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推し(仮)のこと

ミュージカルの感想の前に。

今、私にはものすごく労力を使って追いかけている推しはいない。
(大好きなキャラクターはいる、その話はまたの機会に)

時を戻して2020年。
なんとなく、テレビで流れ始めたEテレのイタリア語講座。2019年に放送されていた内容の再放送である。

見たことのない俳優さんが元気にしゃべっている。
のだが…彼はちょっと元気すぎた。

過去にもイタリア語講座や他の語学の講座をぼんやりと見ていたことがある。
シシドカフカさんのスペイン語や、田辺誠一さんのイタリア語。

しかし、あまりにも気さくにそこらへんのイタリア人にも声をかけるが故に、イタリア人の先生に「ちょっと、チャオは…ボンジョルノとかのほうがいいヨ…」(気軽すぎるよ!の意と思われる)と言われている人はあとにも先にも見たことがない。

このとき私は、この若手俳優さんは、きっと大物になるにちがいないと確信した。

これが私と小関裕太くんとの出会いである。

次回から毎週録画をした。もともとイタリア語を覚える気はさらさらなかった。
小関くんがイタリアをどんな風にめぐるのかが、ただただ見たかったのだ。
しかもイタリア語講座のなかでも、『ゴッドファーザー』や『ニューシネマパラダイス』の舞台となったシチリアの中だけをまわるという特殊な回だったので期待していた。

ところが、小関くんは、私が想像したよりもはるかにすごい人だった。
お決まりの今日のフレーズ以外のイタリア語を覚えて、どんどんしゃべる。

イタリア語を頑張って話そうという意識がすごくあるため、とっさに出てくる単語がイタリア語なのだ。

おかげで、ただ番組を見ているだけで

「オッティモー」(最高)
「ベル・テンポ!」(いい天気)
「ケベッロ!!」(素敵)
「オカピート!!」(分かった)
「グラッツェミーレ!!」(本当にありがとう)

CV小関裕太で、こちらも単語をぽつぽつと覚えてしまうほどである。

どんな時もにこにこと、
「ボンジョルノ!!ソノ ユータ!!」
と異国の地にいるとは思えぬ、テンションであいさつしては地元の人の輪の中に飛び込んでいく。

こんなに明るくて前向きで、まるで少女漫画から飛び出してきたような人間が存在するのかと、私は衝撃を受けた。

ある時は、漁師さんたちのど真ん中で、漁のときに歌ううたを教えてもらって熱唱している。歌詞もよくわからないまま、あははと笑って誰よりも楽しそうにうたっている。

もはや、コミュニケーション能力が高いとかそういうことではない。

もう生まれもった天性の才能なのだろう。
こんな人が近くに存在していたら、嫌でも好きになってしまいそうだ。

それからイタリア語講座の本を買い集め、毎週楽しみに見た。

イタリア語講座が終わったあとは、出演しているドラマもぼちぼち見ていた。
あくまでもマイペースに応援していたのであった。

しかし、時は2022年5月。
偶然にも『四月は君の嘘』のミュージカルのCMをみてしまうのである。

(つづく)


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