母への電話

『死んでしまいたい』
久しぶりに聞いた母の声は 強烈なネガティブで回線をつたい 届いた。

数十年前に離婚をした両親

そこに至るまでにわたしが見た 真実

そんなことを 気づいたことを

いま、親となり 気づいたことを綴り

心を書いていこう


幼い頃のアルバムに 弾ける笑顔の私の写真。広い庭には まるで公園のようにタイヤの半分が列をなして顔を出し その上をピョンピョンんと跳ねてる私が間違いなくそこには居た

いま 思いだそうとしても、その後に起きる 不幸味の緊張感のある毎日に埋もれ、笑顔の色は 何色だったのかも浮き上がらず なにかの騒音と共に 何処かへ流されていく


父は 朝から出勤し 真面目に真面目に働き、土日は休み。という決まった生活を続け 庭付き一戸建ての立派な家を建てて 家族の幸せのために頑張った。

しかし、その広い家には 笑いがほとんどなく、緊張感と 父の顔色をうかがう私たちと、夫婦喧嘩の争う音と、窓から外を眺め現実逃避するわたしの姿があった。

小学校の低学年で少年野球を始めた。なぜ始めたのか覚えてないが、グローブ、スパイクなど練習に必要なものを買い与えられ練習に参加していた。複数での行動を嫌うわたしが 典型的なチーム一丸の野球をしたのだろうか?といまは思うが、なにかの意図を飲んだのだろうか。己の意思か 思い出せない。

思い出したくもない

長く続かず 辞めると父に伝え 激昂した父の姿をなんとか思いだそうとしたが 浮かびそうで浮かばぬそれは 我が身を守ってるのだろうか

思いを書き出すと からだの隙間から 消えたはずの体験 感情が明瞭な当日の場面と共に現れることに驚く

冒頭に書いた 母のことを わたしはとてつもなく大好きだった

そう。

だった

過去は になってしまった今を もう変える思いは無い


父を憎んでるだけのうちが まだ楽だった

何かにつけ注意してくる父

男とは!などと らしさを奏でる父に微塵の男らしさも感じなかった僕は 耳に入れど消えていた

なにかされる と恐怖で幼心に感じたからわかったふりで言うこと聞いてたが心は器用じゃない。芯までは騙せない

母をいじめ、こどもたちに怒るばかりの父

父 対 他

この図が壊れたのは 僕が状況したあたりだ

『母が行方不明になったから話し合いをしたい。一旦 帰って来てほしい』

その連絡を受け、なにも疑わず 心配と めんどくささで新幹線に乗った。

父の車に乗ったが 母の行方がわからないという内容と こどもの力を使い 何とかしようとする父の意図

こいつに戻ってくる魅力など無いだろ

そんな思いが僕を仏頂面にし、その顔を父はバックミラーで見て

『怒ってるな』と苦笑いしていたが、本心は知るわけがない

おまえがすべて悪いんだろ

そういえない自分にも腹はたち いやな記憶しか残ってない故郷を早く出ていきたかった

山の見える景色を走る車内。記憶の欠片はバラバラになった我が身を集め 当時の記憶を現していく

『荷物をまとめなさい』

2階のこども部屋で母は言った

やったーーーー!!!!!!

やっと この家から出ていける!!

お父さんから離れられる!!!!

嬉しさを飛び越え 心臓が爆発しそうになった

母に連れられ 砂利道を小走りに進み 大きな道へ出た。交通のべんが悪いから地下鉄などあろうはずもない。左に曲がり 追いかけてくるかもしれぬ父を振り返り振り返り 急ぐ


戻ってたまるか



(続く)



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?