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あなたの好きなクラシックは何?と聞きたい

「ピアノの演奏がよかった」、と言われるのと同じぐらい「あなたの弾いた曲が良かった」と言われるのが好きだ。
いや、もしかしたらそう言われることが本望かもしれない。

ピアノの曲っていいよね、って思ってもらえるのがとても嬉しい。しかも、ジブリやディズニーではなくクラシックで。

ジブリやディズニーがだめだとか、そういう話ではない。久石譲もアラン・メンケンもキャッチーで美しい音楽をたくさん作っている。

だが、それは大昔の話ではなく、この100年以内に生み出された新しい音楽である。

もちろん新しいものが古いものより劣っているということでもない。

例えば、ヴィヴァルディの四季のなかには春という曲がある。

今でもCMに使われていることもあるので、きっと誰もが一度は聴いたことがある音楽だろう。明るい曲調はまさに春のあたたかさを感じるし、途中に鳴る高音は小鳥のさえずりのよう。まさに春である。

ところで、この音楽が作られたころの日本を想像してほしい。1716年といえば、徳川吉宗による享保の改革が起こっていたころである。

つまり、ヴィヴァルディがこの曲を作ったのは松平健の『暴れん坊将軍』の時代ということになる。

(余談だが毎度お馴染みの
「この顔に見覚えはないか」
「はっ!」
のくだり、毎回思うのだが特に変装しているわけでもないので、もっと早く吉宗だと気づきそうなものだ。)

そんな『暴れん坊将軍』のころに作られた音楽が、今でもテレビで流れたり、コンサートで演奏されるということに私は言い様のないロマンを感じる。
ヴィヴァルディの時代、宮廷で貴族たちが楽しんでいた音楽を、数百年の時を越えて今聴いても美しいと感じる、それって単純にすごい。

そんなクラシック音楽は、私たちがただ日本に生きているだけで嫌でも耳に入ってくるのだ。

お風呂がわけば『人形の夢とめざめ』が流れ(うちのお風呂はパッフェルベルのカノンだけれど)、電話を保留にすればショパンの『ノクターン』が流れる。洗濯機は、冒頭の写真のモーツァルトの曲が流れるものもある。
(テーレーレー、テー、レレレー♪)

CMではモーツァルトの『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』や『トルコ行進曲』が使用されるし、ベートーヴェンの『悲愴第二楽章』は替え歌にされていたこともある。

そう、すでに、おはようからおやすみまで、ひっそりとクラシックはあなたのそばにあるのだ。

それでもやっぱり遠いものだと感じる人には、まずは日常のあの音楽がクラシック曲なのだと知ってほしい。
ただお風呂がわいたことを知らせているわけではなく、曲名があり、作曲した人がいるのだと。

そして、できることなら、お気に入りの一曲を見つけてほしい。

クラシックが、好きな映画を何?と聞くように、もっと一般的な話題になればいいなと思う。だから私は誰も見てなかったとしても、クラシックの話をし続けたい。

曲が美しいという話から、ラヴェルがイケメンだとか、グラナドスは船が沈没して死んだだとかどうでもいいことまで。




くらいのパトロンになりたいという奇特な方がいらっしゃいましたら、よろしくお願いします。その際には気合いで一日に二回更新します。