遺産分割協議書、10人分

ずいぶん昔に亡くなった祖母の名義の建物が残っている。
その建物が建っている土地が母の名義になっている。
どんな理由があって、そんな購入の仕方をしたのか。
祖母の手書きの遺言書があり、母はその建物を相続する立場にあり、
相続登記をしなければいけない。
高齢なので、わたしが代わりにやるしかない、母の所有になり、いずれはわたしの所有になる。
なぜわたしの母は祖母が亡くなった時に放置してしまったのか、なーんてことは考えない、知識がなかったからだ。

調停とかはめんどくさそうだし、負けかねないので、話し合いで解決をしたい。お手紙を送ったり、電話番号がわかる人には電話をした。

祖母の孫にあたる世代の相続人は「大変なことになってるね、やってくれたらはんこ押すから」と案外すんなり話しがついた。

どちらかというと祖母の子、母の兄姉にあたる人たちが非常にやっかいで、子供のころに会ったきりだけど、話しをしたくない人たちだ。

ここがだめならだめなので、それなりには覚悟していた。
10人の相続人のうちのひとりでもハンコを押してもらえなかったら、相続登記は失敗に終わり、調停という手段にならざるを得ない、慎重に話をするしかない。

まずは母の兄。この人はとてもヒステリックな人の印象がある。
特に母と不仲だったと思う。
この人には負ける時は負ける。だめな時はだめだ。
手紙を書くも返事はこない、電話番号もわからない。
ご法度の直接訪問をした。
突然の訪問は相手も驚くし、冷静に話せることはないだろうと覚悟もしている。わたしだったら不信感しかない。そんなことわかってる。
インターンホンを鳴らす。
インターンホン越しに挨拶を交わす。
その声は攻撃的だ。感情的にならず、説明し、困っていることを伝える。

他の人は承諾してくれたこと。
来年に法律が変わること。
遺言書があること。
それらしい説得材料を並べる。

最後に母の姉。この人はとにかく口うるさい。祖母の面倒なんかちっともみなかったくせに、いつも偉そうな印象がある。
この人には最悪金を積めばいい、いける。
電話番号を知っていたので電話をする。大きな声、元気そうだ。
相続登記を放置していた件を、責められる。
素直に謝ろう。
母の悪口を散々言うので、頭きたけど、ぐっとこらえるしかない。
ただひたすらに申し訳ないけど協力してほしいとお願いするしかない。
その時間が長かったのか短い時間だったのかはわからない。
すごーく長い時間に感じたが、耐えきり、相続登記に承諾をしてもらった。

終わった。ただの口約束にすぎないけど、
遺産分割協議書に10人からサインをもらい、登記手続きをすれば終わる。
あとは作業だけだ。

ちなみにわたしは自分で相続登記をする。
司法書士に頼むとお金がかかるから。
どうか、年内には終わりますように。

わたしのこの強引なやり方はみんな引いてるけど、
行動を起こしているのはわたしだ。
正攻法ではどうにもならないことがある。


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