OOPドンクに対するIPのディフェンスレンジの考え方 -A-L-Lボードの研究(6)  OOPのドンクレンジ研究より

※前回の記事をお読みになられていない方は、まずは下記から御覧ください。
BTNvsBB SRP OOPドンクに対するIPの対応にかかる概観①|すきま|note


▼導入

さて、前回はOOPドンクに対して、IP側がどのような頻度でディフェンスを行うかを検証してきたが、今回は具体的に特定のボードにおけるでディフェンスレンジを見ていく。

まずは前回の振り返りであるが、GTO戦略上OOPがとりうる1/3size ドンクbetに対して、IP側は基本的にMDF以上である75%以上を一つの基準としてコールないしレイズでディフェンスしていくことになる。
OOP側のレンジアドバンテージないしナッツアドバンテージがあるような一部のボードでは、この基準を多少下回ることはあるが、それでも基本的には75%近いディフェンス頻度はあるので、今回はそういったボードの一つであるA53ttを題材に、具体的なディフェンスレンジを確認していく。

▼概観

以前見た通り、このボードは多少のナッツアドバンテージがOOP側にあるボードであるが、それでもMDFのラインとなる75%ではディフェンスしている。
また、モノトーンボードや一部のA-L-Lボードのように、IP側にナッツアドバンテージがないようなボードでは、基本的にレイズの頻度はほぼなく、レンジ全体的にコールorフォールドで受けていく形となることも特徴である。

さて、そのような前提のもと、まず基本的に、
・ペア以上
・ガットショット
・フラッシュドロー
といった、何かしらのメイドハンドorドローがあるようなハンドは当然降りることがなく、その上で境界になってくるハンドを探していくと、
・Kハイの一部
・バックドアフラッシュドロー
あたりが下限になりそうということがわかる。

そういった仮説のもと、より絞り込んで境界を検証していきたい。

▼ハイカード系

・Kハイ

さっそくわけのわからない感じになっているが、まずKハイから見ていこう。
BDFDがないKハイは、基本的にはKTあたりが下限であるが、このあたりも頻度であり、KJ・KQでも降りるレンジがあるなど、どうやら人間では理屈が紐解ききれない部分に見受けられる。
それより弱いQハイ・Jハイの一部も低頻度でコールのレンジがあることを考えると、
基本的にはターン以降のボードガバレッジへの対応で、ブロードウェイが落ちた場合、ブラフレンジないしメイドハンドレンジが多少足りなくなるということだと推測している。
が、結局のところ人間レベルではほぼほぼ影響がないので、わかりやすく”ハイカードはKT以上ならコール”とひとくくりにしていいだろう。

このKT以上はコールというのは、おそらく他のボードでも似たような傾向を示すと思われる。
というのも、基本的には75%以上の頻度でディフェンスするボードがほとんどなのであるから、単純にハイカードとして強い部分が落ちることはそれほど考え辛いという理由からである。そのほか、Qハイ・Jハイの頻度の部分はざっくり削って、KTハイ以上にその頻度を振り分けるという考え方だ。


・6回り
驚きなのが、上記のハイカード以外の部分は降りるものの、
6回りのハンドは一定程度のコール頻度が出てくるということだ。

実践的にこのあたりまでコールレンジに入れることはかなり厳しいと思うが、ペアボードでx/rを返されたときよろしく、
ターンローカードが落ちた場合かなりプレイアビリティがあがるようなハンド(セカンドペアやストレートドローになる)では、GTO的にはかなり抵抗する頻度があることがわかる。

そのうえで、GTO上はいろいろな6xを散らしたうえで、ターンリバーの様々なガバレッジに対応することを提唱しているが、人間的には明らかに無理なので、68,78,K6等の一部のハンドでのみコールするなどのレンジ構築が必要になる。

▼BDFD

バックドアフラッシュドロー系も、かなり粘っていくレンジに入っていくが、このあたりから頻度となっている。驚きなのが、T9oなどでもバックドアフラドロ一本で粘っていくレンジがあるということだが、シンプルにかなり薄くてもバックドアストレートドローがあれば降りない、というレンジ構築でそれほど頻度を間違えることはないだろう。


▼本日のまとめ
・原則として、OOPのドンクに対しては、ペア以上のハンド・何かしらのドローがあるハンドでは降りることはない。
・そのうえで、Kハイ・BDFD・BDSDあたりが境界となってくるが、
 -Kハイはブロードウェイキッカーならばあまり降りない
 -どれだけ薄くてもダブルバックドアがあれば降りない
 あたりが原則となる。
・ボードによっては、さらに幅広くハイカードのあるバックドアフラドロをディフェンスしていきながら頻度を調整していく形になると考えられる。


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