も含まれているけれど、「白鳥おどり」と呼ぶ時は主に街踊り(道路上に配置された屋形に笛、三味線、太鼓などの囃子方と音頭取りが乗って曲を演奏し、それを囲む形で踊り子が踊る)を指していることが多いように思う。
「白鳥の拝殿踊り」は、現在の公式スケジュールでは、長滝白山神社、白鳥神社、野添貴船神社、前谷白山神社という4か所で開催されている。
が、非公式の拝殿踊りもあり、一度途絶えたものを有志の方々で復活させた場所もあったりで全貌を把握するのはなかなかに大変である。
また、それらは白鳥町だけではなく郡上市内や岐阜県内のあちらこちらで行われているので、岐阜/郡上は一部の愛好者たちから熱い視線を送られている場所なのであります!
その中で、私が最近特に熱心に取り組んでいるのが「寒水(かのみず)踊り」。
寒水地区は、郡上八幡から北東方面に車で30分ほどの場所にあり、住所でいうと「郡上市明宝寒水」明宝ハムで有名なあの明宝。
寒水踊りも一度途絶えた踊りを地元有志の方々が2013年に復活させて今に至る。
30年ほど途絶えていたため、復活させる時には地域の長老たちへの聞き取りを行って歌を集めたそう。
私が寒水踊りに初めて行ったのは2017年。
以下はその時の動画です!
いいですね〜〜〜〜😊
先ほど拝殿踊りの説明で書きそびれましたが、さまざまな場所で共通で歌い踊られている曲もありますが、その地域でしか歌われていない曲もあったり、さらに細かくいうと、同じ曲でも地域ごとに節回しが違ったり歌詞が違ったり、はたまた同じ曲名なのに全然違う曲だったりとかそういった差異があって、それが沼にはまる理由だったりもします。
場所ごとに違うんだもの…そんなんおもしろすぎるじゃないですか…
現在、寒水で歌い踊られているのは「寒水輪島」「どじょ」「チョイナチョイナ」の3曲。
古い文献によると昔はもっとたくさんの歌があったようで、それらがいつかまた地域の方たちによって拾い上げられ、歌われるようになったらいいなぁなどと夢見たりしてます。
拝殿踊りで歌われる歌を大きく2つに分けると「口説き」と、小唄系?甚句系?正式名称はわからないのですが、七七七五調で歌われる歌があります。
「口説き」は長編の物語を主に一人の音頭取りが歌い、周りの踊り子たちは掛け声や囃し言葉を返します。
白鳥おどりの曲目でいうと、世栄(エッサッサ)、神代(ドッコイサ)、老坂(ヨイサッサ)などが該当します。
※()内は拝殿踊りでの曲名。同じ曲でも街踊りと拝殿踊りで曲名が違うのです…
七七七五調の歌は、歌い出しの歌詞を音頭取りが出した後は、完全な決まりごとはなく、その場にいる踊り子が歌い継いでいく形となります。
歌う順番も決まっていないし、歌詞も各自が覚えている歌詞を歌うので、同じタイミングで2人が歌い出してバトルになったり、声が大きい方に押し切られたりすることも頻繁にあります。
また、その場に合わせた歌詞を即興で作って場を盛り上げる歌上手もいて、そんな歌上手が何人も揃うと即興の歌詞だけで場が進むことも。
そういった場に居合わせることが出来るのは喜びのひとつです…
寒水踊りで現在歌われている3曲は全て七七七五調の歌なので、歌詞をひとつ覚えれば節を変えるだけで3曲とも歌えます!
そう思うと最初のハードルは低いのではないでしょうか。(本当か?)
歌ってみたいという方がいたら是非チャレンジしてみてほしいです。
ちなみに歌詞についても細かくいうと、同じ七七七五調でも、この曲ではこの歌詞を歌うけどこの曲ではあまり歌わないとか、地域によってここではこの歌詞はあまり歌わないとかはあります。
それはゆくゆく学んでいくとして、最初は歌詞カードに載っている定番の歌詞をひとつ覚えて歌をうたう楽しさを味わってみるのが良いのではないかと思います!
そんなこんなの寒水踊りの練習会を11/3に開催いたします!
場所は東京の小金井市です。
寒水出身の音頭取り、和田峻汰さんが来られて現地の歌を東京で聴けるチャンス!
しかも今回は餅伝道師ネコムラによる餅パーティも同時開催です!!!
歌って踊ってお腹がすいた頃に餅ができあがるはずなので、つきたての餅をみんなで食べましょう!夢のイベントや〜
あと、焚き火パーティもしたいので、焚き火&盆踊りができそうな場所をご存知の方がいたら教えてもらえると大喜びします。
なんだったら焚き火だけでもよい。
火を焚いてのんびりまったりしたい…
あと、最後に自分としては大事なことなので書いておきます。
拝殿踊りは観光向けのイベントというよりは地域の祭礼であり大切な行事でもあります。
他所から参加させてもらう場合は、地元の方々への配慮や敬意を忘れないようにしたいなぁと思っています。
先の文章にも書いたように、私は地域それぞれの特色があるのが大きな魅力のひとつだと思っているので、その場その場の雰囲気を壊さないように大切に歌や踊りの文化が続いていってほしいと願っています。
その点、東京で開催している「のらぼん」は、自由に気軽に楽しめる場にしたいと思っているので、細かいルールなどは設けていません。
参加してくださる皆さんが各自好きに楽しんでくれるのが一番です。(もちろん最低限の人としてのマナーは必須ですが!)
何が言いたいかというと、もし「のらぼん」で生歌の楽しさを知って現地にも行ってみたい!と思ってくださる人がいたとしたら、上記のようなことを少し頭の片隅に置いておいていただけると🙏
(言われなくてもわかっとるわい!という方はすみません)
なんか近年、どこの街に行っても同じ全国チェーンのお店ばっかりで個性的な個人商店とかローカルチェーンとかが少なくなってきて寂しいと思いません?
私はめっちゃ寂しいのですが、盆踊りも地域性がなくなってどこに行っても同じやんけ!ってなるのは寂しいのです〜
歌とか踊りって属人性が強いので、そこにいる人がその場の雰囲気を作っているのだと思う。
そして歌とか踊りにも”訛り”みたいなのがあって、私はそれを愛してやまないのです。
民俗芸能を継承する人がいなくなって途絶えてしまうのも悲しいですが、芸能自体は存続してもその”訛り”が消えてしまうのも悲しいですね…
だからといってどうにか出来る問題でもないのですが…
なんかとりとめのないポエムみたいになってきた。
例によって長すぎて既に3600文字を超えてしまいました。
最後まで読んでくれた人がいたらありがとうございます。
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