フロップ3betの深堀(3)3betに用いるハンド群について

※シリーズ作品の続きです。前回までの記事をご覧になっていない方は、ぜひそちらもご覧ください。
フロップ3betの深掘り(2)全体概観|すきま|note

▼導入
前回まで、フロップ3betという選択肢の有効性・どのようなボードで3betが用いられるのか、ざっくりと検証を行ってきた。
今回は、特にフロップ3bet率が高かったいくつかのボードテクスチャーを抜粋して、バリューレンジに用いられやすいハンド・ブラフレンジに用いられやすいハンドをそれぞれ考察していき、具体的な3betレンジを構築していこう。

▼個別ボードにおける検証

(1)トリップスボード(例:888)

レイズレンジについて

まずはトリップスボードの3betレンジについて検証していこう。
バリューハンドとしては非常に理解しやすく、オーバーペア・クワッズで3betを返していっていることがわかる。
オーバーペアについては、他のボードでの傾向と同様であるが、AA・KKのようなプロテクションの効能が少ない部分はチェックコールに回したうえで、TT・99のようなターン以降の展開では厳しくなるところをより3betに回す傾向がある。

また、クワッズについて特徴的なのは、本来ペアボードにおけるトリップスのような部分はキッカーが強い程レイズに回される傾向があるが、トリップスボードにおいてはAキッカーがほぼピュアコールになっていることがわかる。

これは3betを返した際の相手のコールレンジを紐解いていけばわかるが、なんとAxsのツーオーバー+バックドア、場合によってはKxsのツーオーバー+バックドアもディフェンスレンジに入っていることから、
そのあたりの継続レンジを抑えてしまっているAキッカーは3betには不向きだという理屈だろう。

3betを返した時のBB側の対応

そのうえで、ブラフレンジについては、以下のような部分が用いられる傾向がある。

・8周りのブロッカー効果が高いもの(xT,x9や、♣持ちのハイカード→x8sを抑えるため)
・Axまわりを抑えているもの(前述の通り、3betにコールするレンジとしてAxsのツーオーバー+バックドアがあるため)

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このあたりを頻度でチョイスし、ブラフレンジを構築していく傾向にある。


(2)コネクトボード(例:456r)

次に、コネクトボードにおける3betレンジも検証していきたい。
まずはトリップスボード同様、全体概観を見ていこう。

コネクトの3bet

バリューレンジとしては、まずわかりやすいところでは、セット(特に強いものほど)、ツーペアのうち強いところ(トップツーペアのBDFDがあるところ等)が回されている。
このあたりのハンドは、相手の7持ちに対してだけでなく、ツーペア・オーバーペア・ワンヒットドロー等幅広くバリューになり、かつ現状相手がストレートであったとしてもまくり目があるという点で、レイズに用いられやすい傾向がある。

次に、オーバーペアも一部3betに混ぜ込んでいるが、これはバリューの余地もあるが基本的にプロテクションの意味合いが相当大きそうで、その意味合いが薄まるAA-QQくらいまでのペア―は相当チェックコールに回っていることがうかがえる。

一方のブラフレンジの構築としては、以下のようなハンド群から頻度でチョイスされている傾向がある。

・7・8・3持ちのストレートドロー
特に、相手がフロップでx/rしてきたBDFD+ガットショットといったブラフターゲットを抑えていない♠sの部分でのレイズ頻度が高く持たれている。

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・ワンヒット系(6ヒット、5ヒット、4ヒット)
フロップ3betで典型的に見受けられる傾向であるが、ヒット系をブラフに変えていくソリューションはこのボードでもそこそこ取られうる。

これも上記同様、♠sがよりレイズに用いられる傾向があり、相手が将来的にフォールドするレンジを抑えていないことが重視されているように思われる。


(3)IP側に圧倒的ナッツアドバンテージがあるボード(例:AK9tt)
このボードは、特にBTNvsBBのポジション関係ではポットオーバーorチェックのソリューションが用いられやすい代表的なボードで、そもそも33%CBというのがあまり用いられないシチュエーションであることは念頭に置いておく必要がある。

しかしながら、これがEPvsBBであれば、33%CBというのがそこそこ有効に用いられるようになってくる。

※本題とはずれるが、以下参考として、BTNvsBBとEPvsBBにおけるフロップソリューションの比較を置いておく。

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また、エクスプロイト的観点でいうと、そもそもx/r率が低い相手であったり、またHUD上割とx/rをきちんと返してくる相手であっても、こういったボードではx/r率が下がりやすいという傾向を考えると、33%CBという戦略は割と有効に機能しやすい。

だいぶ話がそれたが、つまるところ33%CBというのはBTNvsBBのGTOソリューションが示す以上に使われる機会があるだろうことから、一応3betについても抑えておくことにある程度の意味はありそうだということである。

では、話を戻して3betレンジの全体像を確認してみよう。

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全体的にだいぶ頻度がなくて見づらくなっているが、右下の赤い部分を確認していくと、まずバリューレンジとしては、セット・ツーペアあたりが主に用いられている。その中で、相手のバリューターゲットであるヒット系、ツーペアを強くブロックしているAA,KK等はチェックコールに留め、AK,99などが3betレンジに組み込まれてやすい傾向にある。

トップペアについては、キッカーの強さとはさほど関係なく、一定程度まばらにレイズ頻度がある。

この解釈は難しく、というのもバリューとして考えるには弱く、ブラフというにも、xrに直面した時点でもEQは50%を超えており強すぎるといえる。となれば、どのみち降りない相手のドローハンドに対して、SPRを積極的に低くしながらバリューをかすめていくこと、プロテクションをすることが主な目的となるといえるのではないか。  

ブラフハンドとしては、単純に強いコンボドロー、ドロー+バックドアといったドロー系・相手のツーペア、セットブロッカーとして優秀な9hitが用いられやすい傾向にある。

▼本日のまとめ
・3betのバリューレンジに選ばれやすいハンドは、単純に強い部分はもちろんのこと、相手のナッツに対するまくり目というのも考慮される。
・ブラフレンジの選定基準として、フロップのx/rは基本的にはのちのストリートでの発展性が意識されやすい傾向にあるが、3betではよりブロッカー効果が意識される傾向がある。
・そのため、ブラフレンジとして、ヒット系、場合によってはトップペアさえも入ってくることがある。

(以上)

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